ポッポ屋日記

日記的なブログにしたいです

ペルソナ5 ザ・ロイヤル感想記事 〜怪盗団に心奪われた300時間〜

 

「あなた史上最高のRPGは何ですか?」

ゲームが好きと言う人でRPGに触れた事のある人だったら必ず1回は聞かれているであろうこの質問、自分の人生を変えるほどの価値観を一変させた名作をひとつに絞って選ぶのはゲーマーの人ほど選ぶのが難しいだろう。

候補として定番なドラクエやFFシリーズはもちろん、テイルズシリーズやサガシリーズ聖剣伝説シリーズ、ゼノシリーズ、メガテンシリーズとRPGは豊富に溢れており、最近ではインディー作品でありながら衝撃の展開でユーザーを震え上がらせたUndertaleも候補に入ってくるだろう。

そんな中、RPGの話題で必ずと言っていいほど出てくる名に「ペルソナシリーズ」がある。ペルソナとは1996年に初代PlayStation用ソフトとしてATLUSが発売した「女神異聞録ペルソナ*1という初代作を皮切りに正当な続編に当たるペルソナ2「罪」と「罰」を発売、そしてテーマカラーを設け、オシャレでスタイリッシュな面を全面的に押し出す事に方向転換をした「ペルソナ3」を発売したことでペルソナは1つのRPGシリーズとして独立、今やペルソナはメガテンに並ぶATLASの2大RPGとしてその代表に君臨している。

そしてペルソナ5 ザ・ロイヤル(以下P5R)とは2016年にPS3/PS4の縦マルチソフトとして発売していた「ペルソナ5」に大型の追加ストーリーとUIの変更、ゲームをプレイする上での快適性を追求した仕様変更を加えてPS4専用ソフトとして発売された無印版のアッパーバージョン、俗に言う「完全版」である。

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元々2016年発売の無印版はRPGとしては世界的に高い評価を受けており、その年にGOTYを獲得をした上に様々なゲームメディアで神ゲーとして高く評価されている。そんな中で出たP5Rは今まさにこれからペルソナを始めようとしている人やペルソナ初心者の人がやるのにはうってつけな作品となっており、ペルソナ5の全てを味わい尽くすという意味でもP5Rはベストゲームであり、中古市場での定価からの値下がりもほぼ無いという非常に稀有な作品だ。

 

出会いのキッカケ

P5の存在を初めて知ったのはスマブラ...ではなく、地上波のテレビで流れたP5とどっかの企業とのタイアップコラボCMだった*2。当時のP5テーマ曲でもある「Wake Up, Get Up, Get Out There」のサビと共に自慢の仮面を取ってこちらを見つめる主人公のイケメン具合に「おぉ〜...何だこのイケメン...そして曲がカッケェ」とペルソナという存在を何も知らない当時の自分は主人公の「頂戴する!」という朧気に聞いたようなセリフと共にその時はまだその存在をスルーしていた。

あの時はまだ任天堂一筋だったということもあり、任天堂ハードとは殆ど縁もゆかりも無いシリーズであるペルソナシリーズに触れられる機会は全く無く、本格的にその存在を大きく認知する事になったのはやはりスマブラでのゲスト参戦が大きなキッカケとなっていた。高校生でありながら怪盗、そして義賊、かつて破滅の運命の渦中に巻き込まれていたペルソナ使いの少年の参戦はペルソナの味とも言えるスタイリッシュさとオシャレさをこれでもか!とスマブラでも完全再現しており、ぶっちゃけて言うとあの当時は「惚れた」

僕は新しいスマブラをやる度にスマブラに参戦したゲストキャラの元ネタのゲームが気になってプレイする傾向にあるみたいだ。Xの時はMGS(1〜4までプレイ)、forの時はベヨネッタ、そしてSPではP5Rとキャラクターに対するカッコ良さに惚れ込み、その存在が気になり始め、そして実際に買い、プレイする。ミーハー的ではあるがそのどれもが自分にとっては面白かったが為にスマブラはある意味ゲストキャラのゲームの宣伝にはうってつけなゲームだなと心底思った(笑)

