ポッポ屋日記

日記的なブログにしたいです

FINAL FANTASY ⅩⅤ 感想記事 〜DLCストーリーを経て〜

 

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前回書いたFF15本編の感想記事に続き、今回は本編では描かれなかった知られざる物語であるDLCストーリーを攻略した。FF15本編をクリアしただけでは煮え切らないストーリー要素もあった中で、このDLCをクリアした後だとFF15全体に対する物語としての纏まりの良さが全然違ったので一つ一つのDLCに対する感想をピックアップしつつも、そのDLC攻略を経て何を感じたのか?をここに書いていこうと思います。

 

FF15DLCについて

FF15本編では仲間が不在or空白期間が設けられる機会が3回ある。以下に並べるとこう

  • 第6章の奮起の最後に別行動をするグラディオ
  • 第9章のクリアからノクトが目覚めるまでの間の空白期間
  • 第11章の最後にアーデンの罠ではぐれてしまうプロンプト

この時パーティーを抜けている時の仲間がどういう行動を起こしていたのか、空白期間の時の仲間はどうしていたのか?等の描写は本編内では一切描かれておらず、帰って来たと思ったら顔に傷が増えていたり、目が覚めたら仲間が失明していたり、救出した直後に「俺、ニフルハイム人なんだ」とカミングアウトされたりと仲間の心境と見た目に大きな変化が起きていて、どんな経緯があってそうなったのかの説明はほぼ皆無と言っても過言ではない。

そもそもこの当時のFF15開発チームは既存のRPGというジャンルに於いて当たり前のようなスタイルとなっていたゲームの「売上初動型」から脱却し、今の任天堂が自社ソフトでやっている"定期的なアプデとDLCによって長く長期的に一つの作品、コンテンツを楽しんでもらおうとする"「長期スパン型」でこのFF15を盛り上げようとしていた節があったらしく、恐らく本編を開発していたこの時からスタッフは別行動をしている時の仲間のサイドストーリーをDLCとして出す予定にしていたのだろう。しかしそのスタイルの弊害として、後出しでコンテンツ内容を埋め合わせる事を前提としているがために発売初期のゲーム内容はスカスカで痒いところに手が届かないなんて事がザラにあり、懸念も無しに初動で買ってくれたユーザーからは「未完成品を売り付けた」と叩かれる原因にもなっており、コンテンツの充実が成されていない初期のゲームソフト本編を「有料β版」「中身の無いスカスカおせち」と揶揄される事も少なくはない。

オマケにFF15本編に限って言えばDLC内容は本編内容にも根強く関わるストーリー補完DLCであるが故に「最初から本編に入れとけよ」と叩かれる原因となってしまい、1度クリアしたらそこで終わりとする僕みたいな考えをするユーザーも多かったがために、DLC自体の売上も芳しくなく、その事実はDLC関連のトロフィー獲得率の低さが全てを物語る事となってしまった...

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f:id:Gameslifeisff:20210524083259p:imageこれはロイヤルパック適用後の新しいトロフィーになるのだが、全体的にトロフィー獲得率が低い、特に後から追加されたアーカイブ要素は本編を最初からプレイし直さないと埋め合わせできない要素もあったりするので最初からやり直すのがダルいと感じるユーザーも多かったのか獲得率0.数パーセント台と異様に低い

 

当時のFF15スタッフもここまでDLCの売上が低いとは思わなかっただろう、しかし一度始めたシーズンパス計画を今更止める事など出来ず、シーズンパス第2弾が中止する直前までスタッフはこのFF15という作品世界の構築を最後まで完結させようとひた走っていたのかもしれない。

紆余曲折あって開発中止になってしまったDLCコンテンツだが、これまで配信されてきたDLCはストーリーの補完と共にFF15本編とは違う操作感でのバトルなどを楽しむことができて内容はとても充実していた。隠されていた真実や事実が明るみになるDLCストーリーはFF15の世界観を広げるのに一役買っており、よりFF15という作品に対する思い入れが深くなった。

以下感想です

 

王の盾としての武者修行を果たすストイックなエピソードグラディオラス

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エピソードグラディオラスはカエムの岬でノクト達との別行動を希望したグラディオが、本編でも共に戦ったコル将軍の案内で初代王の盾とも言われる剣聖ギルガメッシュの元に向かい、王の盾としての稽古を付けてもらうというお話

そもそもグラディオがノクト達から離れてまでギルガメッシュの元へ向かった理由は帝国のレイヴス将軍と初めて相見えた時にその圧倒的な強さから軽々と吹っ飛ばされて負けてしまい、王の盾としての己の未熟さを憂いたグラディオが悩んだ末に、代々王の盾として歴代王を守ってきたアミシティア家では伝説の存在となっているギルガメッシュの元へ向かうという経緯になっている。

このエピソードはFF15では一番最初のストーリーDLCとなっているが故に、歩けるマップの範囲は一本道で広さもそれほどなく、ギルガメッシュとの決着を付けるまで立ちはだかる敵を次々と倒すというシンプルな内容だけに全体的なボリュームはそれほど無い。しかしこのストーリーでは不死将軍と言われながら本編ではそれほど絡む事があまり無かったコル将軍や本編では王都陥落で既に亡くなってしまったグラディオの父のクレイラスの過去を窺い知ることが出来、歴代のFF作品では殆どないシリアスでカッコいいギルガメッシュと相対できるのは良いポイントだ。

・バトルについて

グラディオのバトルは王の盾らしく守りを主体としたカウンター型の戦い方となっており、ガード&ジャストガードで敵の攻撃を防ぐ事で攻撃倍率を上げることができ、高倍率による攻撃でガンガン攻め立てるという力強いグラディオらしい戦いとなっている。また途中には石柱が存在しており、引っこ抜いて叩きつけるような攻撃をする事でグラディオの大剣が通りにくい敵にも大ダメージを与えることができる。

 

