ポッポ屋日記

日記的なブログにしたいです

ペルソナ5 ザ・ロイヤル"ネタバレ感想記事" 〜全ての要素を終えて〜

 

ご注意

こちらの記事はペルソナ5 ザ・ロイヤルのストーリーネタバレがふんだんに盛り込まれたクリア済みの人が読む事を前提とした感想記事となっております。P5R未プレイの方がこの先を読んでしまうと初プレイ時に受ける衝撃と新鮮さが著しく損なわれる恐れがある為、P5R未プレイの方がこの先を読み進める事は非常に推奨しません。

それでも読みたいという方はどうか自己責任でお願い致します。

 

それではどうぞ

 

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f:id:Gameslifeisff:20210911213627j:imageあなたはその選択を選んだのですね...

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一番最初の衝撃

このP5Rをプレイしてて最初に衝撃を受けたのは11月20日の出来事だった。オープニングの冒頭でカジノに潜入していた主人公が警察に捕まり、取調室で新島冴の取り調べを受ける。そして4月からの物語が回想形式で進んでいるのは最初から分かっていた。だがいつ、どのタイミングでこの取り調べを受ける時間軸まで進むのかが分からないまま物語を進めていた。

そして奥村パレスでの改心失敗の流れから次のパレス攻略の対象となった新島冴のパレス...それがあの見覚えのあるカジノである事が判明し、ここでようやく「あのカジノってここの事だったのか!」と合点が行く事になった。新島冴が抱える大罪は「嫉妬」検事という職業柄、弁護士との直接対決がなされる法廷の場はまさに冴にとっては勝負の場、絶対に負けられない戦いが開かれる場所という分かりやすいイメージとしてカジノが表現されたという事なのだ。

奥村の件のこともあって世間からバッシングを受けていた怪盗団は「君たちの逮捕も間近だ」と警告する明智 吾郎のアドバイスを受けて新島冴の心を改心をすることにした。攻略は順調に進み、シャドウ新島のボスを倒し、いざ脱出!見覚えのあるあのカジノ冒頭シーンの場面が始まった!あの時声を出していた少年少女は怪盗団のメンバーであり、そして最後に出くわす謎の美少女は4月の頃から主人公と何度か交流をしており、とあるパレスでペルソナ能力に目覚めた新キャラクターの芳澤かすみだった。彼女の事はまた後で後述するとして、カジノ脱出を図ろうとして失敗してしまった主人公は警察の行き過ぎた拷問に近い尋問を受けた後、新島冴との取調を受ける時間軸に戻るのだが...脱出失敗の映像を見たあと「この後物語が大きく変化します。ここでセーブする事を勧めます」という何とも意味あり気なテロップが

いよいよ物語は大きく動き出す...そう思った時に出てきたのは新島冴から迫られたとある選択だった。新島冴との取引...これから言う仲間だと思われている人物の情報の真実を言えば減刑を考えるという非常に悩ましい選択肢だった。はっきり言うと1周目の当時、この質問に対してどの選択を選べば良いのかまるで分からず、僕自身はっきりとした答えは決められなかった。迷いなくこれだ!と言える明確な答えが決められなかった1周目の自分はあろう事か最初の怪盗団の仲間に関する選択肢に「良いだろう」を選んだのだ。

自分はこれが良いんじゃないかな...?という迷いも含めて選んだ選択肢だったのだが、「本当にこれで良いのだろうか...?」という主人公からの疑問にえ、違うの!?となり、じゃあやっぱりやめよ!となってこの答えを撤回した。それから二つ目の質問にも吐かない事の選択をした。実はこれでもうバッドエンドは回避出来ているのだが、1周目は攻略情報を一切調べないままプレイしていたが故に、どこまでが重要な選択肢でどれが正解なのかが分からないまま、自分の中では緊張感がずっと続いた状態で選択を選んでいた。

そうする内に冴との取引は失敗、にっちもさっちもいかなくなった時にフラッシュバックする場面...思えば新島パレス攻略開始前の段階から時々白飛びする場面があったりして違和感を覚えていた。その時聞こえてくる怪盗団の話し合う声、何かがおかしい...スマホ?裏切り者?渡す?それまでのストーリーでは一切見たことの無い場面の連続に困惑する自分、そして聞こえてくるどこかで聞き覚えのある声...その声を聞いた瞬間「まさか!!!?」と自分の中で強い衝撃が走った。

刑事があの時に言った「お前は売られたんだ」という言葉...それは怪盗団のメンバーの中の誰かが怪盗団の情報を漏らしたという事を示唆する言葉であるはずだが...それがまさか一番最後にメンバーとして同行して、新島パレス攻略の手引きをした明智吾郎だったとは!!!