ジョーカーのスマブラでの参戦から早2年...僕がP5Rを実際にプレイする事になったのは2人の友達のおかげだった。今年の3月末近くに4KテレビとPS5を買った事で僕はPS4、PS5でしか出来ないゲームができるようになった。今年の5月末頃、念願だったFF15DLC含めて全ての内容をやり切り、次のゲームはどうしようかと呟いた時、友達から「ペルソナをやれ」というお達しが届いた。このお達しは僕がFF7リメイクのためにPS4を買った時から言われ続けていた事で、彼はP5Rが激推しだった為、僕をペルソナの沼に沈めようとしていた。しかし生憎僕はP5Rを持っていない。これから買うにしても直近にはPS5版FF7Rが待っていた為、休憩期間が欲しかったのも含めて新しいソフトを買うのに少々ためらっていた。しかしそこに別の友達から「ソフト貸そうか?」と僕に言ってくれた。鶴の一声とはまさにこの事かと思った。...と、同時にそれ程までにこのゲームソフトをやって欲しいんだな...という2人のこのゲームに対する熱意が伝わった。後日、深夜に友達がソフトを届けてくれた事でP5Rをプレイできるようになった。

 

僕の怪盗団としての冒険はここから始まった

 

結果

結論から先に述べると僕はこのゲームを2周した。難易度は1周目はNormal、2周目はHARDとP5Rの全ての要素を味わい尽くした。フォロワーさんから「このゲームは2周目からが本番」と言われているように、1周目がペルソナのシステムの全容を理解するための期間だとしたら2周目は本番、2周目からしか楽しめない要素を遊び尽くすという意味でも3ヶ月半の時間を掛けてこのゲームをクリアした。

f:id:Gameslifeisff:20210910133426j:imagef:id:Gameslifeisff:20210910133435j:imageアワードも全てコンプリート、壁一面が煌びやかな黄金に輝く

感想は「最高のゲーム」の一言に尽きる。RPGとしては戦闘が単調になり過ぎないようにする為にバトンタッチ、銃による攻撃、ダウンショット、ボス戦での特殊行動、総攻撃...と、多彩な戦略性を持たせている事と爽快感溢れる演出により、雑魚戦でさえ作業感やストレスを感じさせない作りになっているし、パレス攻略中の謎解きも難し過ぎず、かと言って簡単過ぎない小気味の良いバランスで練られている。

日常生活パートではどんな活動をすべきかという選択肢に大きな幅があり、ありとあらゆる行動の全てが決して無駄にはならない。特に1周目は人間パラメータという数値を上げなければならないという事もあって、リアルでも当たり前のように誰しもが取る行動が人間パラメータの成長に繋がっている。当時の僕はネタバレ防止の意味合いも含め攻略情報を一切見ずにゲームを進めていた為、手探り感に立ち止まってしまう事も何度かあったのだが、1周目クリアの時点では何とか人間パラメータの全項目MAX、コープキャラとのコープレベルを全員MAXで終える事が出来た。

肝心のストーリーの方はと言うとオープニングのカジノ脱出で描かれる怪盗団*3の総出演と謎の美少女の登場、順調かと思われていたところでいきなり警察に捕まる主人公...逮捕の直前に言われる「お前は売られたんだ」という不穏な言葉...拷問に近い尋問を終えたあとの女検事 新島冴との邂逅など、謎が謎を呼ぶプロローグから始まり、調書を書く形で始まる過去の回想形式で物語は進む。

然るべき日が訪れるまでの間には今や大怪盗団となった様々な仲間たちとの出会いと絆を深めるストーリーが紡ぎ出され、その裏で暗躍する不穏な存在の魔の手も同時進行し、怪盗活動が順調に進んでいく序盤から様々な伏線が随所に張り巡らされており(それも2周目じゃないとユーザーが気付かない程の小さなものまで)、ストーリーが後半に進むと不穏な展開に方向転換するようになる。そしてとある日...ユーザーに迫られるある選択によって物語は怒涛の急展開を迎える。

そこからのストーリークリアまでの流れは胸熱な展開が続き、ここまでの間に怪盗団のメンバー1人1人の物語を見てきたユーザーとしては心にくるものがあり、ラストバトルでは大団円とも言える熱き逆転劇に心踊らされた。つまり何が言いたいのかと言うと、4月〜12月までに描かれた無印版の流れを汲むストーリーは順調に勢い付く怪盗団の躍進と暗躍する影の存在、様々な伏線を張ってからの11月のあの日での衝撃的な展開に心底驚かされ、12月には主人公と因縁があるとある男と戦い、最後の戦いに挑む...警察に追われる立場の怪盗団でありながら己の信じた正義を仲間達と共に貫かんとする姿勢と、これはゲームであると分かっていながら日々過ごしてきた活動や仲間たちとの思い出が積み上がっていた事もあってこのゲームが終わってしまうという事の喪失感は半端ではなかった。

