ポッポ屋日記

日記的なブログにしたいです

軽い気持ちで観に行った映画「グランツーリスモ」があまりにも超名作過ぎて、人生初の2回目のリピート鑑賞までしてしまったというお話

 

こんにちは、ニホンバトです。

今回のこの記事は本来書く予定にはなく、緊急的な意味合いも含めて書いています。なんならこの記事の執筆日は昨日の2回目のリピート鑑賞を終えたばかりの勢いそのままに書いている状態です。

いやほらよく言うじゃないですか、"鉄は熱いうちに打て"って、映画グランツーリスモを観終わって最高に胸が高鳴って記憶に焼き付いている状態で心から思った感想を書けるのって今しかないんすよ!なので気持ち冷めやまぬうちに映画「グランツーリスモ」(以下 GT)のレビュー記事を書こうとしているわけなんですよね(笑)

とゆーわけで、この映画を観始めたキッカケから自分にとってこの作品の何が良かったのか?そして2回目の鑑賞も含めた感想を述べさせてもらおうと思っています。一応、ネタバレ注意です

 

 

 

きっかけ

f:id:Gameslifeisff:20231017213514j:imageきっかけは本当にささやかで羽毛のように軽いものでした。先月の9月の終盤に4年近く引きずっていた禍根が解消される事が確定し、自身のささやかな身辺状況の変化と、心境が大きく変わる事から、これからの自分が生きる方向性を見定めるためにジブリ映画「君たちはどう生きるか」を観終わってスッキリした気分になったあと、「今話題になってる映画GTは来月に回すかぁ」といった本当に軽い気持ちの一言で表せてしまうようなごく軽いものでした。

先週の12日からスタートした5連勤をこなす中でだんだん疲労が溜まってしんどいなぁ…という気持ちでフラストレーションが高まっていく中、「5連勤の最後はレイトショーで映画を観てそれを自分へのご褒美にしよう」と、前々から決め込む事になり、それをモチベにして労働に励んでいました。 そして来たる5連勤目の仕事を終えた僕は、そそくさと家に帰ってから夕飯と風呂を済ませ、再び出掛ける身支度をして夜の街を駆け抜けました。本来なら夜7時台のこの時間はひと仕事を終えて家でのんびりゆっくりと過ごすための時間、思えばあの時間に外へ出掛けたのはこれがかなり久しぶりでした。

そして待ちに待った地元映画館でのレイトショー上映、公開から1ヶ月が経った今の映画GTの上映本数がレイトショーの1日1本のみしかやっていなかったというのもあったのですが、僕にとってはこれが人生で初めてのレイトショーでの映画鑑賞となりました。*1僕がチケットを購入した時点で2人、後から飛び入りらしきお客さんが3人の計6人の静かな環境で映画を観始めたのですが……そのあまりにも胸熱な内容に僕は一気に心を奪われる事となりました…!

グランツーリスモというソニー、そしてポリフォニー・デジタル取締役の山内一典さんが生み出した稀代の名作ドライビングシミュレーターのハリウッド映画化という事もあって、どんな内容になるんだろう?と半ば軽い気持ちで観始めたら、子供の頃からレーサーになりたいという夢を持った熱い心を持つ少年がゲームを通して一世一代のチャンスを掴み、その夢を叶えるという壮大な"実話"のサクセスストーリーに魂が打ち震えるように揺れ動き、上映終了後の満足感はとんでもないものがありました…!

映画鑑賞後のトイレの中で「ヤバい…これはヤバイわ…!」と1人興奮する僕、実家を出て以降からの映画鑑賞は世間で話題になってるアニメ映画ぐらいしか観なくなってしまった上に、洋画を観るのなんて10年近く振りにもなる中、果たして満足できるものなのかどうか?に対する多少の不安感はあったものの、そんなものなぞ一気に吹き飛ばす!というレベルで映画GTは超名作だったから僕はより一層酷く興奮していた。それ以外での近年の名作と言われる名作をこれまで観ていなかったから評価基準というものが定まってなくて、評価に対するプラス補正値がより高い可能性がもしかしたらあるのかもしれない。でもその事を抜きにしてもこの作品は世界で絶賛されるレベルに値するぐらい良い作品だったのは確かだった。

f:id:Gameslifeisff:20231017213522j:imageその後、僕はすぐにでもパンフレットを買おうとしたのだが、残念ながら鑑賞日当日はレイトショーでの上映だったので劇場販売カウンターは閉まってしまい、その日の内にパンフを買う事は出来なかった。しかし、素晴らしかった内容なだけにパンフを買う事が確定していた僕は翌日の昼間に同じ映画館に出向いてパンフを即購入した。「これ(パンフ)は絶対に購入しなければならない」そう確信めいた決心を持っていた僕は疲れてクタクタであるはずなのに、自分でも驚くぐらいの行動力を見せたのですが、その行動力はそれだけに留まらず……と、語りたいところですが!これ以上自分の話をしててもしょうがないのでここからはこの映画GTの何が良かったのか?そしてどういう所に興奮と感動を覚えたのか?というポイントを語っていこうと思います!

人にオススメをするのにはもう遅いレビューになってしまうかもしれませんが、同じ映画を観た人に少しでも共感してもらえると嬉しいです☺️

 

映画GTはヤン・マーデンボローとジャック・ソルターの成長と友情を描いた物語

グランツーリスモという映画の原題は1997年に初代プレイステーションソニーから発売された同名のレーシングゲームであり、その当時から既にGTはゲームというより「ドライビングシミュレーター」の方向性を打ち出していました。コースの作りや風景、車の走行に対する挙動からエンジン音、鏡面反射した時の光り方に至るまで「何もかもがリアルである事」の方向性を徹底的にこだわり作り上げた結果、同シリーズは累計9000万本以上*2の売上を誇る世界的人気のゲームになりました。

原案者である山内一典さん自身のこだわりが詰まったゲーム内に出てくる車自体の細部の作り込みのその完成度の高さには世界中の車好きのみならず、車業界関係者も唸るほどのレベルで多くの人が注目する事になり、ナンバリングを更新していく毎にゲーム内で扱う車の公式ライセンス(自動車ブランド)が増えていき、最新作のGT7ではシリーズ史上最多の「60以上の自動車ブランド」「400種類以上の車種」を収録。しかも今でもアップデートによって新たに扱える車種が増えているとの事なので、モーターファンにとっては珠玉の逸品になっている事でしょう。

でもちょっと待って!私ゲームの事とかよく分からないし、そんなマニアックな作品を元にした映画なんだったら車の知識とかないと楽しめないんじゃないの…?と、今そう思いませんでしたか?

 

ではここではっきり言いましょう………

 

 

ぶっちゃけ全っっっ然大丈夫です!!!