裏切り者が何者かが確信した主人公、予想外過ぎる裏切り者の判明に唖然を隠せない俺...そうこうしている内に新島冴のコープランクがMAXになり、スマホを裏切り者に見せるように指示した主人公...冴が取調室を出るとそこに現れたのはやはり明智吾郎だった...怪盗団の情報をリークしたのは無論彼、それによって捜査指揮権を新島冴と取って代わり、主人公の元へと訪れたのだ...そこで冴はスマホを見せたのたが...一瞬の何かが起きただけでさしたる変化を感じられず、そのままスルーするように進んだ冴に対して「おいおいおいおい!ちょっと待てよ〜!」と自分の中で不安感を隠しきれなかった。

 

そして次の映像が本当に衝撃的だった。

 

取調室の前にいる警備の警察官に同行を頼む明智、中に入るとすかさず拳銃を奪い警官を殺す...そして明智はこれまでで一番醜い顔を晒しながら銃口は主人公に向けられ.......

 

主人公が死んだ

 

額から血を垂れ流し、突っ伏す様にそのまま机に倒れる主人公...この時、俺は見開いた目と空いた口を塞ぐ事が出来ず、自分の中でバッドエンドを確信し、絶望が自分の心を一気に支配した。

洗い物中に食器が割れる惣治郎の不吉極まりないシーン、自殺のように見せかける為に自身が撃った拳銃を死体の主人公に握らせる明智...そして主人公殺しを指示した黒幕「獅童正義」の存在の判明、獅童と繋がっていたであろう検事部長の廃人化による突然死、場面は次々と悪い方向に転がっていき、トドメにスマホを見せろってなんの事だったのかしら?」ととぼける冴の言葉に「おいいいいい!!!!!!終わりじゃねぇかよおぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」と、Twitterで「ペルソナ5R1周目...バッドエンドになってしまいました...」と先んじて呟こうとしていたほど、あの演出はまさにバッドエンドを確信させるストーリー展開そのもので、その力の入れ具合にATLASの底意地の悪さと見事にまんまと手のひらの上で踊らされた自分のアホさ加減を痛感することになった*1

その後、仲間達がリーダーの逮捕と死亡のニュースを聞いてショックを受ける映像を見て「あぁ...とうとう終わりか...」なんて思っていたら、竜司の「...なんてな(ニヤリッ)」と言う瞬間に驚き、更にイゴールの「お前は1度死ぬ必要があった」という言葉に驚愕し、次々と紐解かれる答え合わせタイムに心底驚かされるばかりだった。結論から言うと怪盗団達は明智が怪盗団達に再び接触をしてきた段階から違和感を感じて怪しいと睨み、調べた結果怪盗団を警察に引き渡そうとする裏切り者である事が判明、更にこのまま明智の提案に乗って進んで行けば最終的に主人公が明智の手で殺される事が既に怪盗団の間で分かっていた。

そこで怪盗団達は命懸けで明智を騙す為の大立ち回りと大掛かりなトリックをしかけてあり、そのトリックは成功、主人公はただ取調室の机に手を組んで座りふんぞり返るだけという最高にしてやったり感満載の顔をユーザーに見せたのだった...*2

主人公の死という誰しもが絶望感とバッドエンド感満載の演出に騙され、二転三転する場面展開の変化と衝撃のトリックが紐解かれるこのシーンはストーリーとしては非常に凝っており、ユーザーに一番の衝撃とサプライズを与えた、衝撃度が非常に高い場面ではあったものの、結果的にこのシーンは僕がP5Rをやった中では一番印象に残るシーンとなっており、怪盗団の...ひいてはATLASの策略は見事に成功したものと思われる。

 

ペルソナ4と3でもこんな衝撃展開があるんだとしたら慣れっこなのかもしれないが、ペルソナ初心者の自分にとっては決して忘れられない衝撃の出来事だった...

 

真に改心されるべき最後の相手

その後、順調にストーリーの進行は続き、主人公との因縁があり、これまでのパレスの主の中で最も強い欲を持ち、無類無き強さを持っていた黒幕の獅童の改心にも成功した。

だがいつもだったら改心によって大きな反応を見せていた世間への影響力は意外と小さく、しかも世間から大人気になっていた大物政治家の不祥事ともなれば大ニュースとなっているはずなのである。しかし警察検察は獅童の逮捕には漕ぎ着けず、それどころか精神鑑定によって逮捕を免れるという有り得ない自体怪盗団はその存在を無かったことにされ、未だに「怪盗団は悪」というレッテルを貼られ続ける事に...