起承転結としては全てが完璧なシナリオとなっており、クリアまでには長期間を要する事がこのゲームに対する想い入れを深くするのに一役買っていて、気付けば僕は友人の策略通りペルソナという名の沼に沈みこんでいた。

戦略性のあるバトルを展開する事も可能でパレスの謎解きもバランスも良い、ペルソナシリーズの大きな魅力の一つである音楽は日常的なものはいつまでも聴いてて飽きさせない作りな上にバトル曲は稲泉りんさん(2017年まではLyn(りん)名義での活動)のボーカル曲がユーザーの心を熱く滾らせ、ストーリーは完璧、全てに於いて最高と言える素晴らしいゲームだった.....平日の仕事帰り、明日も仕事が控えている夜であったとしても一度起動してしまえば最後、深みにハマってやめ時が分からなくなってしまい、気付けば朝...なんて事もしばしば、それでも僕はこのゲームをプレイしている中で1度も飽きる事は無かった。最後の最後までプレイしててこんなに気持ちの良いゲームをしたのは人生でもしかしたら初めてかもしれない。

 

世界がこのゲームに熱狂し、多くのゲーマーを唸らせ、無印版がGOTYを取れたのも納得の出来と言えよう。

 

リアルにも通ずる歪んだ大人達の堕落の経緯

ここからは僕の個人的な思いになるのだが、怪盗団が物語中で立ち向かう敵達の殆どは皆彼らよりも長い人生を生き、多くの人生経験を積んできた大人達だ。しかしそれぞれが独自のパレスを持つほどの強い欲望によって歪んでしまっている。例えば一番最初に戦う事になる鴨志田 卓(かもしだ すぐる)は元バレーボールの金メダリストという輝かしい栄光を持っていながら、色欲に塗れた事でその栄光を強い権力として振りかざす事で多くの生徒達には傍若無人な態度で振る舞い、学校関係者の上層部に対しては有無を言わさず、鴨志田の生徒に対する体罰や淫行に対して黙らせていた。*4

しかし鴨志田という男も元は普通の体育教師だったはずである。人間である以上それなりの欲は持っているだろうが、体罰に淫行とここまでの事をさせる程歪んでしまった原因はどこにあるのか?それはパレスを攻略した後に怪盗団が手にする宝がそれを説明してくれる。

鴨志田の歪みの原因金メダル。それは輝かしいほどの栄光を手にしたひとつの証であり、鴨志田自身が誉れ高き存在である事の証明にもなる代物だった。その当時の鴨志田はきっと己自身とチームワークの力で勝ち取った金メダルに対してとても光栄に思えただろう。しかし何年もの時が経ってもその栄光をいつまでも忘れる事が出来なかった鴨志田は自身が世間からただの時の人として風化される事を許す事が出来ず、せめて身の回りにいる人間に対しては自分が何者であるかを分からせ、崇めさせたかったのだろう

世間からの注目を浴びるという事がどんな気持ちにさせるのかは残念ながら僕自身そうなった事がないので何とも言えないが、少なくとも周りからちやほやとはやし立てられ、尊敬の念を持たれる事が相当の自信に繋がったと同時に謙遜する事を怠り、自身が驕る原因となってしまったのだろう。それが結果的に自分自身の中で持っていた性癖に強く相互作用し、色欲の王となった...

怪盗団と相対した時の彼らは歪みの極みとも言える状態になっているが故に完全な悪党として描かれる事になる。しかしそんな彼等も元は人間であり、人間だったら誰しもが持つ欲が肥大化した成れの果てに過ぎないのである。そうなるまでに至った経緯の事を考えるとそれは現実世界でも普通に有り得る普遍的に悲しい背景がある。1周目の時は正直、彼らは全員怪盗団が改心させなければならない敵としてしか認識していなかった。しかし2周目ともなると彼らのバックグラウンドにより深く着目するようになり、そんな彼らを単純な絶対悪として懲悪する事が出来ないのである。

 