 

 

この映画を観た僕自身もモータースポーツ自体ほとんど見たことがなくてさして興味が無く、ゲーマーではあるのですがグランツーリスモ自体、触れたのは一昔前まで住んでたGHの同居人からPS2GT4を軽く触らせてもらった程度のにわかで、車の知識に於いてもゲームの知識に於いてもどっちもズブの素人レベルの人間です

そんな人間である自分でさえも楽しむ事が出来たのはこの映画の本質がヤン・マーデンボローとジャック・ソルターの成長と友情を描いたサクセスストーリーであるからです。

この作品の主人公であるヤンはかつて実際に開催されていたGTアカデミーをキッカケにプロのレースドライバーになった成功者の内の一人です。この映画ではそんな彼の過去と、実際にプロのレーサーになるまでの過程を描いたドキュメンタリー的な要素も含めた映画となっており、どちらかと言うと家族や同僚、指導者との人間ドラマが半分、実際のレースシーンが半分といった構成になっています。

そしてもう1人の主人公として名が挙がるのがジャック・ソルターです。ジャックは序盤、モーターレースチーム「キャパ」のメカニックをしていたのですが、自分の元へ尋ねてきた旧友からの突拍子もない頼みを聞かされ最初は断ったものの、最終的にはGTアカデミーのチーフ・エンジニアの仕事をしぶしぶ受ける事になり、やさぐれながらも厳しい指導をしていくのですが、才覚を持ったヤンとの出会いが彼の中で燻っていたレーサー魂に火がつき、最終的にはヤンとの絆を育み、彼もまた成長するという過程からジャックは第2の主人公とも言われています

ヤンにはヤン自身の現状と家庭(主に父親との確執)の問題があり、ジャックもまた自分自身の過去に対するトラウマを抱えている人物、そんな2人が出会い、指導者と生徒という師弟関係になり、友人となり、信頼の置ける親友となる…共に切磋琢磨しながら互いを支え合う事で最終的には自分自身の抱える問題と向き合い、乗り越え成長する。師弟関係を超えた絆と友情を育み、前人未到の挑戦に対して共に挑戦し、大成功を果たすそのストーリー内容は往年の名作である「ロッキー」や最新の「トップガン・マーヴェリック」のようなスポーツ映画の最高に気持ちの良い部分を濃縮したかのような誰にでも分かりやすい普遍的な内容となっており、モータースポーツやゲームに対する知識がなくても全然楽しめます!

ただせめて事前に知っておくべき知識として主要な登場人物とライバルの名前と車種を覚えておけばより一層深く楽しめるのは間違いないかもしれません!大丈夫大丈夫、最低でもヤンとジャックとGTアカデミー同期生のマティとアントニオと、ライバルレーサーのキャパと金色のランボルギーニ、シューリンと白に虹色のアウディだけでも覚えれば十分!!!え?何故特定のその人物だけ名前を出したのかって?そりゃあ今ここに出てきた彼らがレースの試合の要になる人物だからですよ(笑)

 

以下からは大まかなストーリーラインに沿いながらこの作品の魅力を語っていきたいと思います!

(内容紹介を優先して時間軸が飛ぶ場合もありますがご了承下さい)

 

「GTアカデミー」とは

物語の序盤、映し出されたのはイギリスはカーディフウェールズの一角にあるとある家、そこにはGTの特製ハンコン*3の箱を前に大興奮する少年ヤン・マーデンボロー(アーチー・マデクウィ)が居た。友人との通話をしながらこの日が来るのを待ち侘びていた喜びに打ち震えるヤン、昔から車が大好きだったヤンはゲームのグランツーリスモを愛し、ハンコンを手に入れるために血のにじむような努力(アルバイト)をしてきた。一瞬映し出されたある一角の棚には歴代GTのソフトが置いてあり、モニター画面に映し出されていたのは最新作のGT7である事から、史実通りに考えるのであればこの作品の時間軸は2022年の秋〜冬頃という事になる。

その努力が報われる瞬間を今まさに楽しもう!とした瞬間、ヤンの父親のスティーブが「外でサッカーしないか?」と誘ってきた。しかし今すぐにでもハンコンを試したい気持ちでいっぱいのヤンはその誘いを断る。すると父のスティーブは「ゲームで遊んでばかりなんかいて…少しは弟を見習え」と呆れた様子を見せる。ヤンは現在大学を中退してアルバイト生活をしているフリーターのような状態で、日中の殆どは愛するGTを遊びまくる毎日、そんなヤンの現状に対してスティーブはその事を特に快く思っておらず、「遊んでばかりいないで現実を見ろ」と小言を言っては度々ヤンと衝突している。

だがヤンには夢があった。子供の頃から車が好きで、将来はプロのレーサーになりたいという壮大な夢が。しかしプロレーサーというのはもはやトップアスリートの世界、昔から英才教育を受けてきた子供ならまだしも、それまでスポーツらしいスポーツは特にせず、ゲームばかり遊んでいたヤンには無理のある夢だと決め付けていたスティーブはヤンの抱く夢を頭ごなしに否定する。

父親からの偏見によって互いに折り合わない親子関係…何も無い日々を過ごす中でこういった誰にでも起こり得る些細な問題がヤンの心の中で大きな燻りとなっていた…

 

一方舞台は変わって日本の東京、そこに1人のある男が飛行機に乗って現れた。彼の名はダニー・ムーア(オーランド・ブルーム) 日産ドイツ支社に勤める男で彼はある事をプレゼンするために日本の横浜にある日産本社を訪れた。ホール会場にて集められた本社の重役達を前にダニーがまずプレゼンしたのは世界中で愛されているゲームのGTのドライビングシミュレーターとしての質の高さを絶賛するものだった。

とてもこよなくクルマを愛する山内一典という一人の日本人の彼の徹底したこだわりによって作られたGTはドライビングシミュレーターとしてとてもよく出来ているという事を褒めたたえた後、次に話したのは世間の車に対する認識の現状を憂うものだった。今の世間は誰もクルマを所有したがらない。車なんて高いし、運転が難しいし、持ってても意味がない。今の世間が車に対して思う認識は憧れの対象でもなければ、所有する事でもなく、カーシェアリングとしてレンタルするか、タクシー代わりに使える便利な足使い程度、しかしGTは車にこだわったゲーム、そしてそれをプレイするユーザーの中には車を愛してる人も多くいる。それを掘り起こしましょう!と。

「じゃあ具体的に何をどうするんですか?」

重役の一人から出た厳しい質問にダニーは堂々と答える。

GTを愛する世界中のプレイヤーの中からトッププレイヤー達を集め、本物のプロレーサーに育て上げる!」と

 

それこそ名付けて「GTアカデミー」だと!