ギルガメッシュの試練を終えて

グラディオはこの修行の最中で英霊達の試練を次々と乗り越え、ギルガメッシュと互角に戦える程の力をつけて来た、そしてとうとう最後はギルガメッシュとの直接対決で渡り合えるほどになった。だが力任せに進んでここまでやってきたグラディオの事を愚かだとギルガメッシュは評し、生半可な実力であれば死を...と本気で殺しに掛かってくるギルガメッシュ...グラディオの額に大きな傷ができているのはこの戦いの最中にギルガメッシュから付けられた新しい生傷だった。途中で片腕から光の手によって両手になり、攻撃が激しくなる中で何とかギルガメッシュに打ち勝ったグラディオ、最後に自分よりも格上の相手と戦う時に感じた恐怖心や体の震えに気付くことが出来たと述べ、立ち去ろうとする...するとギルガメッシュはそれまで認める事がなかったグラディオを王の盾として認めた。

"己の弱さを認められない者に王の盾は務まらない"そのポリシーからくるギルガメッシュのこだわりがグラディオの発言と一致した事によりグラディオは歴代で2人目のギルガメッシュの試練からの生還者となった。真に強いやつは己の力を過信せずに自分の弱さを認めて見つめ直す事が出来る者、剣聖にも認められた事で王の盾としての自負と自信が着いたグラディオは王の盾として、そしてノクトを護る盾としての役割の重要性を再確認し、己の使命を全うする事に対して強く決意するのであった...*1

しかし、このグラディオの決意が後の第10章の例の冒頭シーンでその思いの強さのあまりに空回りしてしまう事になってしまうがそれはまた後述する。


f:id:Gameslifeisff:20210524142119j:imageクリア後はギルガメッシュから譲り受けたコルの源氏の刀がバックに写っている。ルシス三強と言われたコルからの大剣には力強いパワーがある事だろう

 

衝撃の出生と歪な過去への決別を描いたエピソードプロンプト
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エピソードプロンプトは本編時間軸の中では最も遅いエピソードとなっており、アーデンの罠によってノクトに列車から落とされてしまってからジグナタス要塞に拘束されるまでの間を描いた物語となっている。

このエピソードでは常に明るくておちゃらけた印象を持つプロンプトの本来の姿を見る事ができる。事前にアニメのBrotherhood FF15を見ている人には分かるが、本来の彼の性格というのは内気で大人しくて引っ込み思案、そして自分に対して自信が無いというネガティブさが幼少期から続く彼本来の姿であり、本編内で常に明るく振舞っていたのは彼自身の性格を変えようとする努力が実を結んだものだと言うのがよく分かる。一応ゲーム本編内でもレストストップのホテルに泊まった時のプロンプトと2人きりの会話イベントで、適切な選択肢を選んでいくと昔の彼の心境を知る事ができるためその点が伏線として貼られている。

・バトルについて

プロンプトのバトルシステムは銃火器をメインに使ったいわゆるTPS(サード・パーソン・シューティング)敵とのバトルでは様々な武器を使って敵を蜂の巣にするのが主なバトルで、ヘッドショットによるクリティカルダメージの概念もある。標準装備の携行刀とハンドガン以外の武器には弾数制限があり、無駄撃ちをするとすぐに弾が無くなってしまうのだが、所々に武器の補給ポイントがある為、弾が無くなっても代わりの武器をすぐに取る事ができる。

また、プロンプトには敵のWeek状態時に使えるブレイクブローがあり、単発の威力が低い通常攻撃と違って大きなダメージソースとなるので如何に敵をWeek状態に持ち込み、ブレイクブローを決めるかがカギになっている。この辺はバトルロイヤル系のゲームに慣れた人だったらすぐに馴染みやすいシステムとなっているだろう。またプロンプトのバトルは他のキャラとは大きく操作感が違う為新鮮な気持ちでプレイがしやすい、しかし反面元からHPが低い事による打たれ弱さや、他のキャラにはある□ボタン押しっぱなしによるオート回避が無いため移動スピードが早いトウテツ系などの小回りの効く野獣などには滅法弱い、中盤から近距離に強いアラネアが加入するので肉弾戦はアラネアに任せ、遠くからレクタサジッタ(スナイパーライフル)や無反動砲アーレア等で攻撃をしていけば安定した戦いができるだろう。

また、エピソードプロンプトにはちょっとしたやり込み要素としてスノーモービルの改造があり、時間帯毎に発生するエリアクエストをクリアする事で制御システムというアイテムを入手でき、その数に応じてシステムを解放することによってスノーモービルの利便性を大きく向上させるシステムとなっている。2周目以降では思い出のアルバム集めという要素もある為、そのコンプリートを狙う人だった場合数あるエピソードの中では恐らく一番プレイ時間が長いエピソードになるだろう。僕もまたそういうコンプリートにはこだわる人だったのでエピソードプロンプトを一番よくやっていた。魔導兵生産工場を抜けてからの雪山のフィールドはとても広大でエピソードグラディオよりも広いと感じた部分もあり、とてもよくやり込んだものだ。

 

・本人も知らなかった驚愕の出自

プロンプトは列車から落とされた後に雪山で遭難し、瀕死の状態に陥っていた。そして帝国軍に捕まり目覚めた場所は謎の無機質で冷たい工場...よく見ると腕には謎のバーコードが付いていた。そこでいきなりアーデンが登場し、ヴァーサタイルに会ってみろと告げられ消えていく...訳も分からないまま工場内を進んでいくプロンプト、途中で遭遇する魔導兵達を退けながら進んで行く最中でヴァーサタイルが残した音声記録と資料を読み進めていくと、ノクト達が旅の途中で戦っていた魔導兵達はヴァーサタイルの遺伝子情報から作り出されたクローンベビーにシガイの元となるプラスモディウム変異体を注入してシガイ化させた人間がベースとなって作り出されたものである事が分かった*2