もう1人の歪みの主をここに書こう。2人目の敵となる斑目 一流斎(まだらめ いちりゅうさい)は「日本画の天才」と世間から言わしめ、日本が世界に誇る日本画家、日本画の常識に囚われない様々なタッチで描かれる作品はそのどれもが個性に溢れており、見る者の心を引き込ませる。オマケに幼少の頃に母を亡くし孤児となっていた喜多川祐介を養子として引き入れ、絵の技術を教え込んできた、一見すると才があり、人間的にも素晴らしい好々爺のようにも思える。.....だがその斑目もまたパレスを持つ程の歪んだ人間であり、その正体は師と崇めて弟子入りを志願してきた若き画家達をあばら家に住まわせ、碌に絵の事を教えもせず、それどころか弟子の描いた作品を自分の作品として世に出してしまうという画家を名乗るのも烏滸がましい人物であった。

画家として天賦の才を持っていた祐介の事もまた己の名声を手に入れるために搾取するだけの存在としてしか見ておらず、怪盗団と相対したシャドウ斑目との会話で祐介を養子として育てたのもただの情や善意で育てたという単純なものではなく、才能ある存在を自分の手の届く範囲に身を置かせることで祐介が画家として開花する事を阻害するだけでなく、その天才的着想を己の物にするという下劣で身勝手極まりない理由によるものだった。当然怪盗団は斑目の存在を許しておけるはずもなく、彼を改心させる事でその罪の全てを現実世界で吐かせた。パレスの世界はまさに虚飾の御殿にして才のない主である事が分かったわけなのだが...

斑目もまた当初は自分の力と努力で絵の技術を向上させようとしていたはずである。しかし絵というものほど才能とセンスが物を言う創作も他に無いだろう。斑目にはたまたま人の心を惹きつけるほどの絵を描ける才能も技術も無かった。何年もの努力と経験を積み重ねる事で絵の技術自体を上げることは出来たであろう。しかしその努力を持ってしてもセンスは生まれながらに持てるか持てないかが決まってしまうもので、努力だけでは決してカバー出来ないのである。その事で斑目は何度も挫折と劣等感を味わい、筆を折ってきたのであろう。「自分には絵の才能がない」その事実を素直に認める事が出来ず、かと言って努力だけでは埋めきれない他の画家との実力差に何度も打ちのめされてきたのだろう。才のない自分自身に対するやるせなさと己を凌駕する他者に対する嫉妬心から斑目は最も簡単に名声を手にすることが出来る手段に手を出してしまった。それは生みの苦しみを味わい、否が応でもあってしまう同業者や他者との比較で自分の生みだした創作物に劣等感を抱いてしまう人だったら誰もが共感できる気持ちではないのだろうか?

斑目の様にちょっとした躓きや挫折が原因で悪い方向に落ちてしまう事はリアルでも誰しもが有り得る事である。実際僕がかつて繋がっていた某絵師が自分の描いた絵を凄いと言われる事に快感を覚えてしまったのか、安易にトレスに手を出してしまいしかもトレスである事を一切言わずに自分の描いた絵として発表してしまったという事が何度もあった。結局その人は無断トレスを糾弾された事で絵を描く事を辞めたのだが、こういうトレスや最近話題のトレパクといった問題はリアルな現実世界でも起こり得る問題として普遍的なものなのである。ペルソナ5Rに出てくる主要なパレスの主たちは人間の誰しもが抱く欲の権化として突出していただけの話なのであり、そのどれもが絶対悪としては単純に断罪する事が出来ず、考えさせられるものばかりであった。

 

思えば怪盗団と戦う事になった彼らの欲は有名な「七つの大罪」と「八つの枢要罪」を元にしていると思われる。

色欲、虚飾、暴食、憤怒、強欲、嫉妬、傲慢、怠惰、そしてもうひとつ...神話の時代から罪深い生物として描かれている人間は如何に堕落しやすい生物であるかが如実に示されている。僕はP5Rからそんな人間の業を学んだ気がする。

 