 

プロのゲーマーを本物のレーサーに育て上げる。荒唐無稽とも思える壮大な計画に本社重役達は驚いたり、呆然としたり、苦い顔をしたりと反応は様々。少なくともポジティブな反応ではない事は確かで、通るかどうかも不明瞭なものだった。その後、本社をチェックアウトし帰ろうとするダニー、そこに役員の1人がダニーに忘れ物を届けに来た。

「プロのゲーマーが本物のレーサーになれると?」

「我々の作った車に彼らを乗せて万が一の事が起きたら全責任は我々が背負う事になる」

日産側にとってもかなりのリスクになり得るダニーのプレゼンはなんと承認された。しかし条件として優秀なチーフ・エンジニアをダニーが用意する事を条件にした。条件付きではあるものの、本社の承認が通った事に対する喜びからその日の夜、ダニーは意気揚々とチーフ・エンジニアを引き受けてくれそうな知り合いに電話を掛けまくった。しかし、今まで前例もなければ、夢物語とすら思える計画内容に対して理解を得られなかったダニーは次々と依頼を断られてしまう。

横線で引かれまくった候補者リストの最後に残っていたのは「ジャック・ソルター」その名の横に「ありえない!」とまで書くぐらい頼りたくなかった最後の候補に対してダニーは「よりにもよってジャックか…」と頭を抱える事となった。

 

場面は変わってイギリスはチーム・キャパのガレージ、そこで金色のランボルギーニを整備する一人のツナギの男が居た。そう彼こそがありえないと書かれていたジャック・ソルター(デヴィッド・ハーバー)で、彼宛に「客だ」として呼ばれた(ついでに修理が遅いの言葉も添えて) ジャックとは旧友でもあったダニーがジャックの元へと訪問し、早速壮大なGTアカデミーの計画を伝えた。しかし反応は言わずもがなな結果となっており、半ばクレイジーな計画に対してジャックは冷笑していた。モータースポーツに使われるレーシングカーは最高時速320kmにもなる地上の弾丸、そんなものに車の運転経験すらない人を乗せたらどうなるのか?一瞬で身体がバラバラ、オマケにゲームと違って現実ではリセットが出来ない。下手なミスをすれば死の危険があるモータースポーツにズブの素人を参加させる事自体危険なものだとして、ジャックは当然のようにダニーの提案を断る。

「金持ちからレースを取り戻さないか?」ジャックが元レーサーである事を知っていたダニーが金持ちの道楽と化してしまった今のロードレースに対する啓発を込めてジャックを焚きつけようとします…が、それでもジャックの答えはノーだった。何度食い下がってもジャックの答えが変わる事はなく、藁にもすがる思いで訪ねたジャックにさえも断られたダニーはもはやお手上げ状態だった。ダニーの理想とするGTアカデミー計画はここで躓き、潰えてしまうのか…

しかし、その後のある出来事をきっかけにジャックはチーフエンジニアの仕事を引き受ける電話をダニーにする。ただし、危険だと判断したらすぐに手を引くという条件付きな事から、渋々引き受ける事になったのは確かだった…

 

フルで書いてしまうと感想じゃなくてただのストーリー紹介になってしまうのでその後の展開の詳細は割愛しますが、この後の展開として

 

GT7オンラインサーバーでのイギリス国内のベストラップ1位を樹立したヤンがGTアカデミー予選会の参加資格を得る→家族との食事で再びヤンとスティーブが対立する→弟の誘いに乗せられて夜遊びに出かける→パトカー回避カーチェイス→父の職場で手伝いをさせられる&親子喧嘩の末にGTアカデミー予選会に急いで参加する→1位で優勝、GTアカデミー参加資格を得る

 

といった流れになってまして、字面で書いただけだと結構な量があるんですが、編集の流れがかなり早くて展開スピードも超早いんですよね。一応この間にも結構重要なセリフだとか、伏線となるシーンが張り巡らされてはいるんですけど、もしかしたらこの序盤が映画GTの中で一番ダレてしまう所なのかもしれません

途中ド派手な音楽やカーチェイスなどのシーンで迫力を見せている部分もあるのですが、基本的にここまでのシーンで一番前面に出されているのは「ヤン自身の現状と父親との確執」そして「GTアカデミー発足」までを描いているので、とても大事な所ではあるんだけど、どうしてもダレてしまうのは致し方ないのかなとも思います。

ヤン自身の立場上、現状のままではいけないと分かっているのは確かなんだけど、それでもレーサーになるという夢を諦めきれないヤンの意地もある。それに何より「好きな事を仕事にしろ」とヤンにそう言ったのは父であるスティーブ自身の言葉であり、しかしそれに対してヤンが目指した夢のハードルが高過ぎるという事でスティーブはどうしても親として口を挟みたくなってしまう。そういった親心は分からなくもないし、ヤンの気持ちも大事にしたい所がある。見る人の立場によってヤンの気持ちに感情移入するか、スティーブの心境に同情するか、意見が別れそうなところでもあるんですよね。でもまぁ僕も一応若者の1人ですからヤンの気持ちを大事にしたい気持ちの方が強いですが(笑)

こうした誰にでも起こり得る親子関係の些細な確執は後に大きな感動を生むことになるのですが…それは是非劇場で☺️

兎にも角にも、その後のヤンは急いで友人が経営するゲームカフェに戻ってGTアカデミー予選会のレースに参加してそこで驚くべき実力を発揮して優勝するわけなんですが、ここのレースシーンもなかなか良い展開だったんですよね〜!でも残念ながらそれ以上にGTアカデミーの最終試験とFIA公式ライセンス取得レースと最後のル・マンが良過ぎてそれらと比べると霞んでしまうんですよね…!😂

でもまぁ白熱のレースシーンを描くためのジャブとしては結構良い場面であったと思いましたね!

 

リアルを徹底的に描いた過酷なGTアカデミー

見事にGTアカデミー予選会を突破したヤンは日産からの招待を受けてカーディフウェールズからシルバーストンまで移動します。そこに集まっていたのは協業する日産本社の人達やドイツ日産の関係者、そして世界中から集められた各国のGTアカデミー予選会を突破した精鋭達、つまりe-sportsであればもはや優勝レベルの実力を持つGTのプロゲーマーなわけなんですよね。それだけでも普通のプレイヤーには手の届かない凄い領域に入っているメンバーなんですが、今回の目的はe-sportsの優勝ではなく、ここから本物のプロレーサーになれる可能性を持った逸材を見付け、育て上げる事、予選会を突破した彼らには自分だけのオリジナルシートとヘルメットが与えられますが、ここで喜び満足するのはまだ早く、寧ろここからが地獄の本番とも言えるのがGTアカデミーでした。

10人の少年少女たちは日産関係者の人達から温かく出迎えられ、最後にチーフエンジニアを務めるジャックからの挨拶がされました。

 

「俺の後ろに集まってるヤツらは途方もない夢を実現させようと躍起になっているが、俺がムリだと証明してやる

「(厳しい訓練に耐えられる)覚悟が無い奴は今すぐ帰れ!残るんだったら俺が徹底的にお前らの事をシゴいて自分に才能がなかったという事を自覚させてやる!俺が見たところ…全員無理だな!

