ポッポ屋日記

日記的なブログにしたいです

鳩の小噺3「単行本勢になって分かったこと」

 

昔の話になるが僕は小学生の頃から高校生になるまで毎月コロコロコミックを買ってはそれを楽しみに読んでいた。連載されている漫画はギャグやコメディ漫画が多く、ベイブレードデュエルマスターズ等の熱いバトル漫画もあり、特にゲーム漫画としては最年長の連載期間を持つスーパーマリオくんや支離滅裂な不条理さが大人になった今でもツボにハマれるでんぢゃらすじーさん等は幅広い層のコロコロ読者に今でも愛される作品となっている。また連載漫画が面白いだけでなく、ホビーやコロコロがビックアップした新作ゲーム情報が充実していたり、ポケモン映画の特報をコロコロで独占公開してたり、小学生向けの漫画雑誌としては幅広いニーズに応えられるような内容が多かった事は振り返った今だから気付けた事だ。

ただ、普通は中学に上がればコロコロを卒業してサンデーやジャンプ、マガジン等の年齢層が上がる少年誌に移行してもおかしくはなかったのだが、その当時の実年齢に比べて精神年齢が低かった僕は高校に上がるまでじーさんのギャグでまだゲラゲラ笑えてたのでなかなかコロコロを卒業することが無かった。また、週刊雑誌と比べると月刊誌は値段に見合ったボリューム内容でコスパが高く、月1000円の小遣いだった僕でも買いやすかったというのもあって他に移行するという発想が無かった。いつから買い始めたのかすら覚えていないほど御用達だったコロコロコミック...少なくとも10年近く読んでいたことは間違いない。

そんな僕もいつしかコロコロを読まなくなってから数年が経ち成人した時、今度は月刊少年サンデー(ゲッサン)を読むようになった。「からかい上手の高木さん」という作品の第1話をpixivコミックの試し読みで読んだ時に初めて感じた尊いという感情を、尊いという言葉の概念も分からないまま本能で感じたあの狂おしくなりそうなほどの心の揺れ動き方...心臓のドキドキ...あれは今でも忘れられないほどのセンセーショナルな出会いの思い出だった。

高木さんという作品をきっかけにゲッサンと出会い、大人になった今だからこそ分かる漫画の面白さに気付き、ゲッサン作品を中心に僕は漫画にまたハマることになった。「海王ダンテ」に「味噌汁でカンパイ!」「あそこではたらくムスブさん」や「春のムショク」「殺し屋Sのゆらぎ」etc...等、知名度的な点で言えば大ヒットコミック程の有名さは無いものの、漫画としての確かな面白さをゲッサンで読んで感じていたからこそハマれる作品と出会う事も出来た。

新連載の作品を雑誌で読んで面白いと思ったら単行本を買う、その当時は雑誌+単行本勢という一番漫画をコンスタントに楽しんでいた時期だった。またゲッサンは短期集中連載や、今はなくなってしまったが、ゲッサンminiによる読み切り作品を豊富に詰め込んだ短編集のような付録もつけていた時期があり、その小冊子で今でも応援するぐらいハマった新人漫画家さんの作品との出会いもあった。

それと同時に僕はこの頃を境にファンレターも積極的に書くようになった。メールやLINE等での電子文字によって発せられる言葉一つ一つの重みが軽くなり、若者からは比較的ライトなコミュニケーションを求められ、手書きの手紙が重いと言われる時代にある今だが、書き手の感情が読み手にダイレクトに伝わるのは手書きの手紙が一番だと知っていた僕は作家の先生に対するファンレターをメールではなく、手書きの手紙で書くことにこだわりを持っている。

もちろん昨今は漫画家さんたちもSNSの世界に現れてはオンライン上でファンとダイレクトに交流をしている時代、しかしそこで交わすやり取りだけでは伝わらない事もある。手紙というものは書き手が読み手に最も伝えたい事は何か?という事を時間を掛けて考えながら一五一五したためていくものである。あなたを応援したい、あなたの描く作品が大好きだ、と...作品から受けた感動や感銘に敬意を評し、一ファンとして応援する者でありたいという当たり前だけど大事な事を改めて伝えられるもの。それが手紙だと思っているし、そういう意味でも未だに手書きの手紙の存在を最も重要視している。もしあなたが大切な誰かに伝えたい事、訴えかけたい事があって、それを手紙として書いて、その手紙を相手が読んだ時に心揺さぶる様な感情を抱かせる事が出来たらその手紙は最高の出来だと思う。

 