そして遂にヴァーサタイルと対面した時、プロンプトは衝撃の事実を聞かされる。プロンプトの産まれはニフルハイム人であり、先述したヴァーサタイルの遺伝子から作り出されたクローンベビーであり、本来魔導兵の材料となるはずの人間だった...あまりにも惨たらしい事実にショックを受けたのか「オレはルシスの人間だ!!!」と泣き叫ぶプロンプト、しかし生粋のマッドサイエンティストであるヴァーサタイルは既に本人のシガイ化が進んでおり、「せめて我が一部としてやろう」とプロンプトに手を掛けようとするが、危機迫る状況の中で追い詰められたプロンプトはヴァーサタイルを撃ち殺した。アーデンに「父殺し?」と煽られる中、絶望に苛まれたプロンプト、すると死んだはずのヴァーサタイルは帝国軍の最終兵器「インモルターリズ」と融合し、復活してしまった。そこで助けに来たアラネアに喝を入れられて工場を脱出、スノーモービルで標のあるポイントまで逃げ仰せたプロンプトだが彼の中での絶望感は完全には消えておらず、今までノクト達の味方として、友としてここまで来たプロンプトにとってルシスを絶望に追いやった帝国側の人間であるという事実にショックを未だに引きずっていた。

自分が何者であるかにこだわり、ノクト達に顔向けできないといじけるプロンプトに痺れを切らしたアラネアは「生まれなんかどうでもいい、自分がどうしたいのかは自分で決めれば良い!」と荒っぽい喝を再び入れる。それでも絶望に打ちひしがれるプロンプトの元にプライナがやって来る、プライナに導かれた先にいたのは帝国の魔導兵...その時現れたノクティスの幻影が自分を魔導兵として認識し、殺そうと迫ってくるが、何とか逃げ切った。そして再び魔導兵を発見した時、無機質なはずの魔導兵に自分の姿を重ねた...自分の出自はとても素晴らしいとは言えない地獄のようなものだったかもしれない。ただそれでも今のプロンプトはプロンプトである。過去との決別を決意したプロンプトは涙しながら魔導兵に銃口を向けて別れの一撃を放った。

そして自分という存在を生み出したヴァーサタイルとの決着を付けるため、プロンプトはアラネアと共にインモルターリズの撃破に向かうのであった...

プロンプトは終始明るいキャラというイメージを持っていた人にとってこのストーリーにはとても大きなギャップを感じた事だろう、僕もまたプロンプトという人間の素性が本編ではあまり分からなかったのでかなり驚かされるストーリーだった。このエピソード自体の全体の雰囲気は過去との決別を決意するまではかなり暗く陰鬱とした展開となっているために人によっては少しキツい部分もあるかもしれない。しかし絶望しかない状況に陥る中でも希望を持って立ち上がるストーリー展開には熱く滾るものがあった。アラネアとの共闘も貴重な機会であり、システムの新鮮さも相まってとてもやってて楽しいエピソードだった。

ロイヤルパックを適用した後のインソムニアでされるノクトとプロンプトの会話で「生まれとか関係ない国にしような」というノクトの発言はこのエピソードのエンディングに出てくる発言となっており、己の出自が何であろうと、偏見や差別も無く、その人自身の個を認めて認識してくれる事を肯定した発言でもあるノクトのこのセリフはプロンプトにとってこれ以上無いほどの希望溢れるセリフとなっているだろう...


f:id:Gameslifeisff:20210524142101j:imageエンディング前は薄暗く霧がかった寒空の中で希望のない虚ろな目をしたプロンプトが遠くを見つめるという暗いタイトル画面だったものがエンディング後、快晴の青空の中で希望ある笑顔を取り戻し、銃を肩に置くという希望のあるタイトル画面に変化するのもとても良い。また、胸元にはライオンハートが追加されている

 

全ては王を護る為...失明の理由と壮絶な死闘を繰り広げたエピソードイグニス
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エピソードイグニスは第9章のクリアからノクトが目覚めるまでの間に何があったのか?を詳細に描いたストーリーで、そこにはイグニスの決死の覚悟と活躍が描かれていた。エピソードイグニス配信前は理由も説明もないまま描かれた唐突な失明によって、第14章までバトルを中心にまともな活躍が出来なくなっており、「ファッション失明」と揶揄される程になってしまったイグニスだが、そこには彼の「王を護る者」としての覚悟と決意が滲み出た男の勲章である事がエピソードイグニスでは描かれていた...これをやる前とやった後では彼に対する印象が全くもって違って見えるだろう。

・バトルについて

イグニスのバトルスタイルはエレメントダガーを用いて三属性を使い分けた攻めのラッシュスタイルが主で、彼のダメージ倍率は敵を斬って斬って斬りまくり、攻めれば攻めるほど攻撃倍率が上がる。逆にしばらく攻撃しないだけでダメージ倍率は一気に下がっていく、ゲーム本編ではコマンド技がサポートに徹した技が多く、軍師としてあまり攻める印象ではないイメージを持つだけにグラディオ以上に攻めることを主体としたイグニスのバトルスタイルはかなりの上級者向けとも言える。

ダメージを受けた時の槍によるカウンターステップもコツが要るが、上手く使いこなす事が出来ればピンチ状態に陥るほどのダメージ以外では倒れない強靭さを持つ事ができる。元々ダガー系の武器自体が攻撃回数の多い武器のため、使いこなせば本編でもかなりの強さを誇っているのだが、そこに属性による補正が掛かればまさに鬼に金棒、エレメンタル無双の気持ちいいバトルが展開できる。

 

DLCで明確に描かれた光耀の指輪のリスク

舞台は水神との戦いで崩壊したオルティシエとなっており、水神の啓示で倒れたノクトを救出する為にイグニスが立ち上がる展開となっている、作中では光耀の指輪を何とか手に入れんと躍起になる帝国軍との戦いが主であり、途中では軍師らしく帝国軍の陣地制圧を状況把握するタクティカルオペレーションなるシステムなども存在する。

