ポッポ屋日記

日記的なブログにしたいです

話題の新作歌舞伎「ファイナルファンタジーX」を観に行きました! 前編

 

こんにちは!ニホンバトです!

2023年3月14日、話題の新作歌舞伎である「ファイナルファンタジーX」(以下 FFX歌舞伎)をとうとう観に行く事が出来ました!!!

いや…本当に凄い!!!日本古来からある伝統芸能と一番新しく生まれたカルチャー文化であるゲームの融合…それが果たしてどんなものになるのだろうか?と思っていたのですが、まさかこんなにも素晴らしい舞台が生み出される事になるとは思ってもみなかったです!!!

前編の3時間半と後編の3時間半、通しで合わせて7時間の舞台を観る事になったのですが、その7時間があっという間!というレベルであっという間で、内容も7時間の観劇がとても短く感じてしまうぐらい充実した内容となっていてとても素晴らしかったです👏

そんな大興奮が収まらない中ですが、今回はそのFFX歌舞伎について色々と大いに語っていこうかと思います。

*この記事では多くの歌舞伎俳優の方の名前が記載されますが、同じ苗字被りの方が非常に多いので最初だけフルネーム、以降は名前呼びで記載させていただきます。(例 尾上菊之助さん→菊之助さん)

また、今回は予想以上の長文となってしまった為、前編と後編に分けさせていただきます。m(_ _)m

 

新作歌舞伎「ファイナルファンタジーX」とは?

元々の初報は去年の6月頃だったかと思われます。この年はちょうどFINAL FANTASYシリーズが生誕35周年を迎える記念すべき年で、FF16の続報やFF7生誕25周年を記念した放送、8月に開催されたDistant Worldsのコンサート等で大いに盛り上がりを見せていた年でした。

そんな中でスクエニから正式にFFX歌舞伎のプレリリースが発表された事を覚えています。

その当時のネット上での反応は「FFが歌舞伎化…?」と、どちらかと言うと困惑する方の声が多く、その当時の3DCGグラフィックとキャラクターボイスによって強い思い入れを持つ人が多かったが故に、歌舞伎化もとい実写化に対して拒否反応を示す人も少なからず居たのは確かだったと思います。

その当時の僕もこの初報を見た時はかなりビックリしました。「FFXが歌舞伎化!?一体どうなるんだ…」と、そもそも歌舞伎というものを観た事がない僕としては一体どんなものが出来上がるのかまったく想像も出来ませんでした。

しかし最初こそ驚きはしたものの、FFXの世界観と歌舞伎は非常に親和性が高く、相性が良いのではないか?という結論に至り、そこまでの心配はしていませんでした。元々FFXは数ある歴代FFの中でもアジアンテイストな世界観が非常に色濃い部分があり、エボンという宗教や異界送りという舞がある事、生と死に対する価値観が根強く現れている世界観なので、何となく歌舞伎にも合うんじゃないかな…?と懸念はしていませんでした。

今回のFFX歌舞伎の企画を立ち上げた尾上菊之助さんもコロナ禍のステイホーム期間があった2020年の初め頃、本業としていた歌舞伎公演も出来なくなり、希望が見えてこない毎日を過ごす中で思い出が深く残っているFFXをもう一度プレイしてみようと思い立って改めてプレイした時、FFXのゲーム内に出てくるティーダを始めとしたキャラクター達の何事に対しても諦めない前向きな姿勢、スピラという死の恐怖に怯えながら生きる人達の希望となるように旅立つ召喚士とガードの絆を深め合う様子、亡くなった人に対する祈りや鎮魂を忘れないといった世界観、シンという死と絶望を象徴する怪物に色んな人達が協力して立ち向かうという物語が、現代のコロナや戦争に疲弊する人達の心に希望を与えられるものになっているのではないか…?

と、そう思った菊之助さんはこのFFXを歌舞伎化しようと決意、すぐさまFFX著作権を持つスクウェア・エニックスに対してビデオレターでFFXの歌舞伎化の許可取りを依頼、歌舞伎化の方向で話が決まった後、今度は菊之助さんが理想とするキャラクターの配役を同じ歌舞伎俳優仲間や先輩の人達に"直接電話依頼"という形でオファーの連絡を掛けたんだそうです。

今回アーロン役を務めた中村獅童さん曰く、こういった仕事の依頼で直接依頼が来るというのはかなり異例な事で、大抵殆どが事務所を通して舞い込んでくるそうなので、菊之助さんがどれほどこのFFX歌舞伎に対して並々ならぬ思いを持っているのかがよく分かります。

その思いの強さの話に関しては、公演開始前の記者会見発表を始めとして、様々なメディアや雑誌インタビューなどでも度々語られる事になり、それらを逐一チェックしていた僕は菊之助さんのFFXに対する愛や思い入れが深く強いという事、そして今回の歌舞伎化に対しても生半可な気持ちで依頼したものでは無いという事がよく分かったので、「あ、これは大丈夫だな」…と、今回のFFX歌舞伎に対してはだんだん期待感を持てるようになっていきました。

 

そしていざ迎えた歌舞伎観劇の当日、そこで描き出された世界は想像以上のもので、FFXの原作の良さを余すことなく再現してくれただけでなく、ちゃんと歌舞伎らしい要素も入れてくれてて、歌舞伎初心者の僕でも分かりやすく、そして楽しい観劇になってとても大満足しました!!!