と、これから途方もない夢に挑戦しようとする彼らの出迎えとしてはややクレイジーなスピーチをしたジャック、若干引き気味でありつつも「感動のスピーチだったよ」と皮肉をぶつけるダニー、しかしジャックにとってこれはジョークでも何でもなくただの本音でしかなかった。何故ならチーフエンジニアを引き受けたジャック自身もこの時点ではまだ予選会を勝ち抜いた彼らが本物のプロレーサーになんかなれるわけがないと高を括ってたからです

この時のヤンはジャックから「背が高いな シートに座れるか?」と問いかけられた際、「ゲームでは問題なかった」と意気揚々と答えると「ゲームじゃない」の一言を返され、周りからも失笑されるといういきなり出鼻をくじかれるスタートを切る事に

 

そしてGTアカデミーの講習プログラムが始まったのですが、これがまぁかなりキツイ。

基礎体力を付けるための走り込みによるトレーニングやモータースポーツを知識を学ぶ講習を受けるのはもちろんですが、反射神経を鍛えるためのトレーニングをサウナにも近い過酷な環境の中でやらされたり、実際のレーシングカーに乗って運転するトレーニングでは日本の自動車講習よろしくパイロンを倒さないような正確性のある運転を求められたりと、訓練に対して求められる成果レベルのハードルがかなり高い!

しかし彼らにとって一番キツいのはそういったトレーニングメニューの内容自体よりジャックから浴びせられる厳しい罵声混じりの扱きだった。甘えも妥協も許されず、常にベストな成果をあげることを求めるジャックはミスをしたら皮肉たっぷりの罵声を浴びせて心を折れに掛かってくる。その厳しさのあまり、GTアカデミー候補生からは「鬼教官」とさえ呼ばれる始末。

しかし何故ここまで厳しい指導がされるのか?それはモータースポーツ自体が常に死と隣り合わせの最高に危険なスポーツだからです。最高時速320kmにもなるレーシングカーの車内に掛かるGはロケット打ち上げ時に掛かるGの2倍、車内は60℃近い過酷な熱気となり、判断を少しでも間違えたらスピンや衝突、クラッシュは当たり前。一瞬の判断の迷いが死に繋がる事も有り得るモータースポーツに於いてミスは絶対に許されない。だからこそ例え練習であってもミスをしたらフルボッコなレベルで叱る。心は折れそうになるが命までは失われないだけまだマシな部類に入るのだ。

そしていよいよ脱落者を決めるふるいにかける事を宣言したジャック、訓練はここから更に厳しくなり、そのあまりの過酷さに根を上げ始めるGTアカデミー候補生達が次々と現れ始めた。

  • 練習コースの運転中にハンドル操作を誤ってガードにぶつかる→脱落
  • GTシミュレーターでの練習で焦ってコースアウト→脱落
  • レーニングの過酷さに身体が耐え切れず、コース横の芝生に嘔吐→脱落
  • そもそも見込みがないと判断される→脱落

…と、次々とふるいに掛けられ落とされる候補生たち、本来ならあまりよろしくない状況ではあるのだが、脱落者を見送っていくジャックは「おつかれ」「バーイ」とどこか楽しさすら感じていそうな素振りを見せているのを2回観ててもそう感じましたね(笑)

脱落者が増えていく度にやはりこいつらには才能がなかったんだという事を次々と証明してる事になるので、ジャックとしては「ほら見た事か」と言わんばかりの心境だったでしょうね。

そんな中、ヤンにも脱落の危機が訪れます。同じ候補生で実力がトップのマティと練習試合をしている時、ヤンは横にジャックを乗せた状態で走っていました。運転技術が高くてなかなかマティを追い抜けないヤン、そんな中ヤンの得意なコーナリングに差し掛かります。いつものヤンだったらここで巧みなドリフト技術を使って相手を追い抜ける場面、ただゲームでは得意ではあるものの、実践で試すのはこれが初めて、一瞬の迷いが命取りとなるここで、ジャックの声掛けと同時にヤンは覚悟を決めてブレーキを掛ける!!!

…しかし、ヤンのブレーキを掛ける判断が遅かったのか車体は上手く曲がりきれずにガードにぶつかって煙を出してしまいます

「ビビりやがって!!!」と、横に同乗していたジャックは怒り心頭。しかしヤンは確かに自分はあの瞬間にしっかりブレーキを掛けたはずだという確信を持っており、それでも曲がりきれなかった事に違和感を感じていました。そしてそれがフェード*4である事に気付いたヤンは翌日の講義の時間でその事をジャックに主張します。

しかし、本物のレーシングカーに乗って行う実技の本番にビビって踏み込めなかったんだろうと決め付けていたジャックは、フェードではないと真っ向から否定、それでもなお食い下がるヤンの様子は負け惜しみからそう言っているんだろう…と周りの候補生たちからもそう思われ、この時「ヤンは落ちたな」と誰もが確信していました。

だがその直後、サーキットに呼ばれたジャックはヤンが運転していたレーシングカーに乗ってテスト走行したドライバーからこう言われます。

彼の言う通りだ、フェードだったよ」と…

そう言われ、呆然と立ち尽くすジャック…その直後にジャックの口角が僅かに上がっていたのを見て、もしかするとこの瞬間からヤンの隠れた才能に気付いて、ジャックの心境に変化が起きたターニングポイントだったのかもしれません

すぐさま居残ってトレーニングをしていたヤンの元へ訪れたジャックは何故フェードだと見抜けたのか?と問います。彼いわく、ゲームのグランツーリスモはゲームとひと言でいってもその作りはとてもよく出来ている…と、車の見た目や制動挙動に限らず、内部で使われているパーツも本物と同じものである事、そしてヤンはこれまで何千時間もGTをプレイしていた事からそのパーツの特徴と構造を全て知り尽くしていて把握していた。それによってフェードを起こしていた事を見抜く事が出来た…と。

ビビりから来る運転技術のミスではなく、車自体の故障であることを見抜いたヤンの機転の良さによってヤンのGTアカデミー脱落は見事に回避され、最後の最終試験に残る事が出来た。その事を通知したジャックは喜びを爆発させるヤンの雄叫びを背中で聞きながら「こいつは本物だ」と少し誇らしげにしていたのかもしれません。

 