戦う軍師としてアコルド首相のカメリアやウィスカムとの協力も得て祭壇にいるノクトの元へと向かうイグニス、しかし帝国軍の邪魔によってどうにも行かず、行き詰まっていた。そこに何と宿敵レイヴスが登場、もはやこれまでか...そう思ったその時、何とレイヴスが帝国を裏切った。レイヴスの目的はノクティスと共にいる妹のルナフレーナの救出、それぞれが抱える救わねばならない大切な人がいるという目的が一致し、利害が一致した為レイヴスは一時的にイグニスに協力する選択を選んだのであった。危険な賭けではあるが選択の余地がなかったイグニスはレイヴスと共に共闘する事を選択、2人は何とか祭壇にいるノクトとルナフレーナの元へ到着したのだが...残念な事にルナフレーナは力及ばず亡くなっていた。アーデンに刺されながらも大切なノクトを守る為に必死で尽くしていたルナフレーナは最期まで彼の事を守りきっていた。

しかし、レイヴスにとっては唯一の肉親である妹を亡くしてしまった絶望感からルナフレーナがルシスの犠牲になった事に怒りを覚えノクトに刃を向けようとする、それを見たイグニスは必死で彼を止め、説得を試みた。怒りで興奮状態のレイヴスと戦い勝ったイグニス、ルーナの死も己の使命を果たすためには仕方の無いことなんだ、後悔はしていないんだとする妹の気持ちを本当は分かっていたレイヴスは兄として妹を喜ばせる事を何もしてやれなかったとする後悔に膝から崩れ落ちていた...

そこにグラディオに化けたアーデンが登場、帝国軍に取り押さえられてしまったイグニスは気絶しているノクトに手を掛けようとするアーデンに必死の叫びをした。そこでアーデンはイグニスに究極の選択を迫った。

ここで全員死ぬか?、アーデンと共に来るか?

絶望的に追い込まれた状況の中でどちらにしても何かしらの犠牲を伴う究極の選択だった。そこでアーデンに抗い戦う事を選んだイグニスは取り押さえる帝国兵を必死に払い除け、目の前に落ちていた光耀の指輪を手にする。

そしてそれを着ける事で指輪の力を得てアーデンに対抗しようとするイグニス、しかし光耀の指輪は神が選んだ歴代王以外の者が着けた時、指輪の力を使う資格が無いと判断されれば最悪装着者の命を奪う危険極まりない代物だった。そうじゃないにしても、歴代王以外の者で指輪の力を得るためには体のパーツから何やら、果ては命まで犠牲にしなければならず実際指輪を着けたイグニスは絶叫をしながら目を焼かれて失明した事で指輪の力を得る事が出来た*3

そうして何とかアーデンを退ける事に成功したイグニス、失明という大きな代償はあったものの、自らの命を犠牲にしかねない覚悟を持って守り抜いたイグニスの覚悟に感化されたレイヴスはそれまで懐疑的だったノクトが真の王になる事への希望を持って見守る事に決めたのであった...

 

このエピソードで実はイグニスがプライナの力によって10年後のノクトの末路を未来視している。その時は「何だったんだ?今のは...」とさほど理解出来ていない様子だったが、エンディングでノクトに「旅はここで終わりにしないか?この先何かもっと大きなものを失う気がする」と呟いたことから、イグニスがこの旅を続けた先に待っている結末に薄々気付き始めた節があったと思われる。実際イグニスは第10章冒頭でグラディオとノクトが大喧嘩をしている時にイグニスが自ら仲介して2人の喧嘩を止めることが出来なかった*4

イグニスが個人で抱えた思いに悩まされつつもそれぞれの使命や役割を果たす旅を続けていき、10年後の最後のキャンプでまるで心残りが無いかの様に明るく振る舞うノクトに対してイグニスが何かを言おうとしたものの、ノクトの決意を揺らがせてはいけないと黙る事に決め、最後に握手をした時に一番最初に出会った時に握手した事を思い出し涙した...ノクトが辿る運命を分かっていながら最後に死ぬ友人を見送るという非常に切ないエンディングになっているが、その命運を変えることが出来ないのなら自らもまた受け入れる選択をしようと心に決めたと考えれば、非常に切ないながらも良いエンディングだったとも思える。

イグニスの失明の理由が明確に描かれ、光耀の指輪というキーアイテムの重要性も描かれたストーリー補完としても秀逸なエピソードだった。

 

・まさかのifストーリー

エピソードイグニスの1周目をクリアするとEXTRA CHAPTERという項目が開放される、それは第3章でアーデンがイグニスに究極の選択を迫ったあのシーンで1周目では「アーデンに抗い戦う」という選択しか選べなかった。しかし2周目になるとそこに「アーデンと共に行く」という選択肢が追加される。それを選ぶ事によって物語はその結末を大きく変える世界線に飛ぶ事となる...

共に行く選択を選んだイグニスが運び出されたのは本編では終盤に訪れるジグナタス要塞、そこは帝国がルシスから奪ったクリスタルが保管されている場所だとアーデンから聞かされたイグニスは奥へ進むことにした。その途中、イグニスの脳内にクリスタルから響く謎の声が真の王という者の役割とその末路の全てが説明された。衝撃の真実に驚愕しつつもイグニスはそのままクリスタルが安置されている最奥まで辿り着く、その時現れたアーデンは闇に穢れた本来の姿を表した。そこでアーデンはイグニスに自分がアーデン・ルシス・チェラムというルシス王家の人間であった事、そして初代王としての王位に就く事なく弟に殺された人間である事を伝えた上でイグニスを殺しに掛かった、この時のアーデンは本編以上に攻撃が激しく、ファントムソードを使った攻撃力の高さがえげつない。その後のムービーでファントム・ディストラクションを使った施設の破壊の絶望感からはっきり言ってこっちの方がラスボス感が凄いのは否めない