心の怪盗団がもし実際にいたら

そんな悪党に立ち向かう怪盗団はその誰しもが壮絶な人生を歩んできた子供たちばかりだ、怪盗団のメンバーが増えていく度に彼ら彼女らの壮絶な過去が明かされ、ユーザーに強い印象を残す。そしてその誰もがとても強い心を持っている。理不尽な世間や周りの大人たちから虐げられてきた境遇に立たされていたとしても己の中にある信念を決して捻じ曲げず、また反逆の意思を持ち合わせていても、その力をパレスの主たちの様に己自身の力を誇示するために使わず、他者を思いやる正義感から行動をしていく...それはとても素晴らしい事だ。

ただ彼らが素晴らしいのはそこだけではない。彼らは時々自分たちのしている行い(改心)に疑問を持ったり悩んだりする事もある。自分たちが進んでやろうとする改心行為は果たして本当に人のため、世のためになるのか?自分たちの思う正義と改心をしようとする人物の周辺人物の望みが一致しておらず、己の中にある正しさだけに拘ってそれが驕りに繋がり、望まぬ結果を招くだけなのではないか?怪盗団は時々その事で悩み、それが原因で喧嘩になりそうな事もある。皆が皆同じ思想を持つ一枚岩ではないからこそ起きる事であり、そしてそれは凄く人間らしい。

人は悩む生き物だ、この世に悩みのない人間は居ない。悩むという事は今進んでいる道、進もうとしている道から一旦立ち止まって、振り返り、考える行為だ。悩んだ末に答えが見つかるとは限らない。しかし悩む事無く突き進む事が決して良い結果に繋がるとは限らない。悩む事は自分が今している事/しようとしている事の善と悪を判別するのに与えられた猶予だと個人的に思っている。正直そこで道を踏み外してもおかしくない場面はいくつもある。ただそれでも彼らは見事に道を踏み外すことが無く、己の信念を曲げる事もせずに正しいと思う事を貫いた。その辺の大人たちよりもずっと大人な高校生だなと思った。

 

興味深いのは作中に描かれる世間の声、そしてその流れだ。作中では「大衆」として言及されている世の中の声というのはとてもリアルだ。街中を歩いている中でも聞こえてくる街の人達の吹き出しはよくある日常的な会話から周辺人物に対する理不尽を不満にしたもの、そして世間を騒がす怪盗団と改心された人物に対するニュースへの言及...等、大衆の声は流浪的に、そして流動的に絶えず変化している

怪盗お願いチャンネルという三島 由輝が立ち上げたファンサイトでは匿名スレッドに常に書き込みがされており、その文体や書き込み内容もめちゃくちゃリアルだ。基本匿名であるから書き込まれる言葉の端々に責任感は感じられず、よく分からないネット用語が飛び交いつつも、ネットの声は世間の声のひとつとして作中では認知されており、怪盗団のメンバーも時々怪チャンの声を見て世間の声の全体の流れの変化を感じていたりする。*5

大衆は自分の身の回りには関係の無い話ではあるものの、彗星の如く現れた怪盗団に対しては常に関心を持つようになった。それは彼ら怪盗団のやる改心行為が結果として悪人の逮捕というニュースとして報じられる事で怪盗団を正義のヒーローとして認識し、「世の中を変えてくれるかもしれない救世主」として一時期は彼らを祭り上げたりもしたものだ*6。...かと思えばある時を境に怪盗団を極悪人だと認識して手のひらを返すなんて流れになったりもする。他力本願的に怪盗団を頼っておきながら見事に勝手極まりない大衆ではあるが、もしも現実世界に本当に怪盗団のような存在が現れたとしたら?と考えた時、リアルな世間でもこんな有象無象に溢れるんだろうな...と考えていたりもする。

それに改心行為によって人間の悪しき心を直して貰えるのなら怪盗団に頼りたくなってしまう気持ちも正直分からなくはない。僕にも改心して欲しいと強く思う相手がいるからこそ「怪盗団が本当にいたらな...」なんて思う事もしばしばある。

世間の殆どは事件の当事者の気持ちなんか知りもしない、だから自分勝手な事も言えるし無責任な言葉も書き込める。それが結果的に当事者や誰かの心を傷付け、自分の中の小さな悪心が滲み出ている事なんか知りもしない。とあるキャラが言ってるように人間は愚かな生き物だ。そんな現代の愚かさを描いた人間を大衆という形で表現したP5Rは現代に通ずるリアルさがあってとても面白かった。

 