少し話は逸れてしまったが、2017年の頃から読み始めたゲッサン愛読生活も丸3年が過ぎていた。その間に様々な作品と出会い、悠々自適な漫画ライフを楽しんでいた。しかし去年の11月に勃発した家出騒動をキッカケに実家に置いていた漫画は全て放棄する事となってしまった...。それまで3年ちょっと、毎月の12日を楽しみに待ちながら買って大事に集めていた漫画をだ断腸の思いで全て放棄しなければならなかったのは正直辛かった。これまでの生き甲斐のひとつを捨てている様な気がして、それまでの努力が全て否定された様に感じて、たかが漫画と言えども大事にしていたものを置いて前に進まなければならなかったのには悲観した。

その頃を境に愛読していたゲッサンを読む事も辞めた。あの時バタバタしてたからというのもあるが、新生活ではリアルな紙の本を置くスペースが無く、それまでずっと紙媒体で読んでいたのに急に電子書籍に変わるのも違う気がしたのでゲッサンは今も読んでいない。つまり雑誌+単行本勢だった僕は単行本勢になった。愛読している漫画の最新話は読めないが、単行本でまとめて読む事が出来る上に雑誌代が掛からないというのはある意味最もお得に漫画を楽しむことが出来るスタンスとも言える。

しかし、同時に単行本勢になったからこそ分かったこともある。自分が思っていた以上に漫画に対する関心度が減ってしまったのだ。

世の中漫画を愛する人たちの半分以上が恐らく単行本勢であり、漫画雑誌が売れなくなっていると叫ばれている昨今、雑誌を買って最新話を追いつつ、単行本まで買っている...という人はそうそういないだろう。アメトークの漫画大好き芸人にでてきた芸人達はほぼ全員当たり前のように雑誌+単行本勢というヘビーユーザーでもあったが、毎月、毎週発売される雑誌を買いながら単行本を買うというのは割と結構なお金が掛かる。それも1社だけに留まらず複数の出版社の雑誌を買っていた場合の1ヶ月の漫画代は雑誌代だけでもバカにならない金額になる。だが雑誌を買って読むという行為は常に気になる作品の最新話を追い、リアルタイムな感想を編集部と漫画家さんに送る事が出来る貴重な機会となっており、日本の選挙で国民一人一人が投票券を持って投票できる事の重要性を担っている様に、漫画雑誌購読者からの読者アンケートの評判を重要視している出版社も未だに少なくはない*1

そして読者として漫画雑誌を買って読む事のメリットは常に一定の周期で漫画に触れる機会がある事で漫画に対する関心を持ち続けられる事、これは僕がゲッサンを読む事を辞めてから初めて気付いたメリットでもあった。単行本勢になると言っても単行本の新刊が出るのは月刊誌連載だとどんなに早くても4ヶ月〜半年に1冊、週刊連載ならもう少し早くなるが、それでも2ヶ月は最低は掛かってしまう。その新刊が発売されるまでの間に漫画に触れる機会は殆どなく*2、その間に他の出来事に関心事が移る事もあるし、触れる機会が無くなることで関心自体が薄くなってくる。僕は最初から失った過去作を取り戻そうと目星を付けているので毎月単行本を買う事を辞める事は無いが、少なくとも新連載作品をその目で読んで触れる機会が無くなった為、新連載作品の単行本を買うハードルは上がってしまった。何故なら連載雑誌で読んでいない事によってその作品が自分にとって面白いかどうか?ハマれるものかどうか分からないからだ。

元々漫画とゲームを天秤にかけた時、人生と共にあった趣味はゲームということもあり、漫画を読む頻度もそんなに多くはなかったものの、ゲッサンという雑誌の存在が結果的に漫画を読む動機を与える機会となっていて、それが無くなった今は更に漫画を読む時間が減ってしまった...漫画家さんたちにとってはかなり寂しい事を書いてしまったが、これまで出会った作品に対する敬意と漫画家さんに対する個人的な想いは今も変わってはいない。

これからも少しずつ、少しずつ失われた漫画を取り戻しつつ、細々と漫画を楽しんでいくつもりだ。

 

皆さんも自分の推し作品を応援して漫画ライフを楽しんでください😊

 

 

*1:以前Twitterで「雑誌勢の人は単行本勢の人に配慮して最新話のネタバレをしないで!」といったツイートがバズって話題になった事があったが、出版者としては単行本勢<雑誌勢<雑誌+単行本勢となっているのでバンバン雑誌を買って、最新話の感想を下さいと漫画家さんや編集部公式がつぶやく結果になったので漫画雑誌という物の存在がいかに重要な物なのかが分かる結果となった

*2:今はスマホアプリでマンガを読む機会が充実しているが残念ながら僕はスマホで漫画を殆ど読んでいないので機会は無いとみなしている