アーデンの目的はイグニスをクリスタルの前まで連れてきて殺し、ノクトにイグニスの死体を見せる事でノクト自身の真の王としての自覚を促し覚醒させる事、しかしその時イグニスが持ち込んでいた光耀の指輪を見て思わず動揺、イグニスは世界を救う為の代償として大親友であるノクトを失う事の未来を拒絶、死の運命を断ち切る決死の覚悟で光耀の指輪を付けたイグニスは絶叫して失明しながらも指輪の力を得て本気のアーデンに戦いを挑む、しかしその力は長くは持たずに途中でその力は失われ一気に大ピンチになってしまう...その時指輪の中の歴代王がイグニスに呼びかける「王の運命を変える力を得たくば己の命を差し出せ」そこで現れる選択肢は3つ

  • あきらめる
  • 命をかけて戦う
  • 命をすべて差し出して戦う

(以下命をすべて差し出して戦うの展開)

命をすべて差し出す選択を選んだイグニスは全身を指輪からの炎に焼かれてこの世のものとは思えない悲痛な叫びを上げながらも*5指輪から更なる力を得てアーデンとの死闘を繰り広げる。

それに見事打ち勝ったイグニス、決死の覚悟で戦いに挑まれたアーデンはもはやボロボロ、その場で消えはしたが指輪の力を使ったイグニスの体もまた灰のように白くなり、死の淵に立たされていた、そこにイグニス!と彼の名を叫びながらノクトたちが現れる、何故この場にノクト達が来てくれたのか不思議がるイグニス、実はレイヴスからの協力によりイグニスが連れていかれた場所を知ったノクト達は急いで駆け付けることが出来たのだった。

自分の為に瀕死の状態になるまで戦ってくれたイグニスに対して涙した後「大切な仲間を守れる力をくれ!」と真の王としての決意を一気に固めて光耀の指輪を付けたノクティス、するとクリスタルからの光により灰になりかけたイグニスの身体は見事に元の姿へと戻る事ができた。

真の王としての覚醒をしに自ら眠りにつきに行ったノクト...その後目を覚ましたイグニスはノクトが真の王としての使命を果たした時にどんな末路を迎えるのかをこれまでの旅で出会った人物全員に伝達した。何とかノクトが死なずに世界の危機を救える方法を模索し続けるイグニス達、ノクトが目覚めるまでに掛けた10年間の間にその方法をとうとう見つけ出した。インソムニア城最後の大階段で本編ではノクト1人で進んでいたものがこのストーリーではみんなで向かう事に、そこで待ち構えていたのは何と本編ではアーデンに殺された上にシガイとして無理矢理復活させられ、二度死んだあのレイヴスが10年後の世界でも生き残っていた。立派な口髭を蓄え、ノクトに直接父王の剣を託すレイヴス...最後は真の王のノクティスを見送り...そして見事に世界から夜明けを取り戻したノクト達...

ラストシーン、光を取り戻した世界で王の玉座がある間に向かうイグニス、そこに鎮座していたのはルシスの王として立派に構えるあのノクティスだった...ノクトはイグニスに何かを呼びかけ、イグニスもまたそれに答え、ストーリーはそこで終わった。

 

このifストーリーではノクトが真の王としての使命を果たして死ぬ運命を回避し、ノクトが死なない未来を手に入れたパラレルワールドの様な世界線になっている。EXTRA CHAPTER名が「もうひとつの可能性」としている事からイグニスが選んだ選択がある意味ノクトの命運を左右した重要性のあるものだったという事を表現したかったのだろう。

このifストーリーによってイグニスは失明する事が無くなり、ノクトが死ななくなり、そしてレイヴスも生存した。人によってはこっちの方がグッドエンドだとする人もいる。しかし何故この様なifストーリーを作るに至ったのかが僕は不思議でしょうがなかった。シーズンパス第2弾で全てが救われるハッピーエンドを作ろうとしていたという読みが合っているのであれば、これはある意味将来的にFF15の結末をハッピーに終わらせる事の先行体験のようなものだと僕は捉えている。神に抗って打ち勝ったFF13と神の定めた運命を受け入れたFF15の対比も面白かったが、やはりノクト達が救われるストーリーを彼らFF15スタッフは描きたかったのでは無いのだろうか?今となってはその真意は分からないままだが、ひとつの可能性のある物語としてとても面白いストーリーだったことは間違いない。


f:id:Gameslifeisff:20210524142104j:imageEXTRA CHAPTERのクリアで変化するタイトル画面、ノクトを死なせずに光を取り戻した後の世界なのか、凛々しくやり切ったと言わんばかりの顔で遠くを見つめるイグニスの顔はとても爽やかだった

 

闇の王に成り果てたアーデンの真実と真の黒幕が判明するエピソードアーデン

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ゲーム本編で配信されたエピソードとしては残念ながら最後のDLCとなってしまったエピソードアーデンはゲーム本編や他のエピソードシリーズ等でノクトの宿敵として立ちはだかり、ルシス王家への復讐心を一心に燃やしたアーデン・ルシス・チェラムの真実の物語として配信された。

その前に古来2000年以上の時代を生きてきたアーデンとは一体何者なのか?そして初代ルシスの王である弟のソムヌス・ルシス・チェラムとは何者なのか?等を描いたイメージビデオが公式YouTubeに載っているので是非それを見て欲しい。(ここまであまりにも長くストーリー解説し過ぎたから少しでも文字数を抑えようとしているのは秘密)

FINAL FANTASY XV EPISODE ARDYN - PROLOGUE - YouTube

 

・バトルについて

アーデンは元はルシス王家の人間だった故にファントムソードを扱う事ができる、それだけでなく不死の人間としてシガイの力を操る事ができるアーデンは無類の強さを誇っており、シガイ化攻撃によって敵を一撃死させる事ができる。オマケにHPが0になってピンチ状態になった時もオーバーデスという現象によって攻撃力が急上昇、逆境に追い込まれた時程最強の強さを持つという実にアーデンらしい戦い方となっている。

更にファントムギアゲージを最大まで溜めた時に放てるファントム・ディストラクションは敵への大ダメージ&HP吸収という破格の強さを誇っており、このファントムギアゲージを如何に貯めるのかが鍵となっている部分もある。

 