ここからはいよいよ本物のレースと同様に1位を競う最終選抜レースが始まるのですが!それは次の項目に回すとして…

ここのGTアカデミーの訓練パートではヤンがお気に入りのミュージックとしてケニー・Gとエンヤの名前と曲が出てきます。さり気ないシーンではあるのですが、大事なレースが始まる前のルーティンとしてヤンが必ず聴くぐらいであり、そしてこれが最後のル・マンで大きな活躍をします。どういうところで活躍するのかは…ここでは語りません😊

ここまでを観ているとGTアカデミーというものの過酷さが如実に伝わってくるなぁ…と思いました。GTアカデミー by 日産×PlayStationは日産とソニー、そしてポリフォニー・デジタルの3社が協業して立ち上げた実際の企画であり、2008年〜2016年まで行われていました。その中でヤン・マーデンボロー選手は2011年GTアカデミーを勝ち抜いた4期生であり、改めて言うのも何ですが、この映画はそのヤン選手の実際の経験を元にした実話ベースの話です。

そしてそこでも本物のプロレーサーとして育てあげるための訓練は過酷さを極めていたようで、普段ずっと家の中で過ごす事が殆どだったゲーマー達は基礎体力と持久力が常人よりも低い中で、いきなり軍隊式のトレーニングを課せられた候補生たちは次々と脱落していったらしいです。映画では展開のテンポが早かったがために脱落の流れがかなりスムーズでしたが、実際に候補生たちが見切りをつけられ落とされる様子というのはかなりリアルに描いていたんじゃないかなぁと思いました。

そしてここでのヤンは憧れだった夢への実現のチャンスを奇跡的な方法で掴み取った事から彼のGTアカデミーに対する姿勢は本気で並々ならぬ思いがありました。それは自らの夢に対する執着だけでなく、「家族(主に父のスティーブ)に対する背水の陣」があったからというのも大きかったんだと思います。父から現実を見ろ、このままだとお前の終末点はここ(工事現場)だとさえ言われ、半ば反発する形で家を飛び出してGTアカデミーの道へ進んだ以上、背に腹はかえられない思いに駆られていたのは確かで、ここで脱落して戻る事は「夢の実現は無謀だったという事を証明する事になってしまう

その事への焦燥感で頭がいっぱいだったヤンはブレーキミスがフェードだとジャックに主張する所にもかなり迫真の本気さが伝わったんじゃないかなと思うんですよね。モータースポーツという競技での新人育成がどんなもので、そしてそれがどれほど過酷なものなのか?どのスポーツにも言える事ですが、プロのアスリートを目指す事は生半可な気持ちでできるものじゃないってのが伝わってきてとても良かったですね…!

 

白熱のレースシーンがマジで熱い!!!

さて!いよいよGTアカデミーでは最後の選抜レースが始まることになるのですが!ここで少し趣向を変えてこの作品の大きな魅力の一つであるレースシーンについて色々述べたいと思います!👍

この記事の最初の方で僕は「モータースポーツは詳しくないし、さして興味もなかった」と書いたのですが、そんな僕ですら迫力のあるレースシーンには観ててかなり興奮してしまいました!この映画では車を走らせるシーンがいくつも登場するのですが、具体的に書くと

  1. 夜遊びの帰りにパトカーの制止を振り切るカーチェイス
  2. GTアカデミー予選会のGTレース
  3. GTアカデミー最終選抜レース
  4. FIA国際ライセンス取得レース
  5. ル・マン24時間耐久レース

と…大まかに5つのレースシーンがあるのですが、その中でも特に3、4、5のレースシーンは観てるこっちが前のめりになって応援したくなるほどで、最後のル・マンのレースなんか初めての鑑賞の時は興奮で魂の震えを感じずにはいられませんでしたね…!!!レースシーンでは具体的に何に対して興奮するのかと言うと、ヤンの卓越した技術と才能によって次々とライバルを抜き去って行く爽快感や、ライバルの妨害によって逆境に立たされる場面でも機転を効かせて切り抜けるのもそうなんですが、何よりピットでのジャックとの熱い会話や現場の熱気が伝わってくるのが凄く良かった!

ヤンが優勢に立っていればイケイケGOGO!と捲し立てるし、不利な状況になると緊迫感が伝わってくる。海外の人たちのリアクションや感情表現は日本人のそれと違ってとてもアグレッシブなので、モータースポーツに限らず、スポーツ映画での臨場感を伝えるのに洋画はとても相性が良いのかもしれません。映画GTではそういった現場のリアリティが画面を通しても伝わってくるのが良いんですよね…!

それとすごく親切だなぁと思うところがひとつあって、その時走ってるレースでヤンが今何位で、何周目に入ってるのか?がリアルタイムに伝わってくる所がとても分かりやすくて、ヤンの順位表示に関してはまさにGTのゲーム的表現を映画に取り入れてる事でその時の状況を瞬時に理解する事が出来るのでヤンの応援に力が入るんですよね。本物のレースでは拮抗するとプロの人ですら誰のどのチームの車が1位なのか?等を判断するのが難しいとの事らしいので、画面に映るレーシングカーの上にリアルの順位表示を付けたのはとても良い表現だったと思いましたね。

そして何より迫力が凄かった!今回の映画GTは本物のレースサーキットとレーシングカーとプロのドライバーを全て用意してあり*5実際のレースシーンはCGをほぼ使わずに走っている事で本物さながらの迫力を表現出来ているそうです。また、技術的な事についてあまり詳しく解説は出来ないのですが、レーシングカーを後ろから追走したり、前から回り込むような迫力のあるカットを映せているのは、ドローンレースでもよく使われているFPVドローン*6を使って高速で走っているレーシングカーに着いて来れているからこそ実現できているんだそうです。これによって、本物のモータースポーツでもあまり映らなかった間近で走るレーシングカーのカットをより多く映す事ができるので、より深い臨場感を味わえたんですよね。

また、レーシングカーの車内ではヤン役のアーチーさんが実際のレーシングスーツを着て、ヘルメットを被り、車内に乗っている様子が映し出されますが、実はこの時乗っている車はグリーンバックの中にある動かない車…ではなく、遠隔操作によって動く本物の車内で撮影しており、違うのはハンドルとアクセルとブレーキのペダルがダミーな所ぐらいで、それ以外は全て本物、運転は本場のサーキットでの運転経験があるスタントドライバーが遠隔操作で運転する事によって、車内に乗っているアーチーさんは運転経験がなくても時速320kmに近い走行速度の車内を経験する事が出来るので、車内でのヤンの緊張感や鬼気迫る様子がリアリティに映し出されているんですよね。

リアルタイムに映し出される順位表示に遠隔操作による本物の走行、そしてそれを追走するドローンによる最新技術、更にヤンを中心に映し出される車内の様子、これらが合わさる事によって本物のレースさながらの迫力を観客は味わう事が出来、レースシーンがとても迫力のあるものになりました…!