これまで怪盗団達は何かと変化する世間の声に影響を受けて動いてきた側面がある。最初の鴨志田や斑目こそは身の回りに起こった身近に存在する悪を見過ごせなかったという信念に基づいた行動で改心していたものの、金城の改心の辺りから彼らは怪チャンの声などを拾ってはそれに反応するようになっていた。だが奥村の改心では行き過ぎたレベルで怪盗団を祭り上げた上に、過剰に掛けられた期待感から「早く改心しろ」と過激思想派が現れる事態にもなり、彼らは自分たちの活躍で怪盗人気が上がるのを喜んではいたものの、反面過剰にまで熱狂する世間の声に気味の悪さを覚えていた。

そんな世間がいよいよ怪盗団に興味を向けなくなった。散々期待を煽るだけ煽った癖に望まぬ改心をしたと身勝手な主張で怪盗団の存在を悪とみなし、そしてとうとう考える事を放棄した。これぞ正しく「怠惰」最後の改心の相手は世の中全てというこれまたスケールのでかい話になった。しかし獅童のパレスを攻略して例えめでたしめでたしとなったとしても、まだ全ての謎が解き明かされていないメメントの存在や、モルガナの出生の秘密が明かされていない以上更なる何かがあるんだろうなとは個人的に思っていた。しかし怪盗団が立ち向かった敵で最も愚かだったのは鴨志田や獅童といった強い歪んだ欲望を持った個人ではなく、その強い個人を導く者として認識してその身を任せ、それぞれが抱える想いを主張する事もなく考える事を放棄し、全てを流されるがままに委ねてしまう大衆の意識そのものだったとは

でも確かに世間というものほど愚かで身勝手なものはないと僕もまた思う。日々流される事件や事故のニュースに対してリアルでもネットでも関係なくあーだこーだと言えるのはニュースを見ている殆どの視聴者が当事者そのものではないからだ。どんなに痛ましい事件や事故のニュースがあったとしても、同じ目に遭った人でない限り似たような事件、事故の被害者の気持ちに寄り添う事が出来ない。真も言っていたが、結局どんな大事件や事故に対しても自分の身の回りに起こっていない出来事だったりすると実感が湧かずに他人事のように感じてしまい、世間話のネタとして消費されてしまうのが関の山。そこに罪の意識はなくとも個人が発した小さな悪しき心はやがて集団的意識に繋がり、罪深き群れの集合体となる...悪意の無い無自覚な悪ほどタチの悪いものは無いのだ

メメントスが「みんなのパレス」と言われていた最大の理由と、大衆の願いの意識が生み出した悪神の存在、そしてそんな悪神が主人公達に仕掛けた勝ち目のないゲーム...など、真に改心すべき相手はすぐ傍にいた事や、ラヴェンツァが発していた「あらかじめ未来を閉ざされた運命の囚われ」という言葉も全ての合点がいった。

 

正直、ここまで用意周到にストーリーが練られていたのには心底驚いた。そしてここまで歩んできた物語で最後に戦う存在の元凶は目覚しい発展と進化を繰り返す現代人に対する風刺の効いた警告だと捉える事も出来る。

己の中の信念や個を主張せず、流されるままに生きる事を辞めるのは相当難しいかもしれない。けどこの作品を通じてそんな考えを少しでも改められたら...と目を覚ました大衆の力を受けて悪神に打ち勝つ怪盗団の活躍を見てそう思えた。

 

 

悲嘆の願いから生まれた歪んだ現実世界

三学期編は色々と衝撃的なストーリーだった。

主人公が新年に目を覚ますとモルガナはイケメンの人間になっていたし、双葉が居ないはずのお母さん(一色 若葉)の事をまるで存在するかのような言い方で言及する様になった上に、実際本当にそこにいる。おかしいのはそれだけでなく、杏は引っ越して離れ離れになったはずの志帆と一緒に幸せそうに過ごしていたし、竜司は陸上部にトラブルなく今でも所属している事になっている。祐介はあれだけ酷いことをされたはずの斑目を師と仰ぎ共に絵の修行をしていることになっているし、真は殉職したはずのお父さんと一緒に過ごしている。春は廃人化で死んだはずの奥村邦和と共にビッグバンバーガーの仕事を一緒にしていたりする。

それまで起きていたはずの怪盗団のメンバーの過去の悲劇が「起きなかった」事になっていた。

この異変に気付けたのは主人公と芳澤かすみ、そして獅童パレスで死んだはずが生き残っていた明智の3人だけ...この異常事態に3人は悪神を倒すまでの間に1度だけ行ったあの謎のパレスに入る事に...