・アーデンがルシス王家に恨みを抱くようになるまで

エピソードアーデンのプロローグで最後に人ならざる者へと変貌してしまったアーデンはソムヌスの手によって処刑された、しかし不死の身体となったアーデンの処刑は適わず、後に真の王になったノクトが目覚める神影島(みかげしま)の石牢に何と2000年間も閉じ込められてしまう。ルシス王家の間では闇に葬られた禁忌「アダギウム」として代々極秘裏にアーデンの存在を封印し、歴史上からもその名を抹消していた。しかし極僅かな資料を元にニフルハイム帝国の若かりし頃のヴァーサタイルが石牢に封印されていたアーデンを発見、直ぐに帝国で保護をしようとするが封印が解かれたと聞き付けた王都警護隊がアーデンの取り押さえに掛かる。

目覚めたばかりで訳も分からない状態の中でいきなり敵対してくる勢力に抵抗した末にアーデンは自覚も無しに警護隊の1人をシガイ化させてしまう。自分の中のおぞましい力が目覚めてしまった事に狼狽えるアーデン、だがヴァーサタイルはそれを素晴らしい力として褒め称える。その後気絶した末に7ヶ月の時が経って再び目覚め、ヴァーサタイルの案内で今のイオスと国々の誕生とその関係、創世記の史実やシガイの研究成果等あらゆる物をアーデンに見せた後、最後に見せたのは魔大戦の後に眠りについていたまま氷漬けにされて運び出された炎神イフリートの姿だった。

この段階ではまだアーデンはルシス王家に対する恨みは抱いておらず、2000年もの時が経って恨むべき相手もいなくなってしまった今のルシス王家には興味も微塵もない様子で、それ故にどんなにヴァーサタイルからルシス王家への恨みをけしかけられても鬱陶しいと一蹴するだけだった。しかしそんなアーデンに襲いかかってくるのはアーデンがまだ生きていた時代に見せた嫉妬に狂って刃を向けた頃のソムヌスの幻影だった。アーデンが生きていた頃のソムヌスは醜悪極まりない態度で自分に非難の目を向け、愛するエイラに手を掛けた事の記憶が強かったが故にそこに存在せず、実在しないはずの幻のソムヌスは終始アーデンの事を蔑み、アーデンの怒りを静かに増幅させた。

イフリートとの戦いで力を貸せ!とイフリートのシガイ化で記憶を読み取った際、アーデンは2000年前のあの当時、クリスタルに選ばれた王はソムヌスではなく、アーデンだった事を知る。その時アーデンの名を呼びながら現れた幻の空間...そこに居たのはソムヌスによって死んだはずのエイラそのものだった、それが幻なのか神の力によって一時的に復活したものなのか...アーデンは急いで彼女の元へ向かうと、彼女は神の意志に背いて王位に就く者の真実をソムヌスに話してしまった事をアーデンにカミングアウトした。プロローグの終盤で民に向けて自分こそが神に選ばれたルシスの王だと高らかに宣言し、アーデンを殺そうとしてきたソムヌスは嘘によって王位に就いた偽りの王だとアーデンは確信する、だがエイラはアーデンの人生をめちゃくちゃにした全ての元凶は自分のせいだと主張する。迫真した様子でそう主張する彼女の言葉に嘘は感じられない、しかしとてもその事実が信じられなかったアーデンは思わず神に「何故このような試練を?」と天に向かって仰ぎ見る。その時、アーデンのシガイの力でずっと触れていたエイラの事をシガイ化させかけてしまう、死は直ぐにやってくると悟ったエイラは自分の犯した罪の重さに耐えきれなくなり、アーデンの持つナイフで自分を殺すようにと懇願する。そこに「そうだ、殺せ」と煽るソムヌス。

しかしエイラの想いに触れた事によって聖人に戻りかけていたアーデンは死による救済を選ぶ事が出来ず、救う道を選ぶ事しか出来ないと涙する。だがソムヌスの幻影は決してそれを許さず、アーデンの手を取ってエイラを殺させようとする*6

結果...一度ならず二度までも愛するエイラを殺されたアーデンはソムヌスに対する恨みを一気に爆発させ、ソムヌス本人を殺せない代わりにソムヌスが作り出した子々孫々の全てを根絶やしにする事を決意する...

それが血に塗れた己自身の生きる道だと宣言して...

 

・ソムヌスとの直接対決

ソムヌスに対する恨みの爆発によってルシス王家に対する復讐心を激しく燃やすアーデンはシガイ化したイフリートを従え、ヴァーサタイルと協力してルシスの滅亡計画を始動する。

この時はレギスが国王に就任して初めての記念パレードで人は大勢、襲撃をするのにはまさに打って付けで絶好のチャンスだった。そして一気に攻め始めたアーデンは魔法障壁の増幅装置を次々と破壊して守りの陣営を崩し始めていた。そしてある程度の破壊が済んだ後、増幅装置のガーディアンに歴代王の魂を宿らせている事に気付いたアーデンは第一魔法障壁にソムヌスの魂が宿っていると睨んだ。

ヴァーサタイルに王を殺しに行くと告げ、単身レギスの元へと向かうアーデン、この時のアーデンは王都警護隊に化けたまま行動しており、周りからはアーデンをアーデンとして認識せず、王都警護隊を装った何かだとしか見られていなかった。しかしアーデンが放った赤いファントムソードの存在からそいつがアダギウムだと勘づいたレギスは現役の王としてアーデンとの対決をしていく、しかし2000年間闇を抱えて生きてきたアーデンを前にレギスでも敵う事がなかった、アーデンの真の目的はソムヌスの魂を現世に宿し、あの時の決着を付けること、そしてルシス王家の滅亡を果たす事、その事で頭がいっぱいで仕方がなかった。