 

というわけでここからは名シーンとも言えるGTアカデミー最終選抜レースとFIA国際ライセンス取得レースで良かったポイントを述べていこうと思います。

 

・GTアカデミー最終選抜レース

ここまでの訓練に耐えて最後のレースに挑むヤン、レースがスタートするとヤンは順調にライバル達を抜き去り、1位のマティ、2位のアントニオの元まで追いつきます。だがこの2人は腕も立つ上位組なだけになかなか追いつけない。しかしヤンは天才的な才能によって抜けると思った場面でインを突き、アントニオを追い抜いていよいよマティの元まで追いつきます。

マティとの一騎打ちとなったこの場面最後の最終コーナー、あの時フェードによって曲がり切る事が出来なかったカーブに差し掛かったヤンはあの時と同じ勢いでブレーキを掛け、見事に成功!直線で一気にトップスピードを上げて最後の大勝負!そしてふたりはほぼ同時にゴール!どっちが先にゴールしたのかの協議が始まりました。

ジャックがスローモーションでのカットで見た結果…勝負はヤンの勝利、しかしその結果を伝える事を一旦ダニーに止められます。

マーケティングの視点から考えてみよう」

そう言ったダニーはインタビューでも緊張してキョドってしまい、受け答えもハッキリしないヤンよりもマティの方が日産の代表の顔として相応しいと述べる…が、勝負としての実力ではヤンの方が上だったと判断しているジャックはそれが勝者と敗者の違いだとして意見が対立。未だに結果が伝えられずにやきもきしている2人、協議の末に決まったその結果は……ヤンの勝利!この時のヤンの喜びようはパッションに溢れていてとても良かったですね…!

見事にGTアカデミー最終選抜を突破したヤンはこの後の日産との契約を果たすための条件として課せられたFIA国際ライセンス取得のため、オーストリアのウィーンまで飛びました。

 

FIA国際ライセンス取得レース

ここまで書いてきてそろそろ長過ぎてしまうので本当はカットしたかったのですが、やはりこのレースに関してどうしても外す事が出来ないので手短に語りますが、FIA国際ライセンスを取得するための条件としてヤンにはこれから行う6回のレースの間で4位以内に入る必要があります。

そこで新しく現れるライバルがシューリンとキャパなんですよね…!特にこのキャパがまぁ汚い野郎で!レース中には何度もヤンのカートにワザとぶつかって来てはマシンを壊したり、スピンさせようとしたりするし、そのくせ実力はしっかりあるもんだから腹立たしいったらありゃしない!*7そんなキャパの妨害のせいで初戦は最下位という最悪の結果に、以降もドバイの最終レースに入るまでは伸び悩む結果となってしまうんですよね。

そしてヤンの立場もこの時点ではまだまだ厳しいところがあります。GTアカデミーでそれなりの運転経験を積んできたとはいえ、元はGTをやり込んだだけのシムレーサー、そんなヤンが本物のプロレーサーになれるとは周りの誰も期待しておらず、同じチーム内のエンジニアでさえヤンの事を「ヌーブ(初心者)」とバカにする始末。でも実はこの時からジャックの心境には変化が起き始めていて、GTアカデミーの講師をしていた時とは違って「お前ならできる」とか「安心しろ、誰も期待してない。気楽にやれ」といったヤンの事を励ます前向きな言葉を多く出すようになります。

ヤンが本物のプロレーサーになるための才能があると確信してからのジャックはヤンを心の底から応援するようになり、そんな期待された声に応えるようにヤンもまた、ジャックの事をだんだん信頼するようになっていきます。レースを通じて互いに信頼関係を積み上げていくこの様子が映画GTの見どころにもなっており、そんな2人の信頼関係が最後に発揮されるのがル・マンのレースとなっているので、この2人のドラマは本当に良いものがあるんですよね…!

そしていよいよあとには引けない大一番!ヤンとジャックはドバイのドバイ・オートドロームでの最終レースに入ります!

オートドロームでの最終レースでヤンは順調に順位を追い上げて行きますが、4位、5位のキャパとシューリンに挟まれ、ヤンは再び追い詰められる。2台挟み撃ちという最悪な状況の中、ヤンはここをどう切り抜けるのか?取った選択はまさかの減速!予想外の行動にキャパ達が一瞬の動揺を見せた所を見逃さなかったヤンは、すかさずインコースを突いてキャパとシューリンの2人をごぼう抜きにします!見事に4位まで登りつめたヤンはライセンス取得のチャンスを掴みかけます。この時、ヤンに追い抜かれた事に激高したキャパはすぐさま追い上げて抜かそうとしますが…キャパは怒りのあまりにオーバースピードを出してしまい、コーナリングを曲がりきれずに横転してクラッシュしてしまいます!実は冒頭でもキャパはキレやすくて、精細さを欠きやすい事をジャックから指摘されていたのですが、その指摘されたポイントが如実に出る形として現れてしまいましたね……このクラッシュによってキャパは無事だったものの、怒りのリタイア。そしてこの時、クラッシュした勢いでキャパのランボルギーニのタイヤが外れ、そのままヤンのGT-3のフロントガラスに激突!ひび割れてしまった状態で黄旗が出され、ピットイン。

視界にハンデは出来たものの、支障はあまりないということでレースはすぐさま再開。後ろに着いてくるシューリンの猛追が迫りますが、それを何とか切り抜け、ヤンは見事にゴール!!!4位入賞で国際ライセンスを取得する事に成功しました!!!

この時、ヤンは妨害された怒りをキャパにぶつけますが、そんな事よりもライセンスが取れた事を大いに喜ぶジャックとダニー、誰も実現できないと思われていた4位入賞による国際ライセンスの取得に胸を躍らせ、激しく喜ぶ様子にスクリーンを通して見ていた自分もかなり興奮していました…!ヤンを自然と応援したくなる構図になっていた映画なだけに、ヤンやジャックに対する思い入れの強さもだんだん強くなっていた劇場観覧者の人達もここまでで結構な感情移入をしてきたんじゃないでしょうか?僕も本当に試合を眺める観客と同じぐらい高ぶる気持ちで胸がいっぱいでしたしね…!