今回はそのレポートと感想をできる限り書いていきたいと思います!

 

本編を語る前に&全体感想

今回のFFX歌舞伎の感想を書くにあたって前提として先に述べておきたい事があるのですが、僕はこれが人生で初めての歌舞伎鑑賞の歌舞伎初心者です

そして逆にFFに関しては生まれてこの方25年FFファンの、人よりちょっと詳しく精通している方です。なので歌舞伎の所作や動作、用語に関してなるべく正式な名称を使って語る事を心掛けてはいますが、もしかしたら間違った言い方や使い方をしてしまうかもしれません。なのでもし使い方が間違っているぞという部分がありましたらコメントで指摘して頂けるとありがたいですm(_ _)m

 

FFX歌舞伎観劇後の率直な感想

いきなりですがFFX歌舞伎を鑑賞した全体の大まかな感想を述べていきたいと思うのですが、まず原作再現度が半端なく高いです!そしてちゃんとFFXの全てをこの7時間の間に全部濃縮して詰め込まれています!!!

それでいてちゃんと歌舞伎らしさというものを忘れずに、要所要所で歌舞伎と言えばという要素を見せ場で披露している事で歌舞伎初心者の僕は新鮮な気持ちで楽しめたと共に、歌舞伎ファン歴が長い人でもしっかりと歌舞伎の要素を感じる事が出来て大変満足出来たという人が多い模様です。

何故そう断言して言えるのか?実は歌舞伎鑑賞の際に僕の右隣に座った人が「ゲームを一切やった事のない歌舞伎ファン歴ウン十年の大ベテランおばあちゃん」という凄い人が座りまして、些細な事をキッカケにこの歌舞伎鑑賞中に話す事になり、歌舞伎の豆知識などを色々教えてくれました。

そんなおばあちゃんに対して「このFFX歌舞伎、歌舞伎という観点から見てどうですか?」と聞いた所「ちゃんと歌舞伎の要素が入ってしっかり歌舞伎になってて面白い」と言ってくれたので、原作ゲームを一切知らない人であったとしても、ちゃんと歌舞伎という要素、更に言えば歌舞伎の新しい演目のひとつとしてこのFFX歌舞伎を大いに楽しめたという事ですから、原作ファンの僕としても不思議と嬉しい気持ちになっていました!

歌舞伎について一切何も知らない僕に対しておばあちゃんは優しく歌舞伎の要素や専門用語について教えてくれたので、お礼として僕からもFFXの世界観や専門用語(異界送りや死人など)を教えたりして、それはそれはとても素敵な出会いでした*1

僕の左に座った人は僕と同じくFFXが大好きな二人組の女性で、その人達も含めて4人で意気投合したりしたので凄く有意義な時間と空間になりました👍

 

・原作再現について

原作再現の観点で言うと「よくここまで再現したな!」と思うぐらい細かい描写や要素までもがキチンと舞台上で再現されていて、それは舞台の流れを解説する上で述べさせていただくのですが、更に言うと出てくる登場人物全員の演技力の高さが本当に凄いです

元々テレビドラマ等でも活躍する俳優でもありますから演技力が高いというのは当たり前の事なんですが、テレビを通して見る俳優さんの演技と舞台の目の前で観る生の演技とでは観る人の揺さぶられる感情というのが大いに違いましてね…テレビドラマよりも舞台の方を好んで観る人が少なくないのも納得の出来栄えでした。

それぞれのキャラクターがみんなそのキャラクターに寄せた演技をしてくれているという事もあって、原作のキャラクターとの声の違いという違和感をほとんど感じさせる事がありませんでした。厳密に言えば声優さんの声質と全くもって一緒というわけではないのですが、「ゲーム内に登場するキャラクター達が現実世界に現れたらきっとこんな感じなんだろうなぁ〜」と思わせられるぐらいしっかりとキャラクターがキャラクター然としてるんですよ

要するに単純な2.5次元ではない3次元に近い舞台版のティーダ、アーロン、ユウナといったものが確立していて、それでいてうわ!ティーダだ!とか、ちゃんとワッカがワッカワッカしてるわぁ〜!(語彙力皆無)というふうに歌舞伎舞台としてのキャラクターが演技力の高さも含めてクオリティの高い仕上がりになっているので、原作との違いや違和感というものを殆ど感じさせる事がなく、これもまたFFXという1つの作品としての完成系が見えたような気がしました

 

・衣装やヘアメイク等の再現性について

キャラクターの衣装やヘアメイク等に関しては公式YouTubeの動画などを見ていれば分かる通り、FFXのキャラクターとしての再現性と歌舞伎らしさの境界線をどうやって折り合いをつけるかなどのこだわりがあったようで、歌舞伎独自のオリジナル要素などを加えつつ、しっかりと再現性の高い衣装とヘアメイクになっています。

個人的に凄い!と思ったポイントは、アーロン、ユウナ、ルールーが凄いと思わされましたね!

アーロンは上半身の直垂と下半身の唐服を組み合わせた衣装と眼帯状のサングラスでアーロンらしさを再現しているのですが、原作でも左腕を裾状にした服の隙間に掛けている時と、服から出して露出してる時があるのですが、ちゃんと場面場面によって掛けている時と露出している時の違いがあります。

しかも凄いのは左腕の肩パッドは着脱可能らしく、戦闘シーンの時などでは邪魔にならないように工夫されてるのが凄かったですね。で、歌舞伎舞台ではアーロンが右側面を観客側に向けている時があるのですが、その時は右目に着けている眼帯がちょうどサングラスを着けているように見えて、凄くカッコイイ角度が生まれるんですよね!