そして遂にレギス昏倒の危機にソムヌスが現れた、長きに渡る兄弟としての確執や鬱憤をこの戦いで晴らしていくように攻め立てるアーデン、そんな戦いの最中でソムヌスは「シガイに穢れた兄上を王の座位に座らすことは出来ない」「自分の判断は正しかった、兄上はやはり化け物だ!」と過去にアーデンにしてきた仕打ちは間違ってなかったと肯定するソムヌス。そしてソムヌスは神凪には神凪としての力を与えられ、アーデンは人をシガイから救える力を神に与えられたにも関わらず、自分は何度求めても神から何の力も与えて貰えなかった事、その事で嫉妬心が出てしまったことに対するその時の心境を吐露していくソムヌス、しかし終盤、シガイはこの世から消すべき存在と言い切り、シガイの権化と化したアーデンと最後まで敵対した、最後に勝ったのはアーデンだった

途中ソムヌスは何度かアーデンに対して反省した態度のようなものを見せるが少なくともアーデンにとってはソムヌスの態度は嘘にまみれた卑しいものにしか見えず、謝れば謝るほどアーデンの怒りの炎に油を注ぐだけだった。ソムヌスの反省の態度が本当か嘘かの真意は定かではないが、少なくとも本当にアーデンに対して行った仕打ちについて心から反省しているのであればアーデンに対して剣を振るう事は無いはずで、その中にソムヌスの本音も織り込んでくるのでアーデンにとっては本当に身勝手な態度にしか見えないだろう、プレイヤーとしてもアーデンに対する感情移入は出来てもソムヌスに対する感情移入はとてもじゃないがしにくい、結局ソムヌスは最後に「本当に安らかに眠ってくれ」と意味深な言葉を残して消え去った

 

FF15本編に於ける真の黒幕

ソムヌスに対する復讐は果たしたはずなのに上っ面な謝罪によって清々する事が出来なかったアーデンは昏倒したレギスを手に掛けようとする、だがそこに剣神バハムートが現れ、クリスタルの中の「対をなす世界」に引き込まれるアーデン、神が何故邪魔をするのかをアーデンが問うた時、バハムートはアーデンに対して衝撃の事実を口にする。

アーデンの使命はシガイの権化として世界に闇を齎す事、闇を広げて世界に絶望を与える事でいつしか現れる真の王に、真の王としての力を覚醒させ、真の王の力を持ってして滅ぼされるように仕向ける事、それによってアーデンが元となって生み出されたシガイの全てが消滅し、世界からシガイと星の病が消え去り、世界に夜明けが取り戻せる...と

ノクトが世界に光を齎す者としての生贄であれば、アーデンは世界に闇を齎す者としての生贄でしかなく、結局このFF15本編の物語というのは、バハムートが星を救うために選んだ生贄と生贄による不毛な戦いでしかなく、その結末はどちらも救われないという余計に悲しい物語となってしまった。アーデンは世界を救う救世主では無く、世界に闇を広げる生贄という運命にある事は実はエイラとソムヌスも知っていたらしく、バハムートから「それでも運命に抗うのか?」と言う問いで「運命に従う」という選択を選んだ場合、最後の最後までその真実を告げられないまま亡くなったエイラとソムヌスに対して弄ばれたと思い込んだアーデンはルシス王家だけでなく、神凪にも大きな恨みを抱く事となってしまった...

ここで運命に抗うを選択した場合、神から無駄に生き長らえさせた事に対してそんな力をくれと言った覚えはないと言い放ち、神の定めた運命に縛られない己自身の道を生きるとする決意を高らかに宣言する、しかし神の定めた運命に抗う事など出来ないと決め付けたバハムートはエイラの幻影を呼んでアーデンを刺しまくるというバハムートの悪人としての一面を見せることとなる。神の定めた運命は絶対だと信じてやまないバハムートはアーデンを元の神影島まで送り返すのであった...

弟であるソムヌスに裏切られ、自分が愛していたはずのエイラにも自分の運命を教えて貰えなかったことによる裏切りに遭い、神から一方的に己の使命やら運命とやらを押し付けられた挙句、その運命に抗う事すら許さないとする身勝手な発言を受け、全てに絶望したアーデンはまだ見ぬ真の王をこの手で殺し、世界の全てを絶望に塗り替える決意を決め、狂気のように大きな高笑いを上げ...物語はそこで終わった。

 

この物語で判明する真の黒幕は剣神バハムート

前回の感想記事にも書いたように、FF15の世界の神様である六神はあくまでも人間のための神様ではなく、イオスという星の為の神様でしかなく、その中でも剣神バハムートは六神の中で最も位が高い存在であると同時にイオスという星が救われる事を六神の中で最も重要視しており、真の王と定めて選んだノクティスの事も、シガイ化の原因である寄生虫を吸収する力を与えて闇堕ちさせたアーデンの事もどちらもイオスを救う為の装置としか考えておらず、駒扱いしている点からその傍若無人さが伺い知れる

神は人間を遥かに超越した存在であり、人間は神が定めた運命に抗い生きる事が出来ない、この星の絶対君主としての強い自負がある故に神らしい傲慢な態度でノクトとアーデンに死の運命を突き付けるバハムートの姿はまさに真の黒幕としての悪そのもの、しかしこのエピソードが配信されたのを最後にゲームとしてこの続きを描く事が出来なくなったがために、ゲームでは最後の最後までバハムートの掌の上で踊らされて終わるという不毛な結末となってしまった

 

アーデンにもし救いの道があったとするのならば彼等FF15スタッフは一体どんな結末でそのサクセスストーリーを考えていたのだろうか?

今となってはそれを知る由はない...