主人公の最終ペルソナ紹介

主人公はワイルドという素養によって複数のペルソナを持つ事が出来る。それによって色んなパターンのペルソナを持つ事が出来て、自分好みのペルソナを育てることが出来る。

P5Rは育成の自由度や出来ることが幅広く、またどんなペルソナでもやり込めば最強化する事ができるのはこの作品の魅力の一つだろう。そこでこの記事では僕が最終的に作り上げたペルソナを紹介する。一部物語の根幹に関わるネタバレ的なペルソナもいるがそこは了承してもらいたい。

 

f:id:Gameslifeisff:20210911180336j:image1体目は誰しもがやるであろう主人公の初期ペルソナの最強化、フツヌシから「剣神の念」を受け継いだ下位ペルソナを作り続ける事で最終的には初期のアルセーヌの特性を変えてしまうという主人公のペルソナなのに良いのか?と思えるような構成に

スキル構成は銃撃特化、特性を剣神の念にしたのも銃撃攻撃の威力を最大限高める為であり、「アドバイス」でクリティカル率を高めた状態で「ワンショットキル」を放てば運99の効果もあってほぼ高確率でクリティカルを出して1MOREに繋げる事が出来る。残りは回避に専念する為に「アリ・ダンス」と「大天使の加護」を入れた。銃撃特化はとある理由によって後述するサタナエルとどっちで構成するのか?とファンの間でも議論になりやすい。また弱点属性である氷結と祝福属性を埋め合わせるために「〇〇反射」を入れなかったのは仲間のかばうを発動させたかったからというのもある。残りの1枠は消費HPの節約のため「武道の心得」を入れた。


f:id:Gameslifeisff:20210911180401j:image2体目はDLCとして販売されているラウール。主人公のアルセーヌの最終進化ペルソナとなっているらしいのだがどういうわけだかP5R専用DLCとして発売されている事になっており、その点でもファンから批判されていたりする。

ラウールは敵全体に高確率で睡眠の状態異常を付与する「ファントムショー」が妨害技として超秀逸*7なので安全にバフ・デバフを付与するペルソナとして特化させることにした。特性を「鉄壁の抗体」にする事で状態異常をシャットアウト、「チャージ」と「コンセントレイト」で安全に技の威力を高めつつ、次のターンでペルソナチェンジをして威力の高い技を放つという算段だ。*8後述するマリアの3種の「マハ〇〇カオート」で先制強化をしつつ、ラウールにチェンジ&「ランダマイザ」でデバフを掛けるのも定石のパターンだ。

唯一祝福属性が弱点だったので「祝福反射」で即死技をカバー、アリ・ダンスも入れつつ、残り1枠は相当迷った。攻撃技を入れても良かったのだが、攻撃用のペルソナは既に揃えていた為、ラウールに攻撃してもらうのもどうかと思ったので攻撃技入れない事を徹底した。というわけで範囲が広くて役に立ちそうな「物理反射」と裏ボス対策用に「不屈の闘志」を入れた。

 

f:id:Gameslifeisff:20210911180333j:image3体目はサタナエル、1周目をグッドエンド(トゥルーエンド)でクリアをしたクリアデータを引き継いだ2周目から作る事が出来る隠しペルソナとなっており、DLC伊邪那岐大神&賦神を買わなかった場合の最強ペルソナになる。元の特性は「異端の魅力」という魔法スキルのダメージが50%上昇するという物理、銃撃を除いた全属性のハイブースタという感じなのだが、残念ながらこの特性は他のブースタ系の自動効果スキルと合わせてもブースタ率が100%を越える事が出来ない。つまり異端の魅力で50%、〇〇ハイブースタと組み合わせて100%、更に〇〇ブースタと合わせて125%とはならないのである。ここをもし越えられてさえいれば最強の特性になっていたことであろう。という訳でサタナエルの特性は火力アップ狙いで「一騎当千の眼差し」に変えた

ただサタナエルには唯一無二と言える「魔王の境地」という自動効果スキルがある。これは全ての攻撃ダメージが上昇するという一見すると他のブースタ系と何ら変わりのないスキルのようにも思えるが、何とこのスキルはブースタ系のダメージ蓄積パーセンテージとは別枠で加算されるのである。ここがサタナエルが最強と言わしめる頭一つ抜けているポイントで、今回のスキル構成では「万能ブースタ」で25%「万能ハイブースタ」で75%、公開処刑限定スキルの「魔導の才能」で更に25%加算して強化率100%、そこに「魔王の境地」で25%別枠で加えて125%のダメージ強化、そして一騎当千の眼差しの特性により更に20%追加で最終的に145%のダメージ増加になり、攻撃技は「メギドラオン」ひとつのみの徹底した万能特化の潔い構成、これでバフデバフ効果を付け、コンセントレイトで強化した状態でメギドラオンを放つと簡単に4ケタダメージを叩き出す事が出来るので無双できる。耐性も全属性「耐」なのでめちゃくちゃ強い。