ささやかなポイントではありますが、そういったところでおぉ!となったのは密かな喜びポイントです(笑)

ユウナは原作衣装がそもそも着物だったので歌舞伎衣装との親和性はバッチリで、ほとんど違和感はなかったのですが、凄いと思ったポイントとしてはユウナがちゃんと右眼と左眼の色が違うオッドアイになってたんですよ!!!そんなの当たり前じゃんって思うかもしれませんけど、舞台を観劇した時に場面によって俳優さんが観客席の最前列に近い手前まで寄ってくれる時があったんですけど、ユウナが近付いた時に顔をよく見たらちゃんと右眼が、左眼がのカラーコンタクトを着けてましてね!遠目のお客さんからは見えないかもしれないポイントであってもしっかりと再現性を高める事にこだわり抜いたメイクが施されてるんだって事がよく分かりましたね…!

あ、ついでに僕がその時どこの席だったのかを公開します!

f:id:Gameslifeisff:20230318195149j:imageここ!前から2番目のやや左寄りの真ん中列です!

いやぁここはSS席の中でもかなりの当たり席だと思いましたね…前から2番目という事で歌舞伎俳優さんの演技を間近で観る事が出来て、それ故に感情が揺さぶられ、没入感も高かったというのはあると思います。間近で見ていたからこそ気付く事が出来たポイントというのも後に語っていきます!

ルールーは原作が黒のドレスだったのですが、今回は歌舞伎らしく黒の着物で艶やかさを再現、帯にはアネモネの花模様を刺繍し、下半身の原作ではベルトだった部分は他の色の衣装と重ね合わせる事で再現したり、銀の刺繍で花模様を作る事で再現しています。この刺繍部分が舞台上でスポットライトが当たる時に美しく反射する事がありまして!その時に黒の中で映える煌びやかさがあって良かったですね…

他にも多くのキャラクターの衣装やヘアメイクのこだわりがとても高く詰まっていたのですが、それに関してはこれ以上語ると長文になってしまうのでカットします(笑)

 

とにかくひとつ言える事としては原作ファンの人が心配していた実写化による違和感というものは殆どありません!寧ろここまで再現性の高い舞台を作り上げた事に感銘を受けることは間違いないと思います!

今からその模様についてお伝えしていこうと思います😊

 

現場到着〜開場〜開演OPまで

出発したのは朝の8時頃、開演が昼の12時だったので11時前には着ければ良いかなと思って臨んでいました…が、ここでいきなりトラブル発生、地元の駅路線のとある駅で人身事故が発生し、電車に最大69分の大幅な遅れがあるという予期せぬ事態に…西武池袋線はやたらと人身事故が多い呪われた路線と言われていますが、ここでその不運さを発揮してくれるとは思わなかったです💦

この遅延によってちゃんと会場がある豊洲に着けるかどうかかなり心配したのですが、何とか少しの余裕を持って着く事が出来ました。

f:id:Gameslifeisff:20230318202754j:image遠目から見たIHIステージアラウンド東京


f:id:Gameslifeisff:20230318202814j:image会場横には超巨大ポスターが


f:id:Gameslifeisff:20230318202819j:imageというわけで何とか無事にFFX歌舞伎が行われる舞台である東京都は豊洲IHIステージアラウンド東京にやって来ました!東京湾がすぐそばにある港町なのでかなり遠く、はるばるやって来たなぁって感じがしました(笑)
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f:id:Gameslifeisff:20230318202746j:image例ののぼり旗もちゃんとあり、改めて歌舞伎なんだなぁってのを感じられましたね!(笑)
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f:id:Gameslifeisff:20230318202827j:image休憩スペースは悪天候時にも対応出来るテント型と屋外芝生スペースがあり、そこでゆったりと休憩時間も休む事が出来ます!

会場外の横スペースには獅童さんが提案したキッチンカーも来ており、ここで提供されるご飯を食べる事も出来ます!ちなみにどんなキッチンカーが来るのかは日替わりでランダムになってるらしく、この日僕が観劇した時に来ていたのはステーキがメインに食べられるお店でした(笑)
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f:id:Gameslifeisff:20230318202830j:image芝生スペースから見えるオーシャンビューもなかなか壮観な景色でした👍

ちなみにこの時来ていた周りのお客さんをざっと見ると意外にも男性よりも女性の比率が結構多い印象で、しかも年齢層で言えば20代30代の若い人達だけでなく、4~60代以上のおじ様おば様方の姿も結構多かったのでこの人達は元々歌舞伎好きで、歌舞伎目的で来たんだろうなぁってのがよく分かる構図でした。*2

こうして老若男女問わず色んな人が来てるってのは普通にすごい事で、改めて歌舞伎とゲームの融合がお客さんの層からも現れてるんだなぁってのがよく分かりましたね…
f:id:Gameslifeisff:20230318202757j:image11時半から開場という事でその20分前には列に並ぶように会場スタッフから指示がありました。すぐさま並んだ事で割と前の方に付く事ができ、開場後僕はすぐにグッズ売り場の方に並びました!今回の公演のためのオリジナルグッズも欲しいものがかなりあった為、ある程度のものが買えたので本当に良かったです!グッズ紹介に関してはまた後ほど紹介します!


f:id:Gameslifeisff:20230318202751j:imageさていよいよ公演座席の方へ会場入りですね!!!会場内カフェで特製ドリンクMOONを注文し、いざ参ります!