 

f:id:Gameslifeisff:20210524142203j:imageクリア後に変わるタイトル画面、2000年前のルシスでエイラと共に深い眠りにつくまだ救世主としてのアーデン、こんな過去にはもう戻れないし、未来も無い事を思うと切なさしか滲み出てこないタイトル画面である

 

全てのDLCストーリーをプレイして

FINAL FANTASY ⅩⅤはそのゲーム体験を極上のものとする為にDLCという形で真にノクトとアーデンが救われる物語を創り出そうとしていた。

しかし悲しいかな、売上不振という現実的な問題にぶち当たってしまったせいで結局この物語の続きをゲーム内で生み出すことは出来なかった。開発中だったDLCの開発中止というニュースは当時のゲーム業界全体で見てもほとんど例がない異例の事態となっており、衝撃的なニュースとしてゲームメディア全体にセンセーショナルに報道された。

FF15は発売当初の本編内容が至らなさすぎた事に加えて当時のゲハ達が過剰にFF叩きをした事なども原因の一つとしてあるが、今でも一部の人がFF15をFFの歴史から葬り去りたいとする最大の理由はFF13を最後に新たなオフラインナンバリングFFが生み出せなかったことによる長い空白期間のせいで、ユーザー層もガラッと変わり、その当時熱中していたFFユーザーとゲーム開発者の間では埋めようにも埋めきれない大きな溝が出来てしまったからであろう...

最初は小さかったFF開発者に対する不満が積み上がり、最終的には本編の発売で爆発した。その結果あのような地獄の様相となってしまったのは本当に今考えても少しだけおかしな話ではあるのだが

 

僕はこのエピソードシリーズをプレイすればするほど開発者がこの作品で描きたかった事、表現したかった事の想いに触れて感じ取るようになっていた。

エピソードグラディオラスで王の盾という使命の大事さを伝え、エピソードプロンプトで禍々しい過去に決別する強さを描き、エピソードイグニスで王を護る者として、そして友として最後までノクトを護り切るとするその覚悟を見せ付け、エピソードアーデンでこれから始まるであろう運命を自らの手で切り開く物語の序章を描いた...

 

FF15という作品はきっとこんなもので終わるせるつもりなんて無かったはずだ、それはこのエピソードシリーズの内容の充実度と作り込みの凄さからでも分かる事だった。

だからこそ僕はスクエニにはこの物語を完結させようと最後までひた走って欲しかった。

この作品が不甲斐ない結果に終わってしまったのは本当に残念でならないが、それでも僕はこの作品を最後までプレイ出来て良かったと思っている。

僕にとって彼らと共に過ごしてきた旅路の日々は深く胸に刻まれている、ノクト達に...そしてアーデンが運命に抗った末にどんな未来が待ち受けていたのか?それは完結作品として発売された小説を読んでその最後を見届けようと思う


f:id:Gameslifeisff:20210524142154j:imageエピソードアーデンの続きをゲーム内で予告していたこの画面、結局この物語の続きはゲーム内で描かれる事は無かったが、その真相の全ては小説で読みといていこうと思う

 

超絶長い感想記事となってしまいましたが次回書く予定の「メディアミックス作品を見て」で完結しようと思います。

ここまで読んでくださりありがとうございました!!!

 

 

 

*1:実はこの時ギルガメッシュ歴代最後の王の盾という発言をグラディオにサラッとしている。なのでギルガメッシュはノクトの真の王としての役割をもしかしたら知っていたのかもしれない。しかしグラディオはそのままスルーしたのでノクトの運命に気付く事がなかった

*2:他にも映画作品のKINGSGLAIVE FF15で王都陥落に大きな脅威となったシガイアーマーのダイヤウェポンの詳細資料やシガイ研究に携わる研究員の手記等で最初は意気揚々としていたものがだんだん絶望に苛まれ堕ちて行く様子が描かれるなど結構重要な事実の判明も多い、ちなみに帝国がシガイの研究をしていた事と魔導兵の元が何なのか等は本編の第13章でアーデンの口から語られていたりもする

*3:この指輪には歴代王の魂が宿っており、同時にこの指輪自体が相当厄介な代物で先述したように指輪の力を得る資格が無いと判断された者は焼き殺され、指輪の力を引き出せたとしてもそれは装着者の命を持って引き出される場合もあり、実際映画KINGSGLAIVEの主人公であるニックス・ウリックは帝国に立ち向かう力を得るために自らの命を犠牲にして指輪の力を使ってルナフレーナを守り抜いた。また、ルシス王国が帝国の脅威に晒されずにいた最大の理由でもある第一魔法障壁は障壁の維持に相当の力を使うのか歴代王の命を削るらしく、レギスもまたアニメでの回想やエピソードアーデン等では黒髪で若かったにも関わらず、ノクトが20歳になる15年の間で一気に老化し衰弱してしまった。真の王の力を発揮した後指輪はその役目を終えたように砕け散るのだが、それまで何人の命を奪ったのかと思うととても恐ろしい代物である。

*4:ここまで来ると第10章の冒頭のシーンは完全に理解する事ができる。まずエピソードイグニスのエンディングでノクトは悩みを誰にも打ち明けずに1人で抱え込んでしまう性格上の問題がある事がユーザーにも明確になった。ノクトがルーナの死から2週間経っても未だに塞ぎ込んでいたのは弱冠20歳にして王としての使命を果たさなければならないという周りからの期待も含めた重圧に気持ちが押し潰されそうになっており、上手くその気持ちを仲間たちと共有する事が出来なかった事、そしてそれに対してグラディオが檄を飛ばしたのは本人も含めてそれぞれが果たすべき役割を全うしている(ルナフレーナの神凪としての使命やイグニスが王を護る者として失明してまでノクトを護った事など)にも関わらず、未だにノクトが王としての自覚を持てない事に対する良くも悪くも真の王としての末路を知らないが故に言えた檄でもあり、そしてイグニスはイグニスで王としての自覚が足りないと憤慨するグラディオの気持ちに共感はしつつも、自らもその意見に同意した場合、王としての自覚を持ち役割を果たせ=ノクトに死ねと言ってるのと同じなのでは?と思う部分もあったからこそ何も言えなかった...という3人それぞれの思いのすれ違いだったという構図がとてもよく分かる。

*5:どうでもいいかもしれないが指輪を付けて苦しむ宮野さんの演技力がとてつもなく迫真で凄すぎる。声優さんの凄みを感じられた

*6:この時、〇ボタン連打のQTEが発生するが成功しても失敗してもエイラは死んでしまう