 

そこからの顛末は凄まじいものだった。

パレスの主がなんと秀尽学園で非常勤カウンセラーとして赴任していた丸喜拓人だった上に今まで芳澤かすみだと思っていた少女が実は丸喜のペルソナ能力で姉の芳澤かすみだと"思い込んでいた"妹の芳澤すみれだったりと、衝撃事実のオンパレード、しかも丸喜先生は統制の神によってメメントスと現実世界がひとつに融合した瞬間に彼の中のペルソナが完全覚醒し、更に統制の神が倒された瞬間、その神と同等の力を手にした事でメメントスに干渉し、認知の曲解のペルソナ能力によって個人の悲劇的な過去を無かった事にし、その人個人が幸せにしかならない運命を辿るように仕向けられていた。

丸喜先生のペルソナはチートもチート級レベルのとんでもないもので、偶発的に得た力だとはいえ丸喜先生は神になった。パレスを持っているということは彼もまた怪盗団によって改心すべき大人ではあるのだが、丸喜先生の場合はこれまで改心してきた大人とは決定的に違う所がある。それは彼が基本的に善人であるという事

これまでカウンセリングを受けた仲間たちとの描写を見れば分かるが、彼は人の心の悲しみや痛みを共有して分かち合い、その気持ちに寄り添う事が出来る人として素晴らしい人だ。誰かに恨まれるような要素も持ち合わせていなければ怪盗団の敵となる事も本来はなかったはずだ。しかし三学期編に入った時の彼は認知の曲解によって人の人生や存在を意のままに操る事が出来る力を手に入れた。その気になれば敵対する相手になる怪盗団の存在だって認知の曲解によって抹消する事だってできるはずだ。しかし丸喜先生が敢えてそうしなかったのは何より彼自身が怪盗団のメンバーの幸せを願ってるより他ならないからだ。丸喜先生は怪盗団メンバーとのカウンセリングによって昔追いかけていた夢を諦めた事、大切な人を失った事の事情に触れた。その悲しみを知っているからこそ丸喜先生は純粋に怪盗団の人生の幸せを願っており、正気に戻った主人公がこの造られた幸せしかない現実世界を受け入れてくれると信じているからこそ彼を最後まで説得しようとしていたのだろう。

神となった丸喜先生はその力を己自身の名声を得る為に使うのではなく、1人1人の人生を幸せにしたいと他人に尽くす為に使う...いわば丸喜拓人の救世の願いなのである。

 

他のブログでも述べられているように、この三学期編は非常に考えさせられるストーリーだった。彼自身もまた恋人の留美を失う*3という悲しみを背負っており、その心の痛みを知っているからこそ彼は人に優しくする事が出来る。だがそれは同時に争いや理不尽に満ちた現実世界に対する悲嘆の思いを強く膨らませる事になり、丸喜先生が幸せしかない偽りの世界を創ってまで世の中を大きく変えたのは、理不尽に溢れ返った元の現実世界が受け入れられないからである。

それは言い換えれば"辛いと思う出来事からの逃げ"になるのかもしれない。だがそれでも普通に考えてみたらそんな悲しみや苦しみの出来事には最初から遭わない方が良い、身体の傷は日数が経てば回復はしても、心の傷は下手すれば一生その傷を抱えて苦しむことになるかもしれないからだ。

確かに世の中は本当にクソみたいな理不尽が多い世界だ。普通に人生を生きようとしているだけでも理不尽な目には誰かしら必ず遭ってしまう。その度に挫折して、心が折れ、傷付き、それでも人間は何とか頑張ろうと必死になって生きている。それでも世間の吹く風は冷たく、頑張ってる人に対して更に酷い仕打ちをしてくる事だって当たり前のようにある。そうして人はどんどん追い込まれていき、それが限界を迎えてしまった時、この世に居る事を否定した行動に走ってしまうだろう...