ちなみにサタナエルは銃撃攻撃技を使う時にサタナエルのみの専用モーションがあるらしく、それがあまりにもカッコ良いから銃撃特化にするかどうか迷う人もいるみたいだ。僕は万能特化にスキルを振った為残念ながらその専用モーションは見れないのだが(笑)

残りのスキルはSP節約の為に「魔術の素養」状態異常対策に「瞬間回復」これもまた裏ボス対策として不屈の闘志を入れた

 

f:id:Gameslifeisff:20210911180349j:image4体目は物理技最強特化としてヨシツネを作った。「八艘飛び」はヨシツネ専用の最強物理攻撃となっており、小ダメージを×8回と一見弱そうに思えるが全然そんな事は無い。剛毅最強ペルソナのザオウゴンゲンから「究極不滅の怒髪天」という特性を引き継いだ事により物理ダメージは常に30%アップ、バフデバフを掛け、チャージをして八艘飛びを放てば平均700〜800ダメージを×8回で総合ダメージ5600〜6400ダメージと総合ダメージ量はとんでもない事になる。「アドバイス」効果によって運良くクリティカルが出れば更なるダメージが期待できる。超特大ダメージを与えられる「ゴッドハンド」や「ブレイブザッパー」も強い事は強いのだが、あちらが敵単体にしか効果を発揮できないのに加えて総合的なダメージは八艘飛びとどっこいどっこい、もしくはやや八艘飛びの方がダメージは上なので僕はやはり八艘飛びを選ぶ事にした。それに何より攻撃エフェクトがカッコイイしね!

あと反則級のスキルとして「勝利の雄たけび」を入れた。ヨシツネでバトル終了すれば常にHPとSPが全快になるので回復要らず、終盤の敵は物理攻撃に対して耐性や反射を持つ敵が多く出てくるようになるため、序盤〜終盤直前まで活躍し、終盤でも物理攻撃に耐性を持っていない敵だったら誰にでも猛威を振るう事が出来るまさに最強のペルソナだ。


f:id:Gameslifeisff:20210911180358j:image5体目はマリア、特性の「アヴェ・マリア」も魅力的ではあったものの、バフ&回復要員として運用する為に最強のバフサポート技の「テルモピュライ」をいつでも使えるようにする為にアティスから「松の生命力」という特性を受け継いだ。

更にマリアを先頭のペルソナとして装備する事でマハタルカ、マハラクカ、マハスクカの3種のオート効果を引き出す事により戦闘開始早々仲間全員にバフ効果、更に「聖母の抱擁」と「聖母の囁き」によって毎ターンHPとSPを回復する事が出来るのでなかなか死ににくい。ピンチになったら「メシアライザー」バフが切れたらテルモピュライ、支援効果はなんでもござれである。

ただし状態異常対策のスキルが入れられなかった為、搦め手には弱い。そこはアイテムで何とかするしかない。


f:id:Gameslifeisff:20210911180340j:image6体目はジャックフロスト、何故ジャックフロスト?と思ったそこのあなた、可愛いからです!!!それにATLASの代表的顔だしね*9(笑)

スキルとしては物理と銃撃を除いた8属性の弱点を突くために7属性の単体最強技(祝福属性を除く)を取り入れ、サタナエルから引き継いだ特性の異端の魅力と魔導の才能によって75%ダメージアップという構成にした。ちなみに何故「大炎上」や「大氷河期」といった全体最強技にしなかったのかと言うと単体で弱点を突く事によって1MOREとバトンタッチを狙う意図があったのと、複数の敵の中に属性反射の敵がいると反射で自滅してしまうという難点を回避する為に敢えて単体最強技に留める事とした。