国際ライセンスを取得する事に成功したヤンは晴れて日産と契約を結ぶ事になり、調印式のために訪れた日本でガールフレンドのオードリーと一緒に日本を観光して楽しみまくりました。

 

しかし、良い事が起これば悪い事も起きる。

次に起きた最悪のシーンに僕はかなりの衝撃を覚えました。

 

衝撃的過ぎて自然と涙が出たニュルブルクリンク北コース

国際ライセンスを取得した事で選手として順調な道のりを進んでいたヤン、次に挑んだのは緑の地獄とも称されるドイツのニュルブルクリンク北コースだった。

全世界で中継されたレースの様子を母のレスリーと父のスティーブがテレビを通してヤンの初陣を見届ける。そこでのレース前、ヤンは日本での観光で購入したお土産をジャックにプレゼントした。この買い物をする時に友人へのお土産として…と言ってプレゼントを購入していたことから、ヤンの中でのジャックへの信頼感はとても大きくなっている事が伺えました。

そんなプレゼントを渡した後に始まったニュルブルクリンク北コースでのレース、ここまで順調なレース運びとなっていたところで風速の強い向かい風が吹き始めた。「そろそろピットインさせよう」そう決めたジャックは無線でヤンに指示をします…が、故障をしていたのかジャックの無線はヤンの耳には届かず、ヤンは山の山頂を登る直線で優勢に立とうと一気にスピードを出して追い上げます。その結果………

 

フルークプラッツでヤンの車の車体が浮き上がり、上下真っ逆さまに横転、コースアウトと同時に大クラッシュをしてしまいました……

 

その事故の瞬間は全世界に中継され、両親もその瞬間を目撃、それがヤンの車だと確信した母のレスリーは大号泣、ピットの現場は騒然とし、大勢の人達が大慌てで対処する中、ジャックとダニーはヤンの救出に向かった救急車を追いかけますが追いつけず…壮絶な瞬間を目撃した緊迫感に現場は地獄の様相と化していました……

 

この時、僕はあまりにも衝撃的過ぎるシーンに自然と涙が出ていました。映画やゲームといった創作物としての作品を観たりプレイしていたりした時、感動とされるシーンや、クライマックスのシーンでは感極まって涙したり、そこに至るまでの間には心の中で自然と悲しい気持ちになったその末に涙を流す事が多かった。つまり涙を流すのにもある程度の下準備やお膳立てをゲーム側や映画側がして涙を流す準備みたいな段階を踏んでから涙を流す事が多かった。

でもこのシーンに関してはそんな下準備も何も無くいきなり唐突に衝撃というものはやって来ていて、悲しい…という気持ちが頭の中で追い付いて来るよりも"先に"涙の方が自然と出てしまっていたんです。こんなの初めての経験だった。人はあまりにも突発的に衝撃的なものを目撃すると身体が自然と涙を流す…つまり悲しいという気持ちを頭の中で理解するよりも先に身体の方が本能的に悲しみの感情を感じ取って涙を流す生き物なんだな…ってのをこの時初めてそう感じました。

騒然と化するピットの現場、泣き叫ぶ母親の声、後から知らされた観客が死んだ=ヤンが殺してしまったという事実。深い悲しみに陥り、絶望に苛まれてしまったヤンの様子は観ていてとてもいたたまれず、鑑賞している自分もまた絶望の淵に叩き落とされたかのような絶望感を感じました…

あんなにも衝撃的過ぎる衝撃は他になく、僕の気持ちの整理も追いつかないような状態でした。

 

でもこの後が作中でも重要なシーンと言えるぐらい重要な場面でして、ヤンを連れてニュルブルクリンクの事故現場までやってきたジャックはここで初めて元プロレーサーだったジャックが何故現役を退いてしまったのか?の真実が語られます。今まで殆どの人に語ることのなかった真実をヤンに話したのはそれほどジャックはヤンに対して全幅の信頼を寄せているから。起きてしまった事実をどう受けいれ、そしてどう向き合うのか?例え逃げたって良い、今ここでレースから逃げたとしても誰もヤンの事を責めたりはしない。でもそれでも尚ヤンには前を向いて欲しい。それはチーフエンジニアとしての、指導係としてのジャックではなく、ジャック・ソルターという一人の人間として、そしてヤンの友人としてヤンには前を向いて欲しい。それが今のジャックの心からの願いだった。

絶望のどん底まで叩き落とされてからの立ち上がる様子はスポーツを題材にした作品ではよくある展開ですが、やはり映画GTでもここは熱いですね…!ハリウッドでこんな少年漫画的な展開が観れるとは思わなかったのでここで思わずグッと涙が出そうになりました…!

 

感動に心が湧いたル・マン24時間耐久レース

そして最後の名場面となったル・マン24時間耐久レースについてですが…ここで僕は大きく悩みましたが、このシーンについては多くを語りません

是非とも、劇場に足を運んで観てほしいのです

ヤンとスティーブ親子の確執、ケニー・Gとエンヤ、GTアカデミーの候補生、ヌーブ(初心者)、ヤンがジャックに渡したプレゼント、ジャックとヤンの熱い会話、その全てが最高の形でクライマックスを彩る要素となります

レースの果てに魅せた最高の演出、そしてエンディングをこの目で是非見届けて欲しいです。少なくとも僕がこのル・マン24時間耐久レースのシーンを観終わった時、感極まった末に再び涙を流していました。同じく映画GTを観たPSユーザーのフォロワーさんはここで嗚咽するぐらい咽び泣いたんだそうです。でもその気持ちもすごくよく分かります。

ここまでを観ていれば観客はヤンとジャックに対する思い入れも深くなっているはずで、レース前のあのシーンに涙し、レース中の熱い展開に胸を躍らせ、最後のクライマックスの瞬間は共に喜びたくなるぐらいの感情を爆発させている事でしょう…!

 

ゲームのグランツーリスモモータースポーツが何故世界中の人達から愛され、今なお続くコンテンツ&スポーツとなっているのか?その理由が僕はこの映画を通して知る事ができた。それだけでも本当に良かった。

 

映画グランツーリスモは間違いなく僕が観た今年の映画の中でNo.1の映画でした!!!

 

2回目のリピート鑑賞を経て

初めてのレイトショーでの映画鑑賞を終え、深夜の街中で興奮冷めやまない状態となった僕でしたが、その熱意は留まることを知らず、興奮状態のまま映画GTや実際のGTアカデミーの事について色々検索をしていました。するとTwitterの映画GT公式アカウントを見つけ、どうやら10月12日以降から上映終了となる映画館が次々と出始めるとのことでした。実際、僕が観に行った10月16日の時点でも地元映画館では上映終了ギリギリの状態となっていたらしくて、残念ながら3日後の10月19日を持って上映終了となってしまった

そして映画GTはIMAXや4DX、screenXなどでの特殊な上映形態での上映もしているという事が調べて分かった。白熱の様相を見せたGTの4DXでの鑑賞…行きたい気持ちは山々だが、今月は節制を心がけなければならないから我慢しなければ……

 

 

 

 


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いやこんなの絶対に行かなきゃ損じゃん!!!!!