丸喜先生の創った世界ではそんな理不尽や差別は存在しない。全ての人が平等に幸せになる権利を享受する事が出来て、争いや競走も存在しない幸せな世界...本物の現実にもしこんな素晴らしき世界が存在するのであれば、例え丸喜先生の支配下に置かれたとしても丸喜先生の創った現実に生きる事を選ぶ人は大勢居るであろう。

 

怪盗団は結局挫折や悲しみから逃げずに乗り越えた事で強くなれた経験や、その出来事があったからこそ出会えた人達との新たな絆を育むチャンスを全て奪われることは絶対に嫌だとして丸喜先生に立ち向かう事になったのだが、今回ばかりは「元の現実世界を取り戻す」選択をした怪盗団の行動に異を唱えるユーザーも少なくはなかった。

別に逃げることは決して悪い事ではない。寧ろ今目の前で起きている理不尽な問題があるせいで自分が苦しい思いをしているのに逃げてはダメだと向き合い続けてしまったせいで心が壊れ、最悪の結末を迎えてしまったら?大抵の人間の心はそんなに強くない。怪盗団から勇気を貰うことは出来ても、怪盗団のような強い心を持ち合わせている人間はほんのひと握りしか居ないのである。これは僕自身が心が壊れてしまう前に目の前の理不尽から逃げ出す事で安寧を手に入れる事が出来たというリアルな経験があるからこそこういう視点で考える事もできるのだろう。

 

だが怪盗団は丸喜に立ち向かう事を選択した

これは目の前の悪を淘汰する勧善懲悪ものでは無い、世直しなんて大それたものでもない。怪盗団の正義と丸喜拓人の正義、互いが互いに譲らぬ正義と正義のぶつかり合い...自らが正しいと思った事を証明する為の個人的な決着...丸喜先生のお宝を奪いに行く決行日の時だけに流れるI Believeとラストバトルで流れる「Throw Away Your Mask」はペルソナ5Rで流れる曲の中でトップレベルでカッコ良く、そして怪盗団の想いと丸喜拓人の想いが込められたそれぞれの曲の歌詞の対比がとんでもなく胸に来る熱い戦いだった.....

 

この戦いの決着、そしてエンディングまで最高のストーリーだった

 

「僕らの光」は明智吾郎への追悼曲

忘れてはならないのは明智吾郎の存在だ

明智はカリスマ探偵王子として世間からの人気を博す高校生、しかしその出生は獅童の愛人だった女から生まれ、父であるはずの獅童明智を捨て逃げ、母親もまた明智が生まれたことを理由に獅童から捨てられすぐに亡くなってしまった。明智は成長すると共に積年の恨みを獅童に向けて溜め込んでいた。そんな所に統制の神が自らが仕掛けたゲームの駒として明智に目を付け、ペルソナ能力と異世界の事についての力を与えた。彼がカリスマ探偵として活躍していたのも実際は自分が廃人化を起こした事件を振り返って解決している他ならない。

この能力を使っていつか獅童への復讐を成し遂げる。そう心に誓っていた明智だったが、結局獅童には明智が自分の息子である事に薄々勘づいていた上に自分の総理大臣就任の為の手駒として利用していただけに過ぎず、利用するだけ利用した挙句、獅童の中の認知上の明智と同士討ちになる最期を迎えた

 

異世界を使った数々の廃人化事件や精神暴走事件を引き起こした実行犯な上に双葉の母の一色若葉、そして春の父親の奥村邦和を廃人化という形で殺し、主人公の事も一度殺した作中でもかなりの大罪人ではあるものの、結局彼もまた理不尽な大人と現実に自分の人生を棒に振るレベルで振り回されただけに過ぎず、ある意味因果応報だったとはいえ、それまでの人生を掛けて成し遂げようとしていた復讐も果たせずに最期を迎えたのは何とも切ない結末だった。

 

しかし三学期編に入る直前の12月24日、彼は生き残っていた獅童の犯罪を証明するために警察への出頭を主人公にお願いしていた冴の元に彼は突然現れたのだ。1周目でこの展開を見ていた僕は明智が生き残っていた事が実は嬉しかった。相討ちになる土壇場で確かな絆を紡ぐ事が出来た相手だったのにいなくなってしまう。その事が僕にはとても切なく、悲しかった。だから彼が生きていたという事自体がとても喜ばしい。この時はそう思っていた...この時までは...

だが、2月2日の夜...丸喜先生のパレスのお宝ルートを確保し、作戦決行日の前の日の夜に丸喜先生とルブランで会話した時の事...丸喜先生は主人公が獅童パレスで明智の事を助けられなかった事を後悔しているのでは?と問いかけた後「君が彼(明智)とやり直せる現実を創ったんだ」と言った。その言葉はつまり.....