あと何故祝福属性が「神の審判」ではなく、「コウガオン」にしたのかと言うと祝福、呪怨属性最強技の「〇〇の審判」は"敵の現在HPの2分の1のダメージを与える"というFFで言えばグラビガ的な癖の強い攻撃となっており、これ単体では敵を倒す事が出来ないという難点から泣く泣くこうするしかなかったのである。これが"現在HPの2分の1"じゃなくて"最大HPの2分の1のダメージ"とかだったら間違いなく最強の技だったんですけどね...まぁそれだとチート過ぎるというのもそうですが、如何せんボス敵には殆ど効かないのもまた使いにくさを象徴しておりまして、何故普通に祝福&呪怨属性にも最強の単体技&全体技を作らなかったんだ...祝福&呪怨属性には即死技もあって個性を発揮しているのだからこれ以上の癖の強い技は十分だと思ったのですが...(笑)

とまぁそんなことは置いときまして...次で最後です。


f:id:Gameslifeisff:20210911180352j:image最後の7体目はアリス、ジャックフロストでは埋められなかった呪怨属性特化&雑魚散らし要員として作り出したものです。全体高確率即死技の「死んでくれる?」は呪怨無効以上の敵でなければ殆どのザコ敵を即死させる事ができる超優秀技、特性の「はやくしんでよ」は即死スキルの消費SPを0にする事が出来るが、呪怨属性の技の威力を高める為に敢えて異端の魅力に変更、その代わりに勝利の雄たけびによる回復で消費SP0の効果をカバー、あとは「ムド成功率UP」で死んでくれる?の成功率を上げつつ祝福反射、アリ・ダンスといった構成に。

 

以上、ここまでが僕の作りあげた最強のペルソナの布陣である。ここまで揃えるのにはだいぶ時間を要したがスキル構成を考えるのも実際に作るのもかなり楽しかった。それもまた育成の自由度が高いが故の事なのだろう。

 

終わりに

本当は追加要素である三学期編の事も書こうと思ったのですが、夢中で書いてたらあまりにも長すぎてしまったのでネタバレ注意の別記事として書くことにしました。

ペルソナ5は仲間達との絆を描いた勧善懲悪ストーリーとしても面白かったし、またこのゲームを通じて感じた人間の愚かさや欲深き心という誰しもが当てはまる普遍的なテーマがとても心に刺さる内容になっていまして、本当に最高に面白かったです!

 

改めて言いますが僕はこのゲームを勧めてくれた友達2人に感謝の意を表します。

こんなにも面白いゲームと出会わせてくれて、最高のゲームを貸してくれて本当にありがとう。この3ヶ月半最高に楽しかった!

 

という訳で終わりです。

ここまで読んでくれてありがとうございました🙏

 

 

 

*1:後にPSPでリメイクされた「ペルソナ」では「女神異聞録」という名が消えているが、当時のATLUS内でのペルソナは真・女神転生の系譜が強く残ったメガテンの外伝的作品という位置付けにあったのだとか

*2:ペルソナ5は当時から、そして今も他社ゲーのゲストキャラ出演だったり、企業案件のコラボをやったりととにかくコラボに積極的である。

*3:この時は少年、少女のような声と表記されるだけで正式な名前は明かされない

*4:学校側としては鴨志田を告発、糾弾する事で生徒自身の身の安全を守る事よりも"セクハラ教師が就任している学校"という事実が判明する事で様々な風評被害やレッテルを貼られる事に対して恐れ、体裁や保身を取る事しか頭に無かった為、追求はされていないが学校側の罪も重いだろう

*5:リアルな現実世界でも最近はTwitter等のSNSの声を軽視出来なくなった節があり、SNSの声=完全な世間の声とまでは言えないが、世の中のスマホの定着と共にSNSを始める人が多くなってきた事である程度の世論というものが形成されるようになったのもまた事実であり、その辺のリアリティ感が凄まじいと個人的には感じられた

*6:事件を未然に防いでくれない警察や世論の感情とは違う判決を下す検察や裁判に対する不満があるという意味でも怪盗団の存在がはやし立てられるのは必然であり、そしてそういう点でも妙にリアルである。

*7:はっきり言って他の妨害技が要らなくなるレベルで強い、マジで強い

*8:傲慢の指輪と強欲の指輪で仲間から強化してもらってから技を放つから要らないとか言っちゃいけない

*9:耐性が多いという意味ではジャアクフロストにしても良かったのだがやはりどうしてもジャックフロストの魅力には勝てなかった