 

とゆーわけで節制しなくちゃの心掛けはどこへやら、16日の鑑賞後の翌日の17日、TOHOシネマズ新宿のゴジラビルまで来てしまいました(笑)

16日の鑑賞後に帰宅した後の深夜、4DX上映の存在を知った僕は近場で4DXもしくはIMAXで観に行ける映画館がないかどうか探しまくりました。その結果、TOHOシネマズ新宿であればMX4D(4DXと同じ)で映画GTを観れるとの事で、これは絶対に観に行かなくては!と思い、深夜にTOHOシネマズ新宿のウェブサイトに入ってチケットの予約購入をしました。平日であるにも関わらず、その時点でも既に多くの座席が売れていまして、ここで迷っていたら良い座席が取れなくなる!と思い、予約購入の決意を固めました。

何気に人生で初めてのTOHOシネマズ新宿の利用となり、そしてこれが人生で初めての2回目のリピート鑑賞となりました。

僕はこれまで映画館で観る映画は1回で終わって満足する事が殆どで、2回目以降のリピート鑑賞を映画館でするという発想がありませんでした。実家にいた頃は映画館で観終わった作品がだいたい半年後にレンタルショップ店でレンタルDVD化してる事が多く、それを見付けたら借りて観る程度にはリピート鑑賞をする事があまりなく、最近の映画商法としてよくある入場者限定特典を公開週によって変えるという手法に対して、いささかどうなんだと思うこともあったりしたのですが、この映画だけは絶対に4DXでのリピートが必須だなと思っていたので、今回の映画のリピート鑑賞に対しては何の躊躇もありませんでした。

 

鑑賞前にケバブサンドで腹ごしらえをしてからいざ鑑賞!感想としましては…やはり思っていた通り、レースシーンになった時の体感演出は凄まじいものとなっており、まるでレーサーになったかのようなとてつもない臨場体験を感じる事が出来ました!具体的にはエンジンを入れた時に感じるアイドリング時の座席の振動やカーブを曲がる時の座席の左右方向への揺れ、キャパに邪魔をされてボディを壁に擦られてる時には火花としてストロボでのフラッシュが焚かれ、車がクラッシュしたり、衝突した時に出る煙もフォグで表現しており、映画GTの上映前に映るPS studioのロゴ紹介の瞬間にも4D演出が入ったのはちょっと笑っちゃいましたけどね(笑)

4D演出には他にも風を吹き出したり、雨を降らせたり、匂いを演出したりといったものもあるのですが、今回の映画GTではそういった演出は使われず、4D演出としては結構控えめなものでした。しかし、レースシーンでレーシングカーを運転してる時の座席の揺れの演出は凄まじいものがあり、特にカーブに差し掛かって、追い抜くためにトップスピードでギアを入れた瞬間には鑑賞者である自分達にもGが掛かったかのような錯覚を感じる事ができたのでこれだけでも4DX料金を支払っただけの事はありましたね!!!

トップガン マーヴェリック」や「THE FIRST SRAM DUNK」のように、最近の映画は「映画館で観るべき映画」というふうに、映画館での大画面や豪華な音響設備で見る事を前提にしたかのような構成になってる映画も出てたりしていますが、映画GTもその類に漏れず、まさに映画館で観るべき映画であり、そしてIMAXか4DXで観るべき映画でもあると思いました。上映終了となってしまうその前に、映画GTの4DXでの鑑賞をする事が出来て本当に良かったと思いましたね…!感無量でした!

 

まとめ

そういえば2回目のリピート鑑賞の時に感じた印象深い出来事なんですけども、実は同じスクリーンの中にいた観客の人がもれなくみんな泣いてたんですよね…特にニュルブルクリンク北コースのシーンからル・マンのクライマックスに掛けてはヤンとジャックの熱い友情を大きく感じる所から、思わず涙を流してしまう人がとても多かったです。

後ろからは若い男性客の鼻をすする声が聞こえ、僕の2席横に座っていたおば様は指で涙を拭い、斜め前にいた女性はハンカチを目元に当てていました。僕は流石に2回連続での鑑賞だった為に涙こそは出ませんでしたが(それでもニュルのシーンとラストでまた泣きそうになったけど)これが初めての鑑賞だったらつられて一斉に泣いていた事でしょうね。

昨今、映画館では劇場鑑賞中にも関わらず、スマートフォンやスマートウォッチの起動をして場内を光らせるマナー違反を平然とする質の悪い鑑賞者が増え、そういった"一部の迷惑な輩"による快適な映画鑑賞を阻害された事を理由に映画館で映画を観に行く事を辞める人が増え、由々しき問題となっている現状があります。

今回の1回目と2回目の映画鑑賞では幸いにもそういったマナー違反を犯す人が居なかった為に映画GTの世界観に深くのめり込んで鑑賞する事ができただけでなく、2回目の鑑賞ではどことなく観客のみんなとの一体感というものを感じる事が出来ました。

 

映画「グランツーリスモ」はPlayStationの同名の大人気ゲームを元にした作品です。ですが、この映画作品の本質はゲームを通じて夢を叶えた少年ヤン・マーデンボローと、夢を手放し自堕落な毎日を送っていたエンジニアのジャック・ソルターが出会い、友情を育み、共に成長し、壮大な夢に挑む熱い少年漫画のような希望溢れるストーリーとなっています。

「頑張れば夢は叶うんだ」「希望が持てるんだ」と、気持ちを前向きにさせてくれる映画になっていますので、まだ映画GTを観たことがないという方は最寄りの上映している映画館を探して是非観に行って観てください!

 

最高に面白い作品である事を保証しますよ☺️👍

 

さてさて、本当に長い長い長文となってしまいましたが、ここまで読んで頂きありがとうございました!!!

 

皆さんもぜひ、素敵な映画ライフ、そしてゲームライフをお楽しみください😊

 

ありがとうございました!!!

 

 

ニホンバト

 

 

 

*1:昔は上映開始時間が更に遅いスーパーレイトショーというものもあったんですが、残念ながら現在はなくなってしまいました。成人したばかりでやっていた今のうちに体感して観たかった…!

*2:2022年11月16日時点

*3:ハンドルコントローラーの略

*4:自動車やオートバイでの走行中に摩擦ブレーキを連続使用した結果、ブレーキの効き(制動力)が低下すること。これは同様の摩擦材を使う乾式のクラッチディスクでも起こりうる。(Wikipediaより引用)

*5:劇中であったGTアカデミーの舞台のシルバーストン・サーキットル・マンの舞台となったサルト・サーキットはハンガロリンクに専用のセットを設けた事で模造したらしい

*6:ファースト・パーソン・ビューの略

*7:でもキャパのようにワザとぶつかってくるといった妨害行為があるのは本物のレースでも日常茶飯事らしく、ぶつけられたらやり返すぐらいの勢いで立ち向かわないと付け狙われ続けてしまうみたいです。