 

f:id:Gameslifeisff:20230318205554j:imageうおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!


f:id:Gameslifeisff:20230318205559j:image見えました…!これがIHIステージアラウンド東京のホール内です!!!眼前に見えるのは青々とした海の背景をバックに美しい白文字で描かれた「新作歌舞伎 FINAL FANTASY X」の文字と今回の歌舞伎公演の為だけに野村哲也さんが描き下ろした歌舞伎版衣装を身に纏ったティーダ達のイラストです!!!

全体的にかなり和装テイストになっている事によってより日本系のアジアンらしさが強調されており、この衣装でFFXをやりたい…!と思ってしまうほど美しく素晴らしいイラストになっています!もうこれだけでも大満足ですね(笑)

 

さて、この会場内では開演前の待機で待っていたのですがこの時会場内では「キン…キン…」と甲高い木が打ち付けられる音が響いておりました。

これは一般的には拍子木、業界的には「柝(き)」と呼ばれる道具が打たれて響いている音になっておりまして、幕開きから幕切れまで様々なタイミングで打たれる音となっており、今回のFFX歌舞伎に於いては幕開き前の時が迫る音として響かせている印象でした。正直この音を聴くだけでもう歌舞伎らしいなぁと思う要素にもなっており、この音自体は誰もがどこかで絶対に聞いた事がある音になっているので、これを生で聴けるってのは嬉しいもんですね…!

何故生なのかが分かるのかと言うと、打ち付けられた音の響き方が毎回違うからです。特に開演時間が迫った時の拍子木の音はより力強く響くように鳴らされており、いよいよだなと身が引き締まる思いがあります。

 

そして時刻は12:00 いよいよ開演となりました!!!

 

開幕早々軽快な三味線の音と共に中村萬太郎さん扮する23代目オオアカ屋が登場!今回オオアカ屋は舞台の本編には登場せず、歌舞伎本編開始前の案内&進行役としてお客さんとの触れ合いをする役割を担っており、軽快な舞を披露した事で早速和やかな雰囲気になっておりました。

そして歌舞伎ではお馴染みの口上が始まり、「23代目オオォォ〜アカ屋でぇございまぁす」といかにも歌舞伎!らしい名乗りをした直後、座席の後ろの方から「いよ!オオアカ屋!!!」「オオアカ屋ぁ!!!」と大向うの声が聞こえたのでめちゃくちゃビックリしました!(笑) この時流れた大向うは観劇に来たお客さんが実際に声出ししたものではなく、演出上の一環として流れた音声、もしくは仕込みとして屋号を呼ぶ専属の大向うの人が声を出した可能性が高く、実際の歌舞伎でも大向うに精通している人が演劇中にここぞというタイミングで○○屋!と屋号を叫ぶ事があるので、今回その雰囲気を感じ取れたのは良かったですねぇ…!*3

そして口上の雰囲気の良さに思わず拍手をした後、萬太郎さんはお客さんにある質問しました。

 

今回この舞台を観に来られた方の中で歌舞伎を観るのは初めてだよという方はいらっしゃいますか?

これは公演の前編で毎回聞かれている質問だそうで、今回のFFX歌舞伎が初めてだったので早速手を挙げました。そして続けざまに

では逆にファイナルファンタジーをやった事がないという方はいらっしゃいますか?

と、この質問ではやはり高齢のお客さんが多く手を挙げている印象でした。

そして萬太郎さんは歌舞伎鑑賞が初めてというお客さんに向けて初心者にも分かりやすい歌舞伎講座を教えてくれました!

 

FFX歌舞伎で特に注目して欲しいのは「見得」と「ツケ」と呼ばれるもので、見得は歌舞伎を象徴する決め動作のようなもので、身体の動きを止め、ぐるりと首を1周〜半周程回した後に寄り目をしながら睨みを効かせバッ!と舞台に向かって振り向く、この時ツケと呼ばれる音が合わさる事によって派手な決め動作が演出されるとの事で、ツケの音は欠かせない存在なのだそうです。

ツケはツケ打ちと呼ばれる人が舞台袖で木の板と木片を叩き付ける事によって発せられる大きな音であり、この音の存在が歌舞伎に無くてはならない重要な要素として存在しています。

バタン!バタン!バタバタバタバタバタ!!!と響く大きな音は演者が歩く動作や、立廻りで剣と剣がかち合う音、また先述した見得の動作の時に合わせると演者も観客も最高に気持ちの良い状態を作る事ができ、ツケはとても大事なものだというのがよく分かります。ちなみに見得の時に流れる音はバタン!バタン!バタバタバタバタバタバタ、バァーッタリ!と、この最後のバァーッタリ!が重要で、このバァーッタリ!と決めが決まると最高のフィニッシュになるのでここが注目のポイントだったりします。

実際に萬太郎さんが歩く動作の時に合わせてツケの音が打ち鳴らされましたが、やはり迫力の点では大きな違いがありましたね…!

 

こういった注目ポイントなどを教えてくれた後、いよいよFFX歌舞伎の本編が始まりました!!!

 

第一幕

プロローグ…それはかの有名な夕暮れのザナルカンド遺跡での光景、今回のFFX歌舞伎のプレリリース当時のポスターにもなったそれぞれの武器を1箇所に集め、周囲には幻光虫が飛ぶ神秘的な光景が巨大スクリーンに映り、和楽器アレンジで演奏された「ザナルカンドにて」が流れそして「最後かもしれないだろ?だから、全部話しておきたいんだ」という有名なセリフが菊之助さんのボイスで流れ、タイトルが出ました。

 

物語のスタート、夢のザナルカンドではブリッツボールの試合が行われる直前、和楽器で再現された軽快なプレリュードの演奏と共に出てきたのはなんとプレリュードの音に合わせてノリノリでリズムを取るザナルカンドの街の人達でした!!!「フゥ〜!」という掛け声が後方に聞こえて来たので後ろを振り向くとどうやら住民の人達は客席通路の1番後ろからやって来たらしく、これは「末席でも満足感を与えたい」という方針がある金谷かほりさんの演出が効いてるなぁと思いましたね。

金谷さんの手掛けたライブパフォーマンスや舞台の演出は席ガチャと呼ばれるものの中ではハズレ扱いされてしまう末席の人達にも満足してもらえる演出を盛り込む事で有名で、今回はその方針がFFX歌舞伎にも活かされてると早速思いましたね。

ここの冒頭、実は原作ではラジオDJがジェクトの息子であるザナルカンドエイブスのティーダを紹介する場面なのですが、今回はその紹介を街の人達が期待感を込めて紹介するという方針に変わっていました。あとここで面白いと思ったのは今回登場するいわゆるモブと呼ばれる街の住民や村人達ってみんな江戸時代の町民のような和服姿なんですよね。これはいかにも歌舞伎らしいなぁというか、和アレンジが活かされてると思いました。原作のFFXではモブもアジアン系の露出度が高い服装をしている事が多く、またそれは種族によって違いがあり、個性が色濃く出ていたのですが、歌舞伎では歌舞伎らしい和服アレンジを施す事で雰囲気を作ってるのがめちゃくちゃ良いですね…!

で、そんなザナルカンドの街の人達が「優勝はザナルカンドエイブスで決まりだよなぁ!?」と期待を込めた発言をした後、ティーダの声が聞こえます!(この時なんて言ってたのかは忘れましたすみません!)そして「待ってましたぁ〜!!!」と街の人達が一斉に会場の奥の方へ叫びます。この時「まさか奥の方からティーダが出るのか!?」と思って思わず後ろを振り向いてしまいました*4がそんな事はありませんでした(笑)

すると舞台の前面を覆っていた巨大スクリーンが開き、奥から菊之助さん扮するティーダが登場!!!「待っていたとはぁありがてぇ」という口上から始まり、「ブリッツに賭けた男達」のアレンジBGMをバックにジェクトの息子なんざなんのその、と言葉を続けた後、最後に「ザナルカンドエイブスのリーダーのティーダとは俺がことっスぅ〜!」という力強いセリフと共に見得が決まりました!!!

ティーダらしい派手な登場となった事で思わず拍手を打ち鳴らす手が止まらない僕、その後舞台の階段を降りると早速「あの…サインください!」とサインをねだるモブまで再現!サインをねだるモブの話は以前読んだインタビュー記事で事前に知っていたのですが、その後のセリフに「じゃあさ、俺がゴール決めたらこのポーズ取るからこれ二人だけサインって事で!」と、女性ファンに見せるオリジナルポーズの下りまで再現されててこの時点でもう凄い!と思いましたね(笑)

今回の歌舞伎化に当たって作中に出てくるセリフを全て文字起こししたと菊之助さんは話していましたが、まさかここまで事細かく再現に力を入れてるとは思わなかったので今後も期待感しかなかったですね(笑)

 

そして「始まるよ…」という謎の声につられてティーダは試合に向かいます

 

この始まるよ…という声、謎の少年(祈り子)の導きによって終わりの始まりを告げるのですが、まさかここで尾上丑之助さんが出てくるとは思いませんでしたね!!!丑之助さんは後編のみの出演と書いてあったのですが、前編の一番最初にこの少年の存在は欠かせないので一瞬だけですが出るという事になったのでしょうか、後に語らせて頂きますが丑之助さんの演技力はとても素晴らしく、難しい役も見事にこなしているなと感じさせてもらいましたね!

そしてこれからブリッツボールの試合が始まる…前になんといきなりシンのコケラが出てきました!!!どうやら歌舞伎版のシンはせっかちみたいで、早速ティーダに会いに来たみたいです(笑)

そして座席が回転、するとそこに現れたのは獅童さん扮するアーロン!「亡き友との約束果たすため…」から始まる口上の後、「アーロン!」と派手に決まりました!そして早速戦闘開始、群がって俊敏な動きをするシンのコケラをオーバードライブ技の牙龍で派手にぶっ飛ばします!この時冒頭で説明されたツケの音がアーロンの刀がコケラに当たる瞬間に派手に打ち鳴らされ、斬りかかった迫力を押し上げるのに一役買っていました。*5

そして慌てふためくティーダが合流、一体これはなんなんだよ!?と焦るティーダにアーロンがティーダを象徴する武器であるフラタニティをジェクトの土産だとして渡します。原作ではロングソードなのですがこういう設定改変もまた良いかもしれないと思いましたね…

そしてそのままシンのコケラと戦闘再開。アーロンが手馴れた手つきでコケラを捌く中、戦闘の素人であるティーダは使い慣れないフラタニティを使って着いていくのに必死な所が経験が浅いたどたどしさを表現しててめっちゃ良かったですね!そしてそのままティーダは夢のザナルカンドを襲うシンに飲み込まれる事となります…

 

この時気絶をしているのか暗がりの中でティーダ1人だけにスポットライトが当たり、回想映像がスクリーンに映し出されます。そこに映っていたのはブリッツボールの練習をする幼少期ティーダにジェクト様シュート3号を披露して自慢をするジェクトの様子が、この時のシュートの様子は映像効果も合わさって派手なものになっており、IHIの巨大スクリーンを有効活用したものになっていましたねぇ。

で、この時のジェクトの嫌味ったらしさもしっかり再現されており「泣くぞ、すぐ泣くぞ」から始まるあの名セリフは最初の方では嫌なセリフとしてユーザーの耳にも残るようにされており、今回の歌舞伎でも坂東彌十郎さんの親父臭い演技力の高さが活かされたとても良いものになってましたね。

そして場面は変わり、ジェクトが行方不明になった時のシーンへ、この時周りの人達がジェクトの安否を心配をし、ティーダの母(中村芝のぶさん)も慌てふためく中幼少期ティーダは「母さんはオレが守る!だからあんなヤツ帰ってこなくていい!」と啖呵を切ります。

「お前はそんなに父親の事が嫌いなのかい!?死んでしまったら嫌いって事も言えなくなってしまうんだよ!?」とティーダ母が言うセリフが大好きな母親を父親に取られてるという事を象徴しており、この時のティーダは父親ジェクトの存在がチラついて苦悩します。

 

そして場面は転換し…ティーダビサイド島へ流れ着くことに。

流れ着いたビサイド島ではルッツ(一人二役で萬太郎さんが演じています)とガッタが気絶していたティーダ起こすと今度はワッカ(中村橋之助さん)が登場!エボンの教えを一番に守り、亡きチャップへの仇を打つという口上が決まると「大丈夫か!」と早速ティーダの元に駆け寄ります。

いきなり自分の知らない異世界に迷い込んだ事に困惑するティーダでしたが、ブリッツボールの存在を見付けた事でスムーズに話が出来そうな状態になり、蹴ってみろというワッカの言葉に応えてボールを蹴ります!その時のボールは一旦海の向こうまで行ったあと一周して帰ってくるという凄い軌道!すげぇぇぇぇ!!!と驚くワッカ達、どこかのチームに所属してるのか?という問いかけに気分を良くしたティーダが自慢げに「オレ、ザナルカンドエイブスのティーダッス!」と答えると途端に「え、ザナルカンド…?」とザワついた空気に…何故ならスピラという世界のザナルカンドは1000年前の機械戦争で滅んだ街とされており、現在は遺跡になって人は住んでいないという…頭を強く打ったんじゃないか…?とワッカに言われ、ムッとしたティーダはザナルカンドでブリッツボールの試合をやろうとしたらシンが来て街をめちゃくちゃに破壊して飲み込まれて…と伝えるとそこで更に「シン!!?」と一同が驚きます。

そこで「そうかぁ…シンに近付き過ぎてシンの毒気にやられたかぁ…」とティーダの話はまるで信じて貰えず、完全に頭がおかしくなったと思われてしまいます。しかしシンにそれだけ近付いたのに生きているのは奇跡みたいなもんだとし、エボンの賜物という有名なフレーズと共にエボンのポーズを取ると、ティーダは「それブリッツをやる時のおまじない」と言ったりとやはりこの世界の事を何も知らない人としてのギャップが出ています。

そんなこんなでティーダはワッカの案内を受けてビサイド寺院に向かう事に、この時場面転換として座席が動いたのですが、回転する座席の流れに合わせて背景スクリーンと演者が一緒に動く事でまるで移動中である事を綺麗に表現しててこれは凄いと思いましたね!

これもまたIHIステージアラウンド東京ならではのシームレスな表現になっていて、これによって転換による待ち時間をほぼ0に抑えることが出来るだけでなく、旅の道中として移動中である事を的確に表現出来ている訳ですからこれは凄いと思いまいましたね…!

で、そんな移動中の会話ではエボンの事やスピラの世界という事についてワッカから教えてもらいます。そして無事にビサイド寺院に到着、すると早速ビサイド寺院の僧が慌ててワッカの元へ駆け寄って来ました。どうやら祈り子の間に入った従召喚士が祈り子の間から出てこないとの事、それを聞いて召喚士や祈り子といったものの存在についてはさっぱりなティーダでしたが、奥から人が出てこないという事で大変な事になってるというのは感じ取ったようで、助けに行こうと祈り子の間のある部屋入ろうとします。

しかしガードでもなんでもない部外者であるティーダが祈り子の間へ入ろうとする事は許されないので当然寺院の僧とワッカに止められてしまいます。そんなこんなで押し問答が続いていると「何を騒いでるの?」とルールー(中村梅枝さん)が登場!ワッカと同じく亡きチャップへ想いを馳せるという口上をした後、戻ってこない召喚士の事で心配するワッカに「もう少しだから待ちなさい」と宥めるルールー、とその時!ビサイド寺院に魔物が侵入してくるというトラブルが発生!予期せぬ展開となる中、2回目の立廻りが始まりました!ここではルールーの魔法が炸裂!音と照明による視覚効果でファイア系の魔法が効いてる事を表します。

しかし最後の大型モンスターには苦戦、厳しい戦いになるかと思いきや、舞台横の巨大スクリーンから召喚獣のヴァルファーレが現れ、最後の敵を蹴散らします!その姿を見て驚いた3人は戦闘終了後すぐさま祈り子の間がある部屋へ(ここで舞台転換)

すると階段がある少し高めの舞台に切り替わり、その奥からユウナ(中村米吉さん)が登場!大召喚士である父ブラスカの意思を引き継ぐ召喚士としての決意を口上として語った後、「私、召喚士になれました!」と喜ぶ姿を見せます!

 

この時凄いなと思ったのはユウナがちゃんとユウナしてるんですよね…と言いますのも、先程登場したルールーの時にも感じたのですが、女方として務める梅枝さんや米吉さんの声がめちゃくちゃ高く、「え、本当に男性!?」と驚くほど女性らしさを全開にしてるんですよね…特にユウナは可憐で可愛らしい少女として原作でも多くのユーザーを虜にしてきましたが、歌舞伎舞台でのユウナもルールーもしっかり女性としてのらしさを発揮していて、全く違和感を感じませんでした。

寧ろユウナ&ルールーという存在がそこにあると錯覚するレベルでその役柄をしっかりと演じられていたので素晴らしいと思いましたね👏

 

で、話は戻り従召喚士から正式な召喚士になる事が出来たユウナとそれを喜ぶワッカ達…そして蚊帳の外感があって取り残されるティーダ、原作では「祈り子の間から出てきたユウナとティーダが初めて目を合わせる」という印象深いシーンとなっており、運命的な出会いを象徴する場面になっているのですが、今回の歌舞伎ではワッカ達との盛り上がりがあるまま、宴を開こうというスピーディーな流れになっています。

そこから客席が動き出し、このまま夜のビサイド村になるのかぁ…と思ったその時!!!場面転換でティーダが見切れる直前にユウナとティーダがしっかり目を合わせたんですよ!!!これは凄いと思いました!!!

なんという事細かい原作再現率の高さ!原作ゲームでも小ネタとして扱われる要素から細かな描写に至るまで徹底的に舞台上で再現されているのを観て僕は感動すら覚えましたね…!本当にこの歌舞伎を企画した菊之助さんはFFX愛が半端ないんだな!と…

そして場面は夜のビサイド村に切り替わり、村民達がユウナを囲んで宴をする中、ユウナの存在が気になるティーダはユウナに近付こうとしますが、当然「掟破りめが!」と怒鳴られる事になります。「あぁ〜やっぱりあの場面だなぁ〜」とニヤニヤしながら見ていると、ユウナからの計らいで初めてティーダと会話をします。

見ず知らずの自分のために心配して駆けつけてくれた事、その優しさに感謝を述べるユウナ。地元の人とは違うティーダ雰囲気に何かを感じ取ったユウナはまた後でお話しましょうと言って去っていく。

そしてワッカは出会った時に披露したティーダブリッツボールのシュートを見ていた事で、今度ルカの街で開催されるブリッツボールの大会に出場するビサイド・オーラカのチームに入ってくれと懇願、ティーダは快く引き受けます。この時「目標は?って聞かれたら優勝!って答えろよ」と1勝だけでも出来れば良いと消極的に思っていたワッカの考えを前向きに焚き付けてたのが良かったですね(笑) 最初自信なさげにゆうしょう〜と言っていたシーンなども原作にもあったもので、歌舞伎でもクスッと笑えるものでした(笑)

 

さて、場面は変わって一夜明け、ポルト=キーリカに出発するためビサイドの船着き場まで向かいます。意気揚々と向かっていたその時!原作と同じくキマリ(坂東彦三郎さん)がティーダに対していきなり襲ってきました!自慢の槍の猛攻に対して必死に応戦するティーダ、緊張感が走る中ワッカがストップストップ!と止めに入りました。

この時登場したキマリに関してなんですが、予想以上にキマリだったんですよね…!青い肌に筋骨隆々とした体付きはさることながら、その圧倒的な毛束の毛量感と背中の羽飾りがまんまキマリでして、隈取りによる彫りの深さはキマリの強面な顔付きがよく再現されています。

キマリは原作と同様喋る事は殆どありませんが、いざ喋りだした時に発せられるのは心に残る事ばかりなので圧倒的な存在感というものが確かにありましたね…!確かに今、目の前のそこにキマリがいる。ゲームの世界から飛び出してきたと言っても過言では無い。そんなクオリティでした。

さて、ティーダとのちょっとしたバトルが終わった後「あいつなんなんだよ!」と怒るティーダ、どうやらキマリはユウナに着いていくティーダの力を試していたみたいで、結果は合格、「どうなの?」とルールーに聞かれて目線を外す無愛想振りがなんともキマリらしかったですね(笑)

 

ビサイドの港に着いたティーダ達はいよいよキーリカ島に向けて出発する事に、しかしユウナが来るのが遅い…と思っていたらなんとユウナはアタッシュケースにかなりの大荷物を持ってヨタヨタと歩いてきました!これから訪れる寺院に渡すお土産をしこたま持ってきていたみたいでしたが、旅行に行くんじゃないんだから…と若干呆れさせてしまいます。「でも気持ちは大事だと思う」というティーダのフォローも「あんたは黙ってて」とルールーが一蹴(笑)

まだ出会ったばかりでそこまで信頼されていないというのがよく分かります。

そして別れを惜しむビサイド島の人達に見送られながらユウナ達一行はキーリカに向けて出発しました!

 

ビサイドからキーリカに向かう船では出会ったばかりのティーダの扱いに困惑するワッカとルールーの会話や、ティーダとユウナの会話シーンがあったのですが、ザナルカンドから来たというティーダの言葉をユウナは信じてる一方で、まだぎこちない感じが二人の会話内容や距離感から感じられましたね。その中でジェクトの事も話題に出たのですが、ユウナの知っているジェクトとティーダの思い出の中に残っているジェクトは性格的に一致しない部分があり、人違いだよと言うティーダ、まだまだザナルカンドに帰る方法の手掛かりも掴めず、そもそもこのスピラという世界の事が何も分かっていないティーダはより一層ファンにかられます。

…と、その時!突然海が荒れて船が揺れ動きます!なんとシンが現れました!原作だとここでシンのコケラ&背びれとバトルになるのですが、ここでは戦闘をカット、船よりも先にキーリカに向かう様子を見て青ざめる船員、あ、あそこには家族が!家族がいるんだああぁぁぁ!!!」と叫ぶ様子にリアリティがあって鬼気迫るものがありました。

そして巨大スクリーンの映像ではシンがキーリカの村を吹き飛ばし、多くの命が奪われる様を目の当たりにする事になりました…

 

船を降りた先で見えたのはあまりにも痛々しいポルト=キーリカの惨状、「私、何も出来なかった…」と落ち込むユウナに「シンが…!あいつがまた何もかも根こそぎ奪っていきやがった!!!」と怒りに震えるワッカ、シンを倒す目的で始まった旅のスタートは最悪なものでした。

そこに生き残りの村民を発見、すぐ様村人の元へ駆け付けたユウナは召喚士として最初の仕事の"異界送り"をする事にしました。異界送りについて何も知らないティーダに対して詳しく教えるルールー、スピラという世界では死んだあとも魂はそこに留まり続けてしまい、彷徨える魂はすぐに異界に送り込まねばならない。

異界に送られないまま残された魂は魂の中に宿る"想い"と幻光虫とが結合し、異形の魔物になってしまう。召喚士の役目はただシンを倒す事だけが目的ではない。死者を弔う行為でもある異界送りはスピラの人々にとって重要な行為なのである。

 

そしてTwitterで発信された動画でも話題になっていた異界送りが遂に始まりました。

 

和楽器アレンジされた祈りの歌をバックにしながら、所作、そして舞の動きの美しさは可憐で神秘的なものがあり、夕暮れを表すピンクのライトとスモーク、レーザーによる演出効果によって更にユウナの美しさが引き立てられていました。

実はこの時のユウナは裸足になっており、原作と同様水の上で舞った事を正確に再現していて凄いと思いました。

そして原作では水に馴染みやすい幻光虫の効果によってせり上がっていた水の効果については舞台装置を使う事で的確に表現しておりました!

異界送りで優雅に舞うユウナの周りには幻光虫の映像が投影され、この行為の神聖さを肌で感じ取ることができ、とても感動しました…!

 

そして異界送りが終わり、夕暮れの景色を見つめる中ユウナは「私、シンを倒します。必ず倒します」FFXで有名なセリフを発し、壮大で波乱のスタートとなった第一幕は幕を閉じられる事になりました………

 

夢のザナルカンドから始まり、キーリカの村まで一切余すことなく描かれたこれが第一幕となります!正直これだけでももう期待感しかない序章だったので終始ドキドキしっぱなしでした(笑)

有名なセリフから細かな描写に至るまでとことん原作ゲームへのリスペクトと再現性があまりにも高く、いちFFファンのユーザーとして大変満足出来る出来栄えとなった事がこの第一幕で感じられ、この先がめちゃくちゃ期待できるものでした。

 

さて、ここまで解説と感想を書くのに大変長くなってしまい申し訳ありません!第一幕は見どころ満載の濃密な物語だったが故にカットできそうなポイントがほぼありませんでしたので、前編は第一幕の解説にフルで書かせてもらいました(笑)

次回の後編からは第二幕以降の物語をピックアップする形で感想を書いてお届けさせてもらいます!

 

ではまた次回!!!🙌

 

 

 

 

 

*1:更にそのおばあちゃんは過去にも新作歌舞伎の「NINAGAWA十二夜」や「風の谷のナウシカスーパー歌舞伎Ⅱの「ワンピース歌舞伎」等も履修済みのアグレッシブおばあちゃんだったので、基本的に新しいものに対しては無下に拒まず、ちゃんと見てみる、経験してみるという姿勢を持った素晴らしい人なんだなというのがよく分かった。

*2:しかも外国人の人も割と少なくなかった。日本好きで歌舞伎が好きなのか、ゲームが好きなのかどっちなのか…

*3:ちなみに今回後編の開演前アナウンスではお客さんからの屋号の呼び掛けは禁止とされていました

*4:何人かの人もつられて振り返ってましたw

*5:実はこの時シンのコケラを衣装を纏った人達はバック宙に前回転と派手なスタントアクションを決めており、この為にアクションの練習もしたのかな…?と思うほど軽快に動いて目の前で見てて迫力が凄かったです。こういった動きも努力の賜物なんだな…と