この事実を知ったとしても明智自身の考えが変わることは無かった。丸喜先生が創った幸せしかない現実を独善的で反吐が出ると最後まで偽りの現実を否定し、主人公の迷いを断ち切らせる為に背中を押した。

誰かに創られた現実で、一生飼い殺されるなんて御免だよ

例え己自身の存在が消える事になっても、散々誰かの掌の上で踊らされた明智としてはこれ以上無いほど重い言葉だった。

君が迷うことは...僕への裏切りだ

またこれは明智に問いただされた質問である答えを選ぶと聞けるこのセリフ...自分自身の望んだ復讐の為に数々の罪のない人達を殺人してきた事でその手を真っ黒に汚してしまった彼が、普通の高校生として過ごし、普通に生きる事、幸せになる事をもしかしたら彼の中でもそれは許されない事だと悟っていたのかもしれない。

全てを消して清算したいとする明智の想いに対して主人公が迷う事は彼に生き地獄を味わわせるのと同義で、だからこそ出た言葉なのだろう。

 

エンディングテーマ曲の「僕らの光」は主人公の明智に対する想いが込められた追悼曲だと思っている。目の前で二度消える事になってしまう明智に対して主人公は最大のライバルとして、そして友として強く思う所があったはずで、この曲はそんな明智に対する主人公の心情を歌った名曲だ...

彼は最後の最後まで正式な怪盗団のメンバーになる事が出来なかった。ただ三学期編のあの時、あの1ヶ月の間だけは彼もまた怪盗団のメンバーと共に行動出来たことが彼にとっても実は最高に楽しかったのでは無いのだろうか?たった1ヶ月の僅かな思い出だったとしても、彼は最後の最後に主人公と共に力を合わせる事が出来て良かった...そう思ってくれていることを僕も願うばかりだ。

 

三学期編は夢を奪ってしまったと苛まれ、偽りの自分を纏っていた芳澤すみれが本当の自分を取り戻し乗り越える事と、丸喜拓人が思い描く理想の現実と怪盗団が望む元の現実...正義と正義のぶつかり合いによる戦い、そして明智吾郎の最初で最期の贖罪の物語。

蛇足だと言われる事も多い三学期編だが、僕は最高の追加ストーリーだとそう思えた。

 

 

そして、あのエンディングで見えたあの制服...あれは夢かまぼろしか...それは神(ATLUS)のみぞ知る.....

 

 

真の総評

このゲームの唯一にして最大の批判点として無印版から追加されたたった5%の要素のためだけに無印版購入者に対してもフルプライスでソフトを提供するという形には大荒れしていた面もあった。

僕はこれが人生初のペルソナだった為、全てが新鮮な事ばかりだったP5Rに対しては完全版である事は批判の要素にはならないのだが、無印版購入者に対するアフターサポートを設けなかったという意味では確かに批判されてもおかしくない点ではあった。

しかしその点があるにしても無印版より一気にやりやすくなったパレスや日常活動の攻略に、PS4Proエンハンス対応による画質の向上や追加要素にも十分なボリュームがあると個人的には感じ、マイパレスの充実具合等やり込み要素も凄まじいものがあった。

僕にとって人生初プレイとなったペルソナ5 ザ・ロイヤル...寝る間も惜しむほど圧倒的なそのゲームボリュームに対していつまでも飽きさせない衝撃の展開の連続に心が踊り、杞憂した。僕は素晴らしきゲームに出会うことが出来た。

 

今後もペルソナシリーズをやっていくかは分からないが、少なくとも僕はこのゲームをプレイしたという思い出を絶対に忘れることは無いだろう。

 

結論「何から何まで最高のRPGゲーム」

 

以上です。ここまでの長文、読んでくれてありがとうございました!!!

 

 

 

 

 

*1:後に2周目で敢えて新島冴との取引に応じるバッドエンドを見た時は、本物の主人公が死ぬ映像は同じだったものの、その後の演出がバッドエンド回避ルートと比べて随分あっさりしており寧ろバッドエンド回避ルートの方がより絶望感を煽る演出が強かったが故にこの時は本気で絶望感に打ちひしがれた

*2:このトリックは言葉だけで説明するにはあまりにも複雑且つ難解過ぎるトリックのため、それをここで説明するのは割愛する。詳しくは実際にプレイして確かめてみよう!

*3:失うと一言で言ってもこの世から居なくなるという単純なものではない。それ以上に辛い失い方をしているが故に留美に関係したとある回想はとても心に